1999年8月
| 31日(火) |
| ナンバーガールとDMBQ |
| 新宿・リキッドルームにて。まず、デイヴ・フリッドマン制作のEPがなかなか(先出た福岡録音作よりぼくは好き)のナンバーガール。スリーター・キニーの前座で出てきたときは殆ど歌が聞こえなかったが、この日はちゃんと聞こえた。ただ、大勢の客の前で歌うにはヴォーカルの力量は明らかに不足。だが、それが妙な虚無性や悪意表出につながっているところはあり、一概に否定しようとも思わないが。 ともかく、フロントに立つ向井秀徳って人、相当にヘン。とってもヘン。見てくれがフツーぽいから、余計それは増幅される。曲間に何度か、前衛的でもありベタでもある博多弁まるだしの飄々とした“語り”を彼はしたりもしたのだが、とにもかくにもそれがヘン。レコード会社発行のレコード資料に付けている本人のマンガもヘンだし。ホント、変な個体。世のなか、いろんな人がいるんだよなあ。 続いて、DMBQ。じつは前から評判は聞いていて、彼らのことは一度は見てみたいと思っていた。で、最近出たブラック・ミュージック・リヴュー誌のシニア版たるブルース&ソウル・レコーズ誌がジャパニーズ・ブルーズの特集をしていて、付録CD(同誌は毎号、特集に沿ったコンピレーションCDを付録として付けている。そのスタイルは音楽雑誌として一つの理想を追求したものと言えるか)にDMBQの曲も収録されていたのだが(実は、リーダーの増子は同誌の編集委員をしている)、それが良くて、ぼくの妄想はかなり膨らんでいたのだよ。 が、期待とはちょっと違ったナ....。ブルースを奥に置く現代疾走系ギター・バンドというイメージを勝手に作っていたのだが、拠り所はいい意味で古いバンドながら、それほどブルージーではない(ジミヘンぽいところはあっても)。どっかで聞いたことがあるようなリフ一発、それに発展の糸口としていろいろなパートを接ぎ木したような曲をやっていたが、妙なサイケ感覚は判るものの、そうした曲作りはぼくの好みじゃなかった。あとシングル・トーン中心のギター・ソロもぼくの趣味としてはトゥー・マッチ。ライヴ・バンドとしての力はあるし、心意気はたっぷりだし、今後も見る機会があれば喜んで見るのはやぶさかではないが。あ、それから、女性ドラマーがとっても良い。拍手。MCで今度ここでズボンズとやりますと言ってたら、観客どよめいていた。他にも、ボブ・ログ世/ゆらゆら帝国とか、オリジナル・ラヴと一緒のやつとか、MCによるといろいろな人達とこれからやるんですね。 そして、メイン・アクトはくるりだったが、オリヴィア・トレマー・コントロールの前 座で見ているし、汗だくの青年たちは沢山いるし、あっさり会場を後にする。 |
| 29日(日) |
| ケイコ・リー |
| ジャズ・シンガー、ケイコ・リーの弦楽四重奏付きライヴを見に青山・ブルーノート東京に行った。 ここ数年、個人的にけっこうヤラれているのはストリングスの存在である。やっぱ、リッチでスリリングだもの。そういうの味わいたいんだったらやはりクラシックだろうが、クラシックは老後のために取っておこうと思っているので、今はポップやジャズのほうで、その有り難さをちまちま味わうようにしているのだった。だから、インコグニートやインナーゾーン・オーケストラのアルバム等、ストリングス・セクション付きの表現はそれだけで興味ひかれちゃうところがあったりもしちゃうのよネ。蛇足だが、次のプライマル・スクリームのアルバムはなんかしらの形で生の弦の重なり音が入ったものになると、なんとなくぼくは思っているのだけど。というぼくゆえ、別に凝ったものではなかったが、この日のライヴもニッコリして聞けましたね(弦のアレンジはピアノを弾いた野力奏一だったよう)。 それにしても、相変わらずリーはスモーキーな声。これだけジャズ的なイメージと直結したキブンの声を持っている東洋系のシンガーはそういないだろうなあ。そんな彼女の昨年出たアルバム『イフ・イェツ・ラヴ』(ソニー)はポップ曲を取り上げたアルバムだった。ポップを小馬鹿にし(世代的にも彼女もいろいろとポップ表現を聞いてきている人ではあるのだろうが)、自分の持つジャズたる味で横暴に(?)染め上げたような内容で、ジャズのある種の味が実にくっきりと出ていたアルバムだと、ぼくはそれを評価している。で、かつてその感想をある人に漏らしたところ、「あのアルバム嫌いだね。彼女はポップだけじゃなく、人生を馬鹿にしているもの」。ぼくは彼女に会ったこともないのでなんとも言えぬが、そう言わせる彼女は非常に興味深い人だと、それ以来ぼくは一目置くようにしている。 座った席の右隣には浴衣姿の相撲取りが。やっぱ、デブだわ。人間基準法違反。人ごとながら、椅子壊れないのかなあとかと心配する。で、そのお相撲さんが、お酒ガバガバ飲むのはいいとして、煙草もスパスパ吸っている。ああ、相撲は野球と同様に喫煙が“非”とされていない、怠惰なプロ・スポーツなのかと再確認。