1999年10月(その2)


31日(日)

 終日原稿執筆。つまらん毎日だなぁ。

 天皇賞。人気落ちの実力馬を狙えというのは馬券の鉄則。今回はスペシャルウイークからもステイゴールドからも狙いが立った。特にステイゴールドは人気薄のときにことごとく連に絡む馬だったはず。つまりとろうと思えば簡単にとれた馬券だった。なぁんて、終わってからでは誰でも言えるんだけどね。あ〜〜〜あ、あの2頭で決まって万馬券とは。ちなみにワタシはクリスザブレイヴから入って撃沈。


30日(土)
number 終日原稿執筆。

 ナンバー・プラス『競馬 黄金の蹄跡』。いつか野球篇を紹介したナンバーの増刊。スポーツ・ジャーナリズムの保守本流をいく同誌らしい、あまりに手堅い作り。おなじみの執筆者によるおなじみのテーマが並ぶ。安心して読めるが新鮮さはゼロ。目を引くのは、競馬関係者(調教師。騎手など)による日本競馬史上の最強馬を選ぶ企画だが、これが1位シンザン2位ルドルフ3位ナリタブライアンと、そこらの馬券オヤジやダビスタ小僧でも同じ順位になりそうな結果で、拍子抜け。こういうのを読んでいると、オレに編集やらせろという気になってくるね。次は格闘技特集だそうで、期待しましょう。


29日(金)

今日会った人(佐藤英輔さん)

EISUKE 東銀座の松竹本社試写室で森田芳光監督の『黒い家』。2年前に話題になった貴志祐介のホラー小説の映画化で、原作も面白かったがこれもかなり。大竹しのぶの怪演はおそらく相当の話題になるだろうが、やはり際だつのは森田監督の演出技術。後半部のたたみかけるような展開は、わかっていても興奮させられた。画面を揺らしたり荒らしてみたりモノクロにしてみたりして不安な気持ちをあおる手口も見事。『39 刑法第三十九条』も傑作だったが、これも劣らぬ佳作だ。惜しむらくはキャスティングが地味で華やかさがない。『(ハル)』の内野聖陽は頑張っているが、田中美里はなんとかならんかったのか。実年齢が22歳なのに30歳の役をやらされるのはかわいそうだけど。なお町田康先生もチョイ役で出ています。

 時間が余ったので新宿東映で『金融腐食列島・呪縛』。長い間『マトリックス』に続いて興業収入の2位だった作品で、最近の邦画ではかなりのヒットとなっている。なじみのない経済用語が早口でバンバン語られるので、セリフの半分ぐらいはよく理解できなかったりするのだが、ストーリー自体は明快だし、演出もけれん味なく正攻法で押し切る。監督は『バウンスko GALS』を作った人だが、相当の力量だ。大部の原作を2時間強に無理やり圧縮したせいかやや駆け足なところはあるが、ちゃんと金をかけるべきところにかけているのがわかるので、見応えは重厚かつ硬派。珍しく佐藤慶がいい人役をやっているが、都市銀行の相談役の佐藤が自殺し、その遺書を頭取の根津甚八が読み上げるくだりは良かった。会社のため日夜頑張るサラリーマンの人なら涙なしには見られないだろう(ぼくも昔を思いだして少しジーンときました)。なおこれも『黒い家』も角川映画。日本映画はちょっと面白いことになってるみたいだ。

 夜は新宿リキッドルームでベータ・バンド。非常に器用な人たちだし、ジャンクな遊び感覚ただようミクスチャー・サウンドは、確かにある種のセンスを感じさせ悪くはないと思うが、バシッとした手応えがなく、どうもひ弱さが気になって、最後までのめり込めなかった。いささか緊張感が欠如しているようにも思えたのである。レコードもいまひとつピンとこなかったが、ライヴもイマイチだったなぁ。帰りは佐藤英輔さんと渋谷の天狗で痛飲。ぼくは犬の散歩もあるので12時前に帰ったが、佐藤さんはそのあともひとりで飲みに行ったようだ。元気だねぇ。

 


28日(木)

祝

ダイエー優勝


今日会った人・ドリームマシーン・深澤さん


27日(水)

今日会った人(高橋健太郎さん)

