2003年6月20日(金)

 来週後半に急遽、出張が決まったので、それまでにやっておかねばならないことが山積み。いっぽうで未整理のCDや資料類がもはや限界を超えていて、もうワケわからん状態。根を詰めてやっていると息抜きが欲しくなるから、一時やめていた仕事後の部屋飲みもいつのまにか復活している。悪循環ですね。
 仕事が一段落すると居間でDVDを見ながら一杯やるのが習慣だが、ここのところ映画より音楽ものを見ることが多い。音楽評論家なんだから当たり前と言われそうだが、仕事という意識はまるでなく、ただ楽しみのためなのだ。ここのところいい音楽DVDが多いということもあるし、AVシステムを入れ替えて画質・音質とも格段に向上したこともある。思うに、5.1チャンネル・システムの登場によって、音楽DVD、とくにライヴものを見る頻度が格段に増えた。とにかく臨場感がまるでちがうので、同じソースでも旧来の2チャンネル・ステレオではショボくて聴けたものではないのだ(もちろん例外もあるが)。このあいだミュージックマガジンから出た音楽DVDのガイド本の仕事はなかなか楽しくできたのだが、実際に同業者で5.1チャンネル・システムで試聴できる環境にある人はごく少数のようで、ほかの人の評文をみても、触れられて当然のサラウンド音響についての言及が全然ないものが多く、ちょっと残念な気がした。それとも当たり前すぎて、改めて触れるまでもないと思われてるのかなぁ。

 で、最近話題の音楽DVDといえばもちろんレッド・ツェッペリン 。ただただ「すげー」を連発するしかないの失語症状態なのが音楽評論家として情けない限りだが、むしろここのところのお気に入りはファットボーイ・スリムのライヴだったりする。これがもう、およそダンス・ミュージック好きなら涙モノの感動作なのだ。
 昨年イギリスのブライトン・ビーチでおこなわれたレイヴの模様を収めたもので、広い広いビーチを埋め尽くした25万人(!)の観客が、ほんとうに楽しそうに踊りまくる姿は壮観。こいつらただ踊るためだけにわざわざここまで集まったのか、と思うとなんだか嬉しくなってしまう。しかもその25万人を踊らせ、熱狂させているのが、ステージ上に据えられたターンテーブル2台とミキサー1台だけというのがまた、最高。たったそれだけの機材でノーマン・クックがプレイして、ただそのためだけに集まった25万人が自己を解放してただひたすら踊りまくる。お前らそんなに踊るのが好きか! オレも大好きだぞ!とわけもなく興奮してしまう。とくにこのソフトは5.1チャンネル・ミックスが効果的で、大音量で聴いていると25万人のひとりになったようで、やたらとアガるアガる。ダンス・ミュージックの楽しさをこれほどあらわした映像はほかにないと思う。およそ楽しいことが好きなら、ぜひ一度体験してもらいたいDVDなのだ。
 今年はもう無理だが、来年あたりのフジ・ロックのグリーン・ステージでノーマン・クックのDJをぜひぜひ体験してみたい。幕張メッセの閉ざされた空間じゃ、いまいち盛り上がらないよね。