要求される反射神経はとてつもないものがあるんだろうけど、基本は食っちゃ寝、食っちゃ寝の怠け者たらんとすることが要求されるスポーツだからなあ。一方の左隣のカップルも二人して煙草をスパスパ。なのに、頼んでいるのはコーヒー。なんだこいつら。おれ、基本的に大嫌いなんだよ、飲まないで煙草だけ吸ってる奴って。完全な偏見ですが。 ところで、この日の晩はもの凄い雨。ぼくは遅い回のほうに行ったのだが、もう家を出るときからまさにバケツを引っ繰り返したような土砂降り。ぼくは目黒川沿いに住んでいるのだが、家を出るとき警戒水位注意報のサイレン鳴っていたもんなあ(鳴っても、うちは高台にあるので全然ビビらないんだけど)。そして、運転を始めると雨が激しすぎてワイパーがあんまし役に立たない。もしかして、車を運転していて感じた大雨No.1イン・マイ・ライフ? 車高の高い四駆乗ってて本当に良かったと思いました。マニュアル・シフト派のぼくとしては車高の低いスポーティなやつも乗りたいのだが、こういう日や大雪の日を体験すると四駆はいいよなあ。 で、本当に今回は尋常じゃない雨降りなんだと感じたのは、渋谷駅横の246 とJRの高架がクロスする地点に差しかかったところ。さっと道が開いたので、高架の下を潜ろうとしたら、あらら、ものすごーく冠水してて、乗り捨てられた車が3台ぐらい汚水に埋もれている。急ブレイキ、直前で止まる。びっくり、ゾっとした。で、Uターンして、代官山のほうから南青山に向かったのだが、場所によってはけっこうな冠水具合。並木橋の交差点を横切るときに渋谷方面を見たら、川状態で、タクシーや赤いスポーツ・タイプの車とかが立ち往生していた。うわあ、こんなことあるんだって感じ。でも、ブルーノート東京に着くと、そんな地上の大雨/事故とは無関係にショウは繰り広げられていた。そのギャップに形容不能の妙な感覚に襲われたりも。不思議な一夜でした。 |
| 28日(土) |
| オーシャン・ブルー・ジャズ・ファスティヴァル ・イン・ひたちなか |
| 茨城県の国営ひたち海浜公園の西口・水のステージで行われたジャズ・フェスティヴァルにそれなりに早起きして行ってきた。かつての山中湖ブルーノート・ジャズ・フェスティヴァルの流れを汲むもので、2年前から開かれるようになった大型ジャズ・フェスだが(昨年は台風で中止になった)、ぼくは今回が行くのは初めてである。 実は、非常に楽しみにしていたことがあった。食い物である。1回目に行った複数の人から、「あそこの(食べ物の)出店はすごいよお」「もう、地元の人はりきっちゃっててさあ。とにかく旨いし、安いし」「牛肉のバーベキューとか鰹のタタキとか、他のフェスの出店とはメニューのレヴェルがぜんぜん違う」「食い物だけ目当てに言っても損はないよ」....とか、いろいろ聞かされていたから。そりゃ、チェック入れたくなるでしょーが。だが、実際は目茶期待外れ、とてつもなく肩透かし。店の数は少なくはなかったが、どれも焼きそば、フランクフルトみたいな感じで似たような品ぞろえばかり。値段は多少安めかもしれないが、メニューの幅は狭い、セコい。しかも、イカ焼きとか食ったけど、味も並だったぞ。全然、感激できなかった。前は、全然違ったという話も聞いたが。地元オーガナイザーの的確な舵取りが求められる、なんちって。 今回の目当ては、一にジャズ・トロンボーンの愉快な鬼才レイ・アンダーソン、二にサルサ界の名ピアニスト/リーダーのラリー・ハーロウ、三にロベン・フォード(カサンドラ・ウィルソンも出演するが、来週ブルーノート東京で見るので対象外)。で、その期待度は、アンダーソンが突き抜けている。彼のような真実を追い求める人をちゃっかり呼べてしまえる(そういうえば、数年前の斑尾の故トーマス・チェイピンにも大感激したが)のは、数を揃えなきゃいけないジャズ・フェスのいいところだと思う。アンダーソンがどんなに偉い人か、それを書き留めるためには大幅な行数を必要とするので、ここでは書かないが、現役白人ジャズ系の人では個人的ベスト10に入る人なんであります。 そんなアンダーソンのステージは、なんとアミナ・クローディン・マイヤーズを含むカルテットによるもの(彼女の主役ステージなんてのも見たかったなあ)。ベースはロニー・プラキシコ、彼はカサンドラのバンド・リーダーとの掛け持ちである。まっとうなジャズ感覚を持ち、だからこそ、こぼれ落ちてくるパンク感覚やウィットがとてつもなく美味しい彼ではあるが、その本領は60%発揮といったところか。ぼくの期待は大きいのダ。(ヘンてこさで一部でかなり評価の高い)歌も3曲で披露してくれた。 ラリー・ハーロウは大トリで夜8時すぎに登場。彼の雄姿は昨年夏のカリビアン・カーニヴァルでも見ているが、今回はサンダー・ドラム'99 という名称の自己オーケストラを率いてのもの。アフロ・キューバンというか、少しアフリカっぽいぞとも思わせる打楽器群をごんごん全面に出したそのステージ、やっぱりサルサの舵取り役をずっと担ってきた人ではあるゾと思わせるものはあったんでは。