KENTARO

 ダイエー3点リードを自宅で確認したあと、豪雨の夜、神保町のミュージックマガジン社にむかい、高橋健太郎氏、マガジン高橋修編集長と座談会。テーマは『90年代の音楽を振り返る』。久々のマガジン登場となる健太郎氏は徹夜明けのうえ風邪気味とのことで体調は悪かったようだが、喋りは絶好調で、ほとんど独演会の趣。全会話のうち健太郎氏が7割、ぼくが2割5分、残りがオサム編集長というところか。こういう音楽状況論的なことを客観的・論理的に分析する作業はこの人に向いている。それに比べぼくはこんなテーマでも結局個人的な視点でしかモノを捉えられないことがよくわかった。まぁ彼との立場の違いははっきりしたとは思う。編集部の狙いもそこにあったみたいだし。なお写真でマガジン坂本さんがカメラを持ってるのは、雑誌掲載用にわれわれの写真を撮っているのである。彼女とオサム編集長のバックに写っているのは、中村とうよう御大の執務室です。久々に会ったコレクターズ寺田編集長はさらに巨大化していた。とにかくデカイ。
 深夜12時過ぎに座談会はお開きとなり、健太郎氏が最近うちの近くに引っ越したとのことで、帰りはクルマで送っていくことに。健太郎氏のマンションの隣はあの湯川れい子先生宅で、なんと地上4階地下1階の豪邸。同じ仕事をやっていてワレワレとのこの財力の差はなんだという話になる。「やっぱ作詞やんなきゃダメだよ」「そうだよなぁ、ピーター・バラカンもYMOの印税が入ってきてるだろうしなぁ」。バラカン氏も近所に住んでいるらしいが、外車2台持ってるそうだ。う〜〜〜〜〜む。

『ミュージックマガジン』編集部・坂本さん@小山田ファン/『レコードコレクターズ』寺田正典編集長/『ミュージックマガジン』高橋修編集長
OSAMU

26日(火)

 ソウルフラワー・ユニオン中川敬の取材。新作『ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ』は初のライヴ盤だが、おそらく彼らの最高傑作だろう。これまでの彼らにつきまとっていた頭でっかちなところがなく、ナチュラルでフィジカルなグルーヴが感じ取れる。聴衆のなかに放り込まれることで楽曲が生きているのだ。ぼくがここ数年間彼らの取材をやらなかったのは、もちろん依頼がなかったからだが、それ以上にここ最近の彼らに不満が募っていたからかもしれない。その意味でこの日の取材はいいタイミングだった。まぁ本人が自信満々なのはいつものことだが、今度ばかりは素直に耳を傾けた方がいいでしょう。
 また、中川本人のたっての希望で『ミュージックマガジン』10月号に載った、たんじぇりん@若林君のソウルフラワー批判に対して反論したいということなので、若林君に同席してもらった。ふたりで論戦を戦わせてもらおうと思っていたのだが、いまいち話がかみ合わず、こっちは空振り。

今日会った人(左から〜中川敬さん/『ミュージックマガジン』編集部久保さん/たんじぇりん@若林さん)

NAKAGAWAKUBO


25日(月)

今日会った人(『uv』編集部・矢隈さん)

yaguma 青山のミディ・レコードでゆらゆら帝国の坂本慎太郎のインタヴュー。11月17日発売のシングル「太陽の白い粉」のインタヴューである。
 かなり気むずかしい人を予想していたが、意外に雄弁。訥々とした口調で、ほとんど無表情のまま喋るので、この人機嫌悪いんかと思うが、一旦ツボにはまると喋りが止まらない。メジャー・デビュー後かなり聴きやすい音楽性へと変化してきたことに関しても、きわめて筋の通った論理的な説明があり、納得させられた。なお「太陽の白い粉」は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの叙情的な曲を連想させる佳作。アルバムの予定はまだ当分先のようだ。





今日買った雑誌『映画芸術』388号
eigei

 『映画芸術』388号。大島渚監督の16年ぶりの新作『御法度』の撮影現場ルポ、監督はじめ、スタッフ、キャストのインタヴューなど。映画の完成はもう少し先みたいだが、こうやって読んでいると期待は募るばかり。幕末新撰組にした映画で、かの『戦場のメリークリスマス』を彷彿とさせる、男同士の濃密な関係性を描いたものになるようだ。松田優作の息子龍平が準主役に抜擢され話題になっているが、写真を見るだけでも父以上に妖艶で非日常的な存在感が感じられ、かっての戦メリでの教授以上に女子の人気を集めるかもしれない。う〜〜〜ん、はやくみたい。

 映芸は脚本家の荒井晴彦が編集長をつとめる雑誌だが、文章がどれも読みづらい。インタビュー原稿など、オレにまとめさせろよ〜〜と思うこともしばしば。松田政男の文も久々に読んだけど、こんなに読みにくい悪文を書く人だっけ。それともオレの方がバカになって、シンサヨク的檄文を読めなくなってしまったのか。う〜〜〜む。