2003年3月13日(木)

 スペシャル・セッション@新宿ピットイン。メンバーは山下洋輔(p) 片山広明(ts)大友良英(g,electronics) 中村達也(ds) 。2デイズの二日目で、前日は片山抜きの3人のセッションだった。一騎当千のすさまじいメンツだが、なぜ達也がここに加わっているかというと、去年の暮れに同じ場所でやったジョン・ゾーン、ビル・ラズウェルのセッションに達也が参加したことがきっかけらしい。ビルやジョンとは知り合いの知り合いみたいな形で直前に声がかかったらしく、ぼくもあとで聞いて知ったのだが(ちなみにこのときの音源が残っているらしく、リリースの可能性あり)、今回はきちんと事前にアナウンスされたこともあって、かなり前にチケットはソールド・アウト。会場で会った評論家の伊達政保さんは、発売開始日当日にチケットを買ったのに、もう整理番号100番を超えていて驚いた、と言っていたが、ぼくはソールド・アウトで買えず、仕方なく達也のマネージャーに連絡してゲストで入れてもらったのだった。業界人特権。買えなかった人には申し訳ない気分。伊達さんによればジャズ・ファン的にもかなりレアなメンツらしいが、達也ファンのチケット取りパワー恐るべし、か。
 なんでも00年に達也と山下洋輔とは1回セッションしたことがあるらしく、またジャズ・ドラマーの日野元彦のレッスンを受けていた時期も(確か)あるはずだから、まんざら接点がないわけでもない。しかもブランキー加入前の達也が、あちこちのバンドに助っ人で参加しまくっていたのはよく知られているだろう。ブランキー解散後もフリクションのレックをはじめいろんな人とセッションしてたらしいから、こういう他流試合は得意だったりするのである。
 内容はほぼフリーなインプロヴィゼーション大会。なんでもリハはわずか10分、始めと終わりだけ決めてあとは即興だったみたい。結論からいえばすごくスリリングで、楽しいセッションだった。やる側(とくに達也)が心底楽しんでやってる様子がひしひしと伝わってきて、ファンとしてはとても嬉しい。マネージャーとも話していたのだが、歌バンでなく、曲の形も定まっていないこういうセッションでは、ほんとに達也はイキイキとしてプレイする。ロザリオズは定型的な曲表現とフリーなセッションの中間を狙ったものというわけだ。しかもロザリオズとちがって、この日はみな達也よりかなり年上のベテランばかりで、いわば達也の立場は末っ子、小僧みたいなもの。60代、50代、40代、30代と年代がバラバラだから、ヘンな意味での対抗心がない。3人が達也をたてて、達也の好きにやらせているのがよくわかった。そういう状況だから、基本的に周りにすごく気を使って合わせるたちの――だから、ストレスがたまりがちの――達也も、遠慮なく、のびのびとプレイできるわけだ。じっさい、これだけのメンバー相手に一歩も引くことがなかったのは素晴らしい。
 二部構成で、約2時間。30分を超える長い曲が2曲と、10分ほどの曲をアンコールも含め3曲、実質1時間半。飽きずに楽しめた。ピアノの音が小さかったのは惜しかった。山下洋輔のライヴって大学のときに見て以来だが、さすがにだいぶ丸くなったようにも思えた。でもやはりすごいプレイヤーです。出す音が別格というか、くっきりと立っていたのだ。

 ゲストも豪華。照井利幸、チバユウスケ、クハラカズユキ、加藤隆志、武田真治と、客席にいたメンツだけでもうひとつバンドが組めるぐらい。さらに永瀬正敏(達也×遠藤ミチロウのタッチ・ミーのライヴにも、俳優の村上淳とともにきていた)、松田美由紀といった「濱マイク」組まで。達也の人望のほどがよくわかる。それに比べ、評論家や編集者などメディア関係は、伊達さん、「Overground」(うちの受講生OB有志がやってるミニコミ)の立石さん以外全然見なかった(ジャズ関係の人はいたかもしれない)。達也マネージャー氏によれば前日も全然いなかったらしい。声かけてないんだから当然ですよ、とマネージャー氏は言っていたけど、そんなことでいいんですか、同業の方々。ロザリオズ、メジャー契約が決まったみたいですよ。


 終演後は会場内での簡単な打ち上げのあと、場所を変えて達也や、上記のゲストの人たちと飲み。むかしの酒癖の悪さを考えるとウソみたいに穏やかに飲む達也だった(笑)。