荒かったけど。途中から、客も大乗り、全席自由で人の移動を妨げる人もいないから、後ろのほうからどんどん人が下りていって、前のほうで踊ろうとする。生理的に美しい風景だったなあ。 夜の部は満員。これが、読売ランドのイーストか、ハリウッド・ボウルかという会場で、人が入るとかなり見た目にもカッコいい。感心。ところで、休憩時間のときにちょっと公園内を探索したんだが、そのべらぼうに広くて、なかなか豪華なこと。広すぎて、その全貌は百分の一も掴めなかったのだが、こんなの近所にあればいいなあとはしっかり思った。さすが国営、こんなのは地方自治体レヴェルではなかなか作れんだろうとも。聞くところによると、ここはかつて軍関係の施設があったところで(敵を迎え撃つ、大砲とかが置かれていたのだとか)、かつては立ち入り禁止になっていた国有地なのだとか。イナカとはいえ、この広さはすごい。やっぱセンソーは別格だったのねと思うとともに、昔は相当地元に対しての横暴もあったろうて、その罪滅ぼしもあるのかななんても少し思った。久しぶりに、戦争/軍を肌で感じちゃいましたね。......。初めてここに来た人達も、そうであることを祈る。なんて言い方は、きれいごと過ぎて、いまいち心が籠もってないか。 |
| 24日(火) |
| ペイブメント他 |
| なんと、主役の前に二つもバンドが出るコンサート。1番目の何とかというデンマークのバンドは会場に着いたときは終わっていた。クロスビート誌のコグチが言うには、「ペイブメント系のまっとうなギター・バンド」だそう。ちょっと見たかった、かも。蛇足だが、そのコグチがやっているステレオラウンジというバンドは、洋楽の耳を持っている人間にとってはなんともひっかかりのある、日本語によるなかなかの今時のギター・バンドである。地味な外見/物腰で損しまくりなのだろうが(でも、ステージでは非常に凛々しい)、もしかして編集者としての彼より、才能あるんじゃないの?(この表記、褒めてのものです) 2番目はプリ・スクール。彼らのライヴを見るのは初めてだが、とにかく音がでかい(単独のときはもっと音がデカいそうだが)。アルバムで得た印象と合致しなくて、少しとまどう。でも、ライヴこそ俺たちの本意をぶちかます場だァみたいな気持ちは出せているんじゃないか。 そして、ペイブメント。うまくなったというか、プロっぽくなったというか。まっとうに演奏するようになったよなあ。それがイヤだという声も聞いたが、ぼくは全然本質は変わってないし、いいじゃんと思った。ぼく、彼らにまず感じる魅力はロー・ファイではなく、楽曲の良さであり、そこから生じる歌心だったりするから。今回もその楽曲の良さから出る、とりとめのない歌心は堪能できたもんなあ。ところで、彼らの楽曲の3分の1は、ザ・ビートルズ的だと(典型的なポップ曲ではなく、彼らのヘンてこ系の楽曲に)なぜか感じてしまったりするんだよなあ。公演中、リミックスと称して彼らの曲を弄って、もっとカラフルでカチっとした演奏と差し替えたものにすると一体どんな音になるんだろうか、とか夢想した。 |
| 23日(月) |
| PIG〜バクチク |
| 上記のジョイント、場所は新副都心の青海、ゼップ東京にて。行きのモノレール“ゆりかもめ”はかなりの込み具合。おお、バクチクは人気あんだなあと思っていたら、青海駅隣接のヴィーナスフォートとかいう新しいショッピング・モールみたいな複合施設のマスコミ/関係者用のお披露目のために混んでいると判る(入口のへん、すごい列をなしていた)。家を出る前に、フジTVのニュースで、その中の模様を中継紹介してて、「すごい豪華ですねえ〜」なぞとリポーターが言っていたが、ゆりかもめから見えるその外観は只の倉庫であった。ま、次にゼップに来るさいは少しはチェックは入れたくなるなるだろうけど。 青海駅に着いたとき開演まで10分ぐらいあったんで、やはり隣接するトヨタのバカでかいショー・ルームみたいのをのぞく。なんか、どのクルマも魅力ねえなあってのはトヨタだからしょうがないんだが(他のメーカーも往々にしてそうだが。そりゃ、熱心なクルマのファンは古いほうに向かうはずだ。その点、音楽は種類も多いし、当然のことながら値段も安いし、救いようがある)、ただの2WDのピックアップ・トラックにはひかれる。あれで回転半径がそんなに大きくなかったら、これでいいぢゃんとか思ってしまうなあ。ああ、こういう趣味性のないことしら〜って書けてしまうってのは、もうクルマ・ファンじゃなくなってるってことかなあ。最近、あまり車の雑誌も見なくなってるしなあ。ま、“周期”って部分もあるか。 で、PIG。こりゃ、マニアックに作り上げた奇形のカスタム・カーって感じか。まあ、前もそうだったが、エンジンはかなり出力の出るやつに換えたなって、すぐに判るパフォーマンスではありましたね(メンバーも2人変わった)。