2003年2月5日(水)

 乃木坂のキューン・レコードで、ラルク・アン・シエルのYUKIHOROの取材。3月に彼のユニット、アシッド・アンドロイドのミニ・アルバムが出る。ゲストでカーヴのトニー・ハリディが参加。内容はインダストリアルというよりは、ゴシック・シューゲイザーに近いかな。彼らしいバランス感覚が感じられる作品である。
 この人に取材するのは3回目だが、うーん……毎度のことながら、決して取材がやりやすいタイプの人じゃないですね。穏やかでいい人だし、別に意地悪してるんじゃないことはよくわかるんだけど、とにかく質問に対して本当に必要最低限のことしか答えてくれないので、なかなか話がふくらんでいかないのだ。なので30分ちょっとで取材は終わってしまった。同行した編集者によれば、それでもふだんに比べればずいぶん喋っていたほうだというけど、いやー、インタヴュアーとしての力量不足を痛感しました。

 久々に会ったキューンのスタッフと話していたら、なんとキューン・レコードの新社長が中山道彦だという。アーティストじゃない一般人の実名は出さないほうがいいだろうが、まぁ社長だったらいいでしょう。彼とは電気グルーヴがデビューするころからのつきあいで、4〜5年前にはギターウルフのアメリカ・ツアーに一緒に同行取材したこともある。電気、ギターウルフ、ポリシックス、そしてYUKIHIROと、なぜかぼくがよく取材するキューンのアーティストはすべて彼の担当である。ちょっとソニーにはないタイプの型破りなA&Rで、アーティストからの信望も厚い男だけど、まさか社長になるとはねぇ。ぼくと同年代の人は各社で課長や部長クラスに出世してるし、メジャー・メイカーの社長クラスにも何人か個人的な知り合いはいるけど、さすがにタメ口利くような仲の、しかも年下の人が、こんなにはやく大きな会社の社長になったのはすごい。いやー、世の中激動してるね。キューンのスタッフも寝耳に水の人事で驚いていたが、たぶん本人が一番アワ食ってるだろう。ついこないだ新宿の中華料理屋で一緒に泥酔してたというのにねぇ(笑)。ともあれ、サラリーマンなら一度は見る夢だ。おめでとうございます、みっちゃん。偉くなっても変わらないでほしいものである。

 激動してると言えば、ぼくも関わったことのある音楽誌2誌が休刊決定らしい。1誌はむかしよく書いていて、最近はまったく縁がなかったが、もう1誌はいまもときどき書いている雑誌だ。休刊といっても後者は月刊から不定期刊になるということらしいが、前者はなんと出版事業自体からの撤退らしい。いずれにしろ書く場がまたひとつなくなったのは痛い。これでぼくが関わった雑誌って、いくつつぶれたろうか。音楽業界、出版業界の不況も、ここに極まった感じだ。いろいろ思うことはあるし、自分のこれからやるべきこともおぼろげに見えてきたが、またそれは改めて書く機会もあるだろう。

 夜はライター講座。受講生のナオちゃんに、「小野島さん、毎日ライヴ行ってるからヒマなんでしょ」と言われた。ヒマじゃねぇよ! つうか、ライヴ行ってるからヒマじゃないのか。その大半がライヴ評書くわけでもなくただ遊びで見てるだけなのは確かだけど、それとは関係なく去年の11月からこっち、ずーーーーーーっとつまってるのだ。もちろんここにも書いたディスク・ガイド本の執筆が3冊も続いているのが主な原因で、1月中には一段落するはずが、全然終わらない。そうこうしている間に次の大きな仕事の時期もきて、なんやかやと3月いっぱい、へたすりゃGWまでは続きそうな気配。多忙自慢みたいでいやだけど、ここまで気が抜けない期間が続くのは初めてかもしれない。まぁ前述のように状況の悪い中、フリーランスが忙しいのは悪いことじゃないが、そのわりに収入のほうがさっぱりなのはどうしたことか。金がないんでPCの買い換えもままなりません。確定申告の季節なんで、はやく済ませて還付を受けたいとこだけど、そんな時間ないです。ああジレンマ。