2003年6月7日(土)

 たまには野球の話題でも。

 阪神はどうやらこのまま突っ走りそうな気配だが、来年はメジャーに復帰すると噂の伊良部をはじめ、先発ローテーション投手や野手のレギュラー陣の平均年齢が高く、今年はよくても来年以降に結びつきそうにない。伊良部、藪、ムーア、下柳、ウィリアムス、金本、桧山、片岡、矢野、八木とみな30代以上で、来年以降の上がり目が期待できないベテランばかりだ。今岡だってもう若手とは言えないし、さらなる飛躍が期待できそうなのは赤星、藤本、浜中、関本、投手では井川ぐらい。これで先発ローテーションに藤田や藤川が入ってバリバリ勝ちまくっているなら継続しての強さが期待できるだろうが、この布陣ではきつい。ここのとこずっと目先の即戦力補強にかまけてきたツケが、来年あたりはきそうな気配だ。なんでも中日時代も星野は連覇したことがないらしい。短期的にチームを強くできても、それが続かないのは、真の意味での強いチーム作り、つまり育成に向いていないということだろう。それより、今年は世代交代の狭間にある読売や横浜あたりが、来年以降は怖い。

 ともあれあまりに強すぎ、まわりが騒ぎすぎで、阪神熱はすっかり冷めているので、いまは日本ハムを応援中。ヒルマン監督の采配がようやく浸透してきたようで、楽しみが大きい。この日も6点差をひっくり返す大逆転勝利。今年秋の補強次第では、来年はおもしろいかもしれない。

 それから、久しぶりにここ一ヶ月ばかりの間に読んだ本でも挙げてみよう。ここのとこ、小説を読んでないなぁ。未読つん読本は山のようにたまってるんだけど……。

『動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評』東浩紀・笠井潔(集英社新書)
 ……『動物化するポストモダン』(講談社現代新書) が刺激的だった若手論客の東と笠井のウエブ上で交わされた往復書簡を収録したもの。後半にかなり緊迫したやりとりがあって引き込まれるが、全体にやや議論がすれちがいがちな感も。

『間違いだらけのクルマ選び 03年夏版』徳大寺有恒(草思社)
 おなじみの自動車選びのガイド本。著者はもっとも信頼できる自動車評論家のひとりで、単なるハードの解説にとどまらず、文明批評的なコンテクストまで及ぶ筆致はさすがだが、輸入車の素晴らしさをさんざん説いておきながら、紹介しているクルマの大半が国産車で、輸入車はわずか10台余りなのは物足りない。

『空疎な小皇帝―「石原慎太郎」という問題』斎藤貴男(岩波書店)
 『ダカーポ』の連載などでおなじみ、いまもっともリベラルなジャーナリストのひとり斎藤が描く、プチ・ファシストの実像。小泉純一郎もそうだが、政治家の表面上のイメージの良さに騙されてはいけない、ということを痛感する。断片的な情報がランダムに並ぶので、石原の全体像はいまひとつ掴みにくいうらみも。

『"全身漫画"家』江川達也(光文社新書)
 『東京大学物語』などで知られる著者の一人語りを、別のライターがまとめたもの。自身のキャリアや自作についてかなり突っ込んで解説しているので、ファンには興味深く読めるだろう。とくに熱心なファンではないぼくにとっては……プライドの高さと自信家ぶりにやや辟易した。彼の作品についてある程度詳しくないと話が見えないところも。


『最強の競馬論』森秀行(講談社現代新書)
 中央競馬の一流調教師が記す競馬論。競馬に詳しい人なら先刻承知の話も多いが、やはり現場の第一線にいる人が書くと納得させられる。当然ながら競馬をロマンとみるのではなく、あくまでも経済行為として捉えているので、どっぷり競馬にはまっている人より、競馬初心者や門外漢のビジネスマンのほうが面白く読めるかも。調教師としてつねに新しいやり方を率先して取り入れている人なので、古い世代の調教師への批判が多いが、そういうやりかたで成功している人もいるわけだし、その人たちの反論を読んでみたいと思った。


『教養としての"まんが・アニメ"』大塚英志・ササキバラゴウ(講談社現代新書)  
 戦後マンガ・アニメの大物作家たちの技法やテーマを読み解く文化論。とくに大塚が担当するマンガ編は面白いし刺激的。ぜひ1冊丸ごとのマンガ論を書いていただきたい。大塚英志は『定本 物語消費論』(角川文庫)『「彼女たち」の連合赤軍―サブカルチャーと戦後民主主義』(角川文庫)『江藤淳と少女フェミニズム的戦後―サブカルチャー文学論序章』(筑摩書房)と、刺激的な論考を次々と送り出していて、いまもっとも信頼できる評論家の一人だ。

『日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた』元木昌彦(夏目書房)
 講談社の名物編集者が雑誌編集者の心得を説く入門書。現場第一線で働くジャーナリストや編集者へのインタビューも。編集希望者だけでなくライター希望者にも参考になる。『WEB現代』の連載をまとめたもので、第一弾の『編集者の学校』(講談社)も面白い。