キツ目の曲ばっかり並べて、大音量で(完全に耳が死んだぞい)飛ばしまくる。まっとうなものを見据えた末の、歪んだ美意識みたいのが、よく表れていたパフォーマンスだったと思う。オノジマさんと違って、ぼくは肉体/人力性がこれぐらい出ているほうが親しみを持てる。っていうか、電気的処理/飛躍の奥から滲み出てくる、ロック的臭みのようなものが興味深かったと言ったほうがいいか。 続く、メイン・アクトのバクチク。彼らを見るのは、今回が初めて。でも、彼らのことはそれなりに知っている。前に、あっちゃん好きの娘とよくメシ食ってたことあって、よく話をきいていたから(同様に、よっちゃん〜エックス〜もそれなりに知っているゾ;苦笑)。曲間には「あっちゃああん」とか「アッツシー」とか、黄色い声が飛びまくり。かなり、圧倒される。全盛期はもっとすごかったんだろうか。でも、ザ・ビートルズの初期なんてこんなもんじゃなかったんだろーなー、とも思う。だって、当時のフィルム見ると演奏中も女性ファンはずっと絶叫しっぱなしだもの。すぐ近くにかなりレヴェルの高いお嬢さん風の女の子がいたんだが、桜井敦司のファッション感覚に合わせるようにレザー・パンツとか履いてたのだが全然似合ってなくて、胸が痛んだ。ともあれ、ちゃんとMCでPIGのことを触れたのは偉いですね。初体験の彼ら、思ったより、アクセサリーの少ないクルマに乗っていると思った。基本的には、ぼくにはなじみのない車ではあったけど。 |
| 18日(水) |
| モンティ・アレキサンダー |
| 青山・ブルーノート東京で、モンティ・アレキサンダーを見る(この日も、よく入っていた)。彼はオスカー・ピーターソンのような快楽的でよく歌う、素人にも親しみやすいピアノを弾く人だが、ジャマイカ出身ということもあり、すでに80年ごろにはアーネスト・ラングリン(一番上等だったころのジミー・クリフのバンドで弾いていたギタリスト)やスティール・パン奏者と一緒に「メニー・リヴァー・トゥ・クロス」をカヴァーするなんてことをやっていた人である。で、そんな彼の新作はボブ・マーリー曲集で、そのノリのバンドで来日するって情報だけでぼくは見にいったのだが....。つまりは、その新譜はまだ聞いていない。たはは。 とにもかくにも、これが、すげえ良かったんだ。まず、バンドの構成が面白い。なんと、ダブル・カルテットにて。ひとつはまともなジャズのやつ(アレキサンダーもちっちの人として数える。ギタリストはときにスティール・パンを奏でたりも)。そしてもう一つは、外見からしてジャマイカンなレゲエ・サイドのやつ(実はレゲエ公演で数多くのバッキングをやっているガンプション)。その二つのバンドをアレキサンダーは一つの曲のなかで自在にスウィッチしながら(その差異の興味深さといったなら! なお、双方のバンドが重なることはほぼない)、マーリー曲を、非常に楽しく、味わい深く広げてくれるのだ。 それと、やっぱマーリー曲はいいよなって、当たり前の感慨にも浸れた。マーリーはレゲエ・ビート抜きの弾き語りでも唯一通用する曲を書く異色のレゲエの人、とかいう言い方も一部でされるが、「ジャミン」とかアレキサンダーの手によるそれはまるでひっかかりたっぷりのジャズ・スタンダードのように聞こえるところがあったもんなあ。 主役のアレキサンダーはもっと弾きまくってもいいとも思ったが、さすがの指裁き。少しピアニカを吹いたり、歌ったりも。やるなあ、おっさん。結構前で見ていたせいもあるけど、ミュージシャンの呼吸が手に取るように判る演奏で、それにも大感激。そこにはジャズとして重要な生命線のようなものがとっても分かりやすく表れていたと思う。それと、ぜんぜん立脚点の異なるバンドながら、双方のバンド・メンバーがお互いの演奏を認めあっている感じが伝わってくるのも良かった。とくに、相手の演奏を嬉しそうとに聞き入る双方のバンドのドラマーの表情には花丸をあげたくなった。 朝方まで飲んでいて(実は、この日の朝3時少し前〜もっと、早く行こうと思ったのだが止まらなかった〜に、英国では結構評価の高いDJチームのアマンダ・グルーヴをチェックしに渋谷のオン・エア・イーストに行ったら、すでに彼らの出番は終わっていた。とほほ)昼間ヘロっていたんで、お酒をあまり飲まないようにしようと思っていたのだが、演奏が良すぎて、もうどうにでもなれとグビグビ。うーむ、今晩も酒が上手い。いい音楽に触れているかぎり、お酒とは別れられそうもないなあ..... 。 月曜日に続いて、やっぱジャズっていいなあ、と思う。アレキサンダーさん、このセットでまた来ていただきたい(ただし、アンコールに出てきた正体不明の女性シンガーは連れてこないでね)。切望する。そして、今回見なかった人にはお勧めします。 |
| 16日(月) |
| 藤井郷子 |
