2003年9月27日(土)
 いろいろライヴのあった日だが、この日は椎名林檎@武道館。じつはこんな仕事やっていながらこの人のライヴを見るのは初めて。不勉強で申し訳ない。会場に着くと、まずグッズ売場の長蛇の列に驚く。武道館に向かう門を通りすぎて外まで人が溢れている。なるほど、こういう人なのね。たぶん一種のサブカル・アイドルみたいな存在なんだろう。
 で、肝心のライヴはというと……うーん……自意識過剰の頭でっかちの不思議ちゃん、という感じでしょうか。演出も、キャラクターも、すべてがそう。そう話したら、ある女の子に「それが椎名林檎の魅力じゃないですか」と言われる。いや、もちろんそれはわかるし、そういうアーティストがある種のカリスマ・アイドルとして熱狂的な支持を受けるのも理解できる。ぼくも戸川純とか、大好きだったし。だから「自意識過剰の頭でっかちの不思議ちゃん」という感想も、それ自体は悪口ではない。この日のライヴがあまり感心しなかったのは、ひとえに林檎の歌唱とバンドの演奏の問題。ギター、ベース、ドラムス、ピアノというバック・バンドはいささか単調で変化に乏しい。さらにヴォーカルは、迫力はあるがディテールのデリカシーが足りず一本調子な演奏に埋没してしまって、起伏と表情に欠け迫ってくるものがない。林檎は歌のうまい人だと思うし表現力もあると思うけど、この日の歌唱には迫ってくるものがなかった。初めて見たのでこの日のパフォーマンスがふだんに比べどの程度のものだったのか判断がつかないけど、レコーディング・アーティストとしては超一級でも、ライヴ・パフォーマーとしてはちょっと足りない気がした。それにファンの反応もいまいちというか、予想したよりずっと静かでおとなしい。「林檎〜」という歓声(大半が女性)はとぶが、妙に白けた空気が流れているように思ったのは気のせい? こんなものなのかなぁ、といささか釈然としない思いを抱きつつ会場を出ると、チケットの半券を提示するとおみやげをくれるという。ビニール製のバッグに黒い40センチ×20センチの箱が入っている。開けると双六になっていて、根付なんかも入ってる。単体で買っても結構な値段がつきそうな豪華なもので、太っ腹だなぁと思ってふとチケットを見ると、税込み9675円という価格。ちなみに11月のニール・ヤング@武道館が9000円だ。これでファンが納得してるなら別に部外者が口を出す問題じゃないし、グッズ売場の長蛇の列をみると、それでみんな喜んでるんだろうけど、なんだか余計なおみやげ一杯つけて高額なお金をふんだくる相撲のマス席みたい、と思った。

 コンサート終了後はライター講座4月期の打ち上げ宴会で渋谷へ。例によって明け方近くまで飲む。次の期は10月1日から開始だ。

音楽ライター養成講座2003年10月期
新規受講生受付中
●講師……小野島 大(音楽評論家)
●場所……西武百貨店池袋店コミュニティ・カレッジ
●開講……2003年10月1日〜2004年3月17日
●時間……毎月第1、第3水曜(祝日は除く)の午後8時15分〜9時45分
●料金……36000円(新規入会は別途)
●定員……約40名
●問い合わせ……コミュニティカレッジ03-5992-6809