2003年8月30日(土)

 WIRE03@さいたまスーパーアリーナ。開演直前の夕方4時半、ついに来日をはたしたDAFの取材を、同会場のバックステージでやる。最初30分の予定と言われていて、キツいなぁと思っていたら、現場でマネージャーにいきなり「サウンドチェックがあるんで10分で終わらせてくれ」と釘を刺されてしまう。ひえええええ、10分かよ! むかしメタリカのドラムに20分取材っていうのは経験あるが、10分って、日本人アーティストなら世間話で終わっちゃうよ。仕方なく返し一切なし、質問だけを通訳さんに訳してもらったのだが、ガビとロベルト、とにかくよく喋ること喋ること。ものすごく訛りが強い早口の英語で、しかもときどき二人同時に喋り出すので、正直な話、内容の半分も理解できなかったのは悔しい。当然用意してきた質問もほとんど消化できず。結局15分ぐらいはやったと思うが、横にマネージャーが張り付いてなければもっとできたと思うと残念。続きはe-mailでやろうと言ってくれたけど……。
 ふたりとも40歳をはるかに超えているはずだが、ロベルトはあまりむかしと変わらない。温厚な2枚目のインテリという感じ。メガネ、白髪混じりの無精ひげをはやしたガビは、年相応という感じだろうか。来日直前に怪我したらしく右腕にギプスをはめ吊っているのが痛々しく、最近の写真の印象と比べても異様にやせ細っていて、頬もげっそりこけていたのがちょっと気になった。なおロベルトは事故で足が不自由という噂があり、ぼくも原稿にそう書いたことがあるが、ふつうに歩いていて、とくに不自由という印象はなかった。

 そしてライヴである。20年前の来日中止以来、待ち続けた初来日公演だ。その直前のヘルのDJ時からライヴ・ステージの前のほうに張り付き待機、万全の構えで挑んだのだが、いやはや最高でした! はっきり言って今年最高に燃えたライヴだった。久々に汗だくになって暴れまくってしまった。2曲目に「Der Mussolini」をやったあたりから興奮しぎて記憶が曖昧なのだが、DAFの本質はテクノじゃなくパンクだとはっきりわかった。ガビがヴォーカル専任、ロベルトはシンセ、さらに生ドラマーという究極のミニマル編成だが、ドラムが打ち込みでないのは大正解。DAFの汗くさい肉体的なサウンドは、やはり人力のタイコでないとダメ。しかも、そのドラムが結構いい加減というか、ときどきズレるのがまた、味だった。レザーのスーツの胸をはだけ、ギプスをはめた腕を振り回し、エヴィアンを何度も頭からぶっかけ、ずぶぬれになって踊り&シャウト、客席を指さしてアジテイトしまくり、曲が終わるごとに「ダンケシェーン!」と絶叫するガビさん激萌え。メガネをとり、ヒゲもそり落としたお姿は、取材時のおっさん臭さがまるで別人のようだった。
 いやー、しかしこれがヘタしたら今年のベスト・ライヴかもしんないって、ちょっとヤヴァイですかね。サマーソニックのディーヴォといい、あのころの人たちが元気&健在なのはうれしい。今度は単独来日して、もう少し長くやってくれるとさらにうれしいけど、体力的にあれ以上は無理かもしれないな。23年前、六本木のクライマックスというニュー・ウエイヴ・ディスコで、「Der Mussolini」を初めて聴いた(踊った)ときの異様な衝撃をまざまざと思い出し、大興奮の45分だった。いやー感激。呼んでくれた卓球にも心底感謝。さて、次はキリング・ジョーク再来日を期待、ですな。

daf

←役得。ガビは右手を使えず左手で書いたので、少し字がのたくっている。サインもらってるヒマがあったらインタビューに使え、という当然の突っ込みは、今回に限って受け付けません(開き直り).












 さて、WIREである。今年ではや5回目というから、月日のたつのは早い。入場人数が例年と比べてどうなのかはちょっとわからないが、同会場での第一回目だった去年と比べると、会場内のオペレーションは断然良くなっていて、移動もスムーズ。混雑感も昨年ほどではなく、快適だった。じつをいうとこのイベントに最初から最後まできっちりつきあったのは初めてなのだが、12時間の長丁場、さすがに夜が深くなるとスタンド席でうたたねしてしまったものの、おおむね退屈しないで済んだ。
 正直DAFで燃えすぎてほかのアクトが印象薄くなってしまったのは否定できないが、ポール・マック、田中フミヤ、クリス・リービンと、主にセカンド・フロアのDJたちのプレイが楽しめた。フロアの大きさも手頃で、音も良かったし。
 すべてが終わり、「SEE YOU NEXT YEAR」の電光掲示板を確認して、すっかり夜も明けきった6時半に家路に就く。これにて今年の夏は終わり。自宅に帰る路線バスに乗ると、なんとWIRE帰りの若者ふたりと一緒になる。早朝のバスに客は5〜6人、そのうち3人がWIRE帰りとはすごい確率だ。お互い見知らぬ他人同士だが、なんとなく微笑ましいようないい気分になった。さて、来年も同じバスで乗り合わせるだろうか?