| 久しぶりにフリーっぽいジャズを聞く。藤井郷子はかつてNYに住んでいて(現在は埼玉県在住)、現地でいろいろと修羅場を踏み、錚々たる人たちと自分の信じる会話法で渡り合ってきた女性。ジョン・ゾーンのTZADIKからのものの他、アルバムもいろいろと出している。新宿ピット・インでのこの日のライヴは夫のトランペッター、田村夏樹ほかのカルテット(ベースは早川岳晴、ドラムスは吉田哲也!)にて。フリーの人は多くの場合フレキシブル、彼女も大きいのはオーケストラ(ビッグ・バンド)編成まで、いろいろとやっている。 客の入りは悪かった。だが、それがどうしたという、嬉しい余裕のようなものが演奏者側にあるような気がして、別に居心地は悪くなかった。気軽に、精神的なパンク(そして、そこから発する音の連鎖)をぼくは楽しんだ。 それにしても、スタンスが清々しい。いろいろとまとわりつきがちなしがらみを一切排し、自分の信じる表現だけを追おうとしているのが、手に取るように判ったもの。それはひどく奇特なものであり、それはそれで、独りよがりになりがちな危険性も持ってはいるのだが、そんな清潔さ、健康さがなんとも気持ち良かった。やっぱ、通常のポップ・ミュージックだけ聞いてちゃ、そういうの味わえないもの。純粋な民俗音楽もそうした感触を得られるかもしれないが、自分がいる日常と繋がった土俵においての表現というのが、ぼくにはとても重要なことに思えるのだ。 1時間で2曲、それがファースト・セット。その後、お約束があって店を出た。音楽よりおねいちゃん。ぼく、最低ですね。なんて、本当は思ってないけど。やっぱ、豊かな生活が第一、それは決して音楽だけから受けるべきものでないのは当然でしょう。 |
| 11日(水) |
| マルコス・スザーノ他 |
| 青山・ブルーノート東京にマルコス・スザーノを中心とするセッションを見にいく。遅いほうのセットに行ったのだが、かなりの入りでビックリ。前週のワイルド・マグノリアスもそうだったし、夏じゃなくても、この手の呼んで欲しいなあ。 案内された席がステージに向かって右側前のほうでこれはラッキー。マルコスの妙技がよく見える位置で(さらには、ドラムスの沼澤尚も)。これ、逆側だとどーんってアコースティック・ピアノがあってそうはいかないもんなあ。 いろいろな縦軸と横軸が交錯してのブラジル人と日本人の邂逅ユニット、と書いてしまっていいのかな。しかも、それに係わっているのが、友人の沼澤尚(シアターブルックやスガシカオ他で叩いている。この春に、東芝EMIからソロも出した)なのだから、妙にくすぐったくも、悪い気がしないのは当然ではないか。って、ここらへんの論調ってただの情緒に流されたもので目茶苦茶。すまん。でも、こう毎日まいにち熱くてはなあ。ここ数年、やたら汗をかくようになったよーな気がするがなんでかなー。昔から、水分の摂取量はハンパじゃないけれど。あ、声のデカさ以外にも、他の人を大きく凌駕する項目だな、それ。 途中からフロントに立った歌とギターのパウリーニョ・モスカの柔和な物腰、もっと書けば“女性”性みたいのが少し気になった。それもまた、ブラジルのシンガー・ソングライター傾向にある人達の不思議な魔法の秘密と繋がっているものであろうから。 終演後、楽屋に沼澤を尋ねる。ブラジル勢、みんな小柄だねえ。溜まった話とかしていたら、12時半近くになってしまった。 |
| 9日(月) |
| 中川五郎 |
| 中川五郎さんの50才の誕生日、及び本「ロメオ塾」の刊行をお祝いするパーティに。場所は渋谷のツインズ・ヨシハシ。今は洋楽やレコード会社を離れた人など、懐かしい顔も。途中、3曲ほど五郎さんは歌う。実は、家も近いし、けっこう親しくさせてもらっているけど、五郎さんの歌を聞くのは正真正銘、今回が初めて。おれ、フォーク毛嫌いしていたから。昔は対フォーク、対歌謡曲っていうセコいバリアみたいなの設けていたからな。で、やっぱりフォーク(笑)だった。喋るときと同じ声で、歌ってました。とにかく、先輩に五郎さんのような人がいると安心する。これからも、ヨロピクです。調子こいて一杯のみ、場所移してからもしこたま飲み、一緒にいった人達とはぐれ(最後のほうは覚えてない)、翌日は見事ハング・オーヴァーなり。 |
| 6日(金)〜8日(日) |
| ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン斑尾 |
| 毎年夏、斑尾高原で開かれている大型ジャズ・フェスティヴァル(一度中断していて、去年から始まった)。昼間はレギュラー・グループ、夜はそこからセレクトされた面子によるジャム・セッションという2本立てで行われている。マッコイ・タイナー、マイケル・ブレッカー、ジェイムズ・ムーディ、メイシオ・パーカーらを楽しむ。この間に3本のインタヴューをやるなど、けっこう働いちゃったかな。野外はいいなあ。自然はいいなあ。夜は涼しくていいなあ。 |
| 5日(金) |
| ワイルド・マグノリアス。 メデススキ・マーチン&ウッド。 |
