2002年1月4日(土)

 あけましておめでとうございます。
 29日の日記にも書いた通り風邪をひいてしまい、元旦に入院している祖母の見舞いにいったほかは、30日から3日まで、ほとんど自宅から出ることなく過ごした。ただでさえ静かな住宅街、正月の間はほんとうにひっそりと静まり返っていて、いつになく落ち着いた新年を迎えたのである。GWにしろ、長い休みになると途端に風邪をひいたり体調を崩すのは、やはりふだんは気が張っていてそうとう根を詰めて仕事してるってことか。もう若くはないし、無理の利かない年齢ってこともある。若いころはここぞとばかりに大晦日だろうが正月だろうが遊びまくっていたが、このトシになると家でぼんやりしているほうがラクなんだよな。ともあれ、今年もよろしくお願いいたします。

 今年は2月から春にかけて、ぼくが監修するディスク・ガイド本が2冊続けて出る。1冊はシンコー・ミュージックからUKニュー・ウエイヴ本、もう1冊は別の出版社からヘヴィ・ロック本だ。後者はまだほとんど作業が進んでいないが、前者はなんとか2月中には出せそうだ。タイトル通り、70〜80年代の英国ニュー・ウエイヴの名盤5百数十枚が、カラージャケ写入りで紹介される楽しい本です。音楽之友社から以前出した『ロック・オルタナティヴ』が現在品切れ状態のようなので、70〜80年代ニュー・ウエイヴに関心のある方はこちらをぜひお買い求めください。昨年末からの死ぬほどの多忙状態は、これの執筆なのでした。総数200枚近くのレコ評、えらく大変だったけど発見も多かった。ぼくにとって評論家としての原点がパンク/ニュー・ウエイヴなのはあちこちで言ったり書いたりしている通りだが、いま振り返ってみても示唆と刺激に富んだ、実におもしろい時代だったと思う。なおほかの執筆者は、石川真一、宮子和眞、松山晋也、佐藤英輔、中野泰博、石田昌隆、油納将志、岡村詩野、吉村栄一、久保田稔人、それに人気バンド、カリガリのヴォーカリストの石井秀仁(ちなみにポジパン担当)の各氏。いずれもぼくの信頼する書き手の方々なので、資料的価値だけでなく、読み物としても面白いものになってると思います。岡村、吉村、久保田と旧NEWSWAVEのライター/スタッフも雁首揃えてるんで、むかしの読者の方もぜひ。なお発刊にあわせて「bug」のスペシャル・イベントも予定してるので、そちらもお楽しみに。


 で、この日は久々に繁華街に繰り出す。正月明けの下北沢は意外に空いていて、ゆったり飲めた。お相手は石井恵梨子、レンチの敏腕ベーシスト、松田知大くん。生粋の松田ギャルのエリコのたっての希望で実現したものだが、筋金入りの三島由紀夫ファンだという松田くんは文学、映画、漫画、もちろん音楽と、実に話題豊富な男で、とても楽しい時間だった。取材以外の場でミュージシャンとこういう形でフラットな会話を交わしたのは久しぶりな気がする。語弊のある言い方をすれば、アーティストである以前にひとりの人間として実にバランスのとれた好漢なのだ。レンチのメンバーはそれぞれ人間として魅力のある人ばかりだが、そうした蓄積が作る音楽にも反映していると思う。新作『Overflow』は文句なしの力作。エリコは(期待が大きかったがゆえに)いろいろ言いたいことがあるようだが、ぼくは大好き。なお松田くんの個人サイトでは、彼の文才も確認できる。→http://www.3rdstones.com/eo/