| 英国時間4日の夜8時前に発つJAL便で、日本へ。翌日の夕方5時すぎ、成田着。急いで、家に帰り、整理もままならないまま、ブルーノート東京でのワイルド・マグノリアス公演へかけつける。もともとニューオリンズものには目がないし、現在正式メンバーとして在籍する山岸潤史とは前からいろんな邂逅の仕方していて(LAの友達の友達んちで和んでいたら、山岸がそこに偶然やってきたとか)、やっぱり見ておきたかった。 開演前、山岸のおっさんが目敏くぼくを見つけてくれる。「えーすけ。おまえ、(ルックスか)若くなったなあ。いやあ、いいよ。絶対いい」(ほんとは、おっさんは関西弁。ぼく苦手なので、標準語で表記します)。「髭、なくなったからじゃない」。「いや、最後に会ったときもなかったぞ」。「えー、いつだっけか」。「ほらあんときの、あれで」と彼は克明に説明しだす。うわあ、普段ニューオリンズの全然違う環境で生きていて、それまでの些細なことなんてすっとんでいてもおかしくないのに、しっかり覚えている。第一、ぼくはすっかり忘れていた。そんなところにも、彼が異国の伝統的グループを“締める”ことが出来た理由の片鱗が表れているような気がした。そういえば、昔一度ぼくの家に遊びに来ることになっときも、ロクに場所を説明しなかったのに、ちゃんとすぐに来たもんなあ。やっぱ見かけによらず、本能が優れた、クレバーな人だと思う。 パフォーマンスのほうは、ちょっは歯がゆいところもあったが、楽しめもした。うーん、書き方が煮え切らなきい? ごめんね、あたまがウニなんで。 だが、続いて新宿リキッド・ルームのメデスキ・マーチン&ウッドのオールナイト公演(というかイヴェントへ)。本当は、昨日のアコースティック・ライヴのほうも見たかったのだが(かなり良かったらしい)。会場で知り合いに、「(ここにいっぱいいる)危ない若者に同化してますね」と言われる。ちょっと、リアクションに困る。2時少し前から始まった、約40分の第一セットをしかと傾聴。やっぱ、MMWはMMWだなあ。少しジャム・バンド人気(米マリファナ雑誌、ハイタイムズにも、その特集頁があったなあ)に便乗しちゃおうか、そんなところがあるよーな、ないような。 リキッドルームからの帰り道、パトカーに止められる。ちょっとびびりつつ、平然と応対。もち、セーフ。免許証見て、年齢聞いてびびっていやがった。あんたら、年長者には丁寧な言葉使いしろよな、と一言捨て台詞。 |
| 3日(火) |
| ブリッジ&トンネルズ |
| この日はめぼしい公演、イヴェントはあまりなし。ロニー・スコッツのグレッグ・オズビーやポートベロー・フェスティヴァル(これは、8月1日と2日のほうが面白そうだった)にゃ、少しひかれたが。夜、遠藤さんの知り合いの知り合いとかいう、彼も初めて会うというネイザン、そして彼のパートナーのマークたちと飲んでいるうち、それだけになってしまった。そのネイザンとマークはブリッジ&トンネルというユニットをやっている。乗りとしてはアンダーワールドに近い感じかな。ちなみに、ネイザンはNY出身、マークはドイツ出身とか。 最初、オールド・ストリート駅の近くのラウンジ・バーみたいなところで飲んでいた(やっぱ、ビールとかはパイント・グラスでサーヴするのだが、パブじゃないそういう飲み屋もあるんですね)。で、そのあと河岸を変える前に、マークが持っているスタジオにちょっと寄ったのだが、これがなかなか立派なものでかなりびっくり。しっかり、プロ・トゥールズもありました。 ところで、ぼくは座っていた位置の関係で主にネイザンと喋っていたのだが、これが大昔ヘヴィメタのバンドやっていたというわりには、非常に音楽の趣味がぼくと似ているんで驚いた。キャプテン・ビーフハートからハービー・ハンコックのセクスタント時代表現まで、ほんと話が合うんだ。音楽の話は、英語が不器用でもなんとかなるものである。なんで、英国に来たの?と聞いたら、「それにはとっても長いストーリーがある」との返事。「あ、長くて曲がりくねったストーリー?」「そうそう」。自分の英語力に従い、かったるいので、それ以上聞くのはやめる。 そのスタジオの前がパブなんだが、路上にみんな座って飲んでいる。シブヤ状態。外でよく立ち飲みしている様子はよく見かけるが、みんな座って飲んでいる光景は初めて見る。我々も座ってビールを飲む。 その二人はラウンダバウトというレーベルもやっている。ホームページも持っていて、もし興味のある人は引いてみてくださいな。彼らの音も聞けるはず。http://www.roundaboutproductions.com/ 。 |
| 2日(火) |
| ブラン・ニュー・ヘヴィーズ |
| ザ・スカラで、ブラン・ニュー・ヘヴィーズのコンサート(10ポンド)。実はカーリン・アンダーソンが新ヴォーカリストになって初めてのお披露目公演で、これを見る(それと、インタヴュー)のが今回の渡英の主目的なのだった。 ライヴの前に、英国ロンドン・レコード仕切りで、カムデン・タウンにあるタイ/マレーシア料理屋でお食事会。今回、新ブラン・ニュー・ヘヴィーズのライヴにあたって、ロンドン・レコードは欧州各国(アイルランド、フランス、オランダ、ドイツ、デンマークなど)のプレス関係者を呼んでいたのだが、その人達を一同に集めてのもの(それほど、立派なレステトランじゃないんだけどね)。けっこう、乱暴な仕切り、かも。それはそれで面白かったが。ぼくの隣にはオランダのラジオ関係のあんちゃんが座っていたのだが、途中で突然肩にかみついてきて唖然。「何すんだ、オマエ」。「いやあ、噛みつきたくなって」。(彼はゲイで)狙われているよ、と一緒にロンドンにやってきたイースト・ウェストの遠藤さんに笑われる。 フランス人やぼくとかは悠長にデザードを頼んでいると、そろそろ会場に向かいたいと思っていたロンドン・レコードの人が「んもー、みんな勝手なんだから。その点、ドイツ人はいいワ。もう、出る準備できてるって言うもの」。でも、この食事会に一番遅れてきたのもドイツ人だったんだけどなあ。 タクシーに分譲して、会場に。地下鉄のキングズ・クロス駅のすぐ側(蛇足だが、ここには真面目なジャズ中古盤屋がある。ちなみに、昨日ちょっと行ったセント・プランクス駅もその隣)。スカラという名前でわかるように、もともと映画館だったところを改装したところで、レトロな外観とモダンな内装がなんとなくいい感じのハコ。ふだんはDJイヴェントが多いようで、少し前のロニー・サイズ公演は長蛇の列になったという。 ところで、ヴァージンとのソロ契約が切れたカーリーンがブラン・ニュー・ヘヴィーズに入ったと聞いて、なんだかなあと思うとともに(やはり、彼女ぐらい才能のある人はソロでやっていきくべきだろう)、こりゃ最強の結びつきだと感じる人も少なくないのではないか。カーリンのファンとしては嬉しいような、悲しいような。いっぽう、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの側に立てば願ったりかなったりといったところだと思う。 さて、キャリアたっぷりのカーリンはどうブラン・ニュー・ヘヴィーズに溶け込むか。さりげなく男性陣と出てきたカーリーンは髪を切っていて、余計に痩身で小柄な印象が増していた。だが、いったん歌えば正々堂々。彼女はエンディア・ダヴェンポート、サイーダ・ギャレット在籍時のナンバーもどんどん歌う。なんの躊躇いもなし。もう、健気にグループの一員として、自分の全てをブラン・ニュー・ヘヴィーズ表現に注ぎ込む、そんな感じにぼくには思えましたね。なによりカーリンが肉感的なファンク・バンドとともに歌うのが楽しくて仕方がないという風情がびんびん感じられるのに、じいーんと来ちゃったなあ。とともに、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの面々も偉大なキャリアを持つ彼女に一目置き、とっても温かい気持ちでもって彼女に接しているのもよく判った。まあ、リード・ヴォーカル(サイーダ)の脱退、(カーリーンの)レコード会社との契約切れなど、ネガティヴな問題がなければ両者の合体はあり得なかったものであるが、その経緯はどうであれ、結果はかなりオーライと言うことができるのではないのか。そんな新生ブラン・ニュー・ヘヴィーズはまず新曲3曲入りのベスト盤を出し、次にピカピカの新作を出すという (すでに、30〜40曲を録っており、どれを捨てるかが一番の難題であるという)。 アンコールの1曲目は、カーリーンがヤング・ディサイプルズ時代に作った「アパレントリー・ナッシン」。この曲を彼女はソロになったときも再録音してシングルと出し、再びブラン・ニュー・ヘヴィーズとしても録音している。もともとは湾岸戦争に触発されて書いた歌。だが、ユーゴ空爆などが起きている現在もまだ有効な曲だと思った。なお、会場があまりに暑すぎてサイモンと挨拶を交わしただけでアフター・パーティを早々に退散したのだが、そこにはヤング・ディサイプルズのメンバーらも来ていたという。 それにしても、観客の反応の熱烈なこと。まじに、すごいの。うわあ、ブラン・ニュー・ヘヴィーズはロンドンのバンドなんだなあってしっかり思わせられちゃった。暑い夜だった。 |
| 1日(日) |
| ノエル・マッコイ。メタルヘッズ。 |
| 昨日と今日は完全にフリー。基本的にこの時期、音楽の公演関係は夏枯れ的。とくにロック系は。とはいえ、この日は昼からレゲエ・サンスプラッシュが開催されることになっていて(27ポンド)、なんとレフジー・オールスターズがメイン・アクト。場所は地下鉄のゾーン2内だから全然遠くないし、かなり心引かれたが、昼間はノッティンガムにある大学の大学院に行っている旧友と久しぶりに会うことになったので断念。電車で3時間弱離れているそうなノッティンガムは、夏における若いムスメ共の露出度の高さで英国では有名な土地なのだとか。なんでも、犯罪発生率もロンドンに次ぐ高さであるそうな。夜、9時の電車で戻る彼女をセント・パンクラス駅(外観が立派ね)まで見送ったあと、カムデン・タウンにあるジャズ・カフェにノエル・マッコイを見に行く(当日10ポンド)。 会場に入るとあらら。人があまりいない。パフォーマンスが始まるころには、多少は増えてきたが、それでもこれまでここに来た(といっても数回だが)なかでは一番寂しい入り。ただ、なんとなくホっとさせてくれたのはかなり黒人のお客さんの比率が高かったこと。4割ぐらいはいたんじゃないかなあ。これは、マッコイのような折衷的な行き方をする人にとっては破格の比率だとぼくは思った。で、あららと思ったのは、バンド(キーボード、ベースとドラムス、テナーとトランペット、というギターレスの編成)がトランペット奏者を除いてみんな白人であること。ま、それは意図的なものではないだろうけど。ともあれ、そのバンドは力量的にはOK。でも、ぼくにはギターを使わない特別な意図は感じることはできなかったけれど。 そんなバンドによるジャズ・フュージョン調のサウンドにのり、ノエルは歌ったり、シング・トークをかましたり。それらは両方とも良好。歌はパワフルではないんだが、力を込めたときのかすれ方がいい。部分的に、若いときのJBやボビー・ウーマックをぼくは思い出した。一時、日本盤なんかも出て、ソウルとジャズの重なりを核に置く今様UK黒人音楽の担い手として注目されかかった彼だったが、とりあえず今もしっかり質を維持しているのはよく確認できた(新しい外盤、高くて買ってないんだよな)。 しこたまお酒を補給して、近くの(といっても5分弱かかるが)カムデン・ロック内にあるディングウォールズに。なんとそこでやっているのは、メタルヘッズのイヴェント。実はこの2月、このディングウォールズでぼくはクリス・ウィートリーの弾き語りを見ている。そのときは、けっこう広めな(リキッド・ルームか、それより少し大きいぐらい)会場にテーブルと椅子が置かれ、チープな飲茶をサーヴしてたりして、こんなフォーク系のハコもあるんだなと思っていたのだが、まさかそんなところでメタルヘッズが開かれようとは。 入場時のチェックがやたらと入念。少なくても、こんなに厳重なのはイギリスでは初めて。NYのように武器とか、危険物のチェックというよりは、薬関係のそれを執拗なくらい調べているといった感じ。ぼくの前の人はタバコの箱のなかまで入念にチェックされていたからなあ。ともあれ、なかに入るとバーには、<10時半以降は、アルコールの販売はいたしません>てな貼り紙がベタベタ(この日のイヴェントは、タイム・アウト誌に従えば7時から始まることになっている)。なんぢゃあ、そりゃあ。確かにソフトドリンクのみの販売のよう。なんで、そんなに制約しているの。なんか、とっても何かを恐れているような印象をぼくは受けた。 さすが会場内は混んでいた。机や椅子は全部とっぱらわれ、人がうようよ。クラブっぽいデコレーション等は一切なし、DJブースはステージ正面に。でも、なんか音がしょぼいんだ。音も小さめだし、あんまりよくない。リキッドルームがいかにいいか再確認した。うーむ、いまいち盛りあがらねえなあ。けっこうどんくさく踊っている人もいて、おやおや。 と、ここまでは、無理してこなくても良かったかなという感じだったのが、日頃行いのいいぼくには、この後なんとも嬉しいハプニングが待っていたのである。 喉が乾いたなあってんで、バーでコークにしようかノンアルコール・ビールにしようか、水を買おうか、思案していたとき。横に坊主頭の白いT・シャツ来たおやじ入ったあんちゃんが、横にすうっときた。彼は店員と言葉をかわし小さなコップにビールを貰った。ん。まさか。横のそいつをじろり見る。おっさん、こっちを見てニっとする。総金歯。おお、まことゴールディだあ。確かにタイム・アウト誌には、<メタルヘッズは驚くべきDJの顔触れを維持、ゴールディやグルーヴライダーも出るんじゃないの>と書いてあったのだが、まさしく本物だ。「あのう、あなたはゴールディ?」。「ああ」。「エースケといいまして、あなたの大ファンです。東京から来ました」。握手、握手。うわー、すげえ。本物だ。イメージだとけっこうゴツくて大柄な感じがするが、けっこう小柄だ。「写真一緒にとっていいですか」。「おうよ」。すかさず、俺に便乗して握手してきたケンカの弱そうな白人青年に写真を撮れとカメラを渡す。二人でニっとやってたら、別な外人がゴールディに話かけてきたりしたのだが、「写真取るんだから、待て」みたいにゴールディはそいつを制する。うわあ、いい人だあ。 実は、ぼくは旅行中カメラを持たない。カメラを持っていると、撮ることに気が向いてしまって、素直にいろいろなものを吸収できなくなるから。とともに、日本と同じように手ぶらで歩きたいというのもあるが。でも、懐かしい友人と久しぶりに会うということで、この日はカメラを持って出たのだった。それゆえの、2ショット写真ゲット。うわあい。ミーハーですまん。 |