2002年8月29日(木)

 前日に続きリキッド8周年記念イベント。この日はクラムボンとROVO。
 クラムボンのライヴを見るのは初めてだが、事前の先入観とはまるでちがうので驚く。つうか、これは完全に音響系じゃないですか。アルバムでROVOの勝井祐二がゲスト参加したあたりから何かありそうとは思っていたが、納得。原田郁子のヴォーカルと、音数の少ないシンプルで、しかも奥行きとニュアンスに富んだ演奏のバランスが素晴らしい。あわてて先ごろ出た『Re-clammbon』を聞き返すと、これまた素晴らしい。すいません、勉強不足でした。自らの不明を恥じ入るばかりです。

 続いてはスーパーカーのメンバーによるエレクトロニク・DJユニットFLAVA。これも悪くなかったが、やはりトリのROVOは別格。武尊とは選曲もかなり違ってたし(ダブリはKNM!のみ)、セット全体の狙いが異なっているだろうからどっちが良かったとは一概に言えないけども、いずれにしろこのバンドの図抜けた演奏力、構成力、空間支配力をいやというほど思い知らされた。すごいバンドだね、本当に。ことライヴに関しては、現役世界一と断言していいんじゃないか(あ、このへんイキオイで言ってるんで、「アレはどうなんだ?」「これはどうなんだ?」というツッコミはなしね)。
 ほとんど忘我の境地で踊りながら思ったのが、ボアダムスのこと。『スーパー・アー』のころのボアダムスがやっていたことを、いまのROVOが引き継いでいるという見方はありだろう(どっちが先にあのスタイルを提示したか、という問題はさておいて)。あのころのボアのライヴも本当にすごかった。山塚アイという人の性格なのか、ボアは一旦築いたスタイルを守り続け、より完成度を高めていくことには関心がないらしく、あの方向性は長続きしなかったけど、あのままの形でより突き詰められていたらどうなっていたか、と考える。ROVOというバンドのスタイルは、いまとはかなり異なるものになっていた可能性があるだろう。共通メンバーである山本精一がどう考えているのか、興味深い。そういえばいまのレンチの音楽性も、一時期のボアが行きかけて止めちゃった方向性だと思えるし。
 昨年のフジ・ロックでのライヴは、『SAI』で提示された器楽的な方向性と、アゲアゲのトランスを求める観客のズレが感じられ、アーティストの表現欲と観客の欲求のギャップを痛感したが、その後何回かのライヴでいつのまにか修正されてしまったようでもある。これが、ROVOが観客の側に寄り添ったのか、観客が慣れたのか、そこはよくわからない。いずれにしろ、いまのROVOが最良の状態にあるのはまちがいない。11月21日発売の新作、12月20日の渋谷AXライヴが死ぬほど楽しみ。

 それからこの日のライヴが気持ちよかったのが、出るバンド同士がリスペクトの気持ちを持ち、ファン同士もきちんとお互いに敬意を払い、関心を持っている様子がうかがえたこと。残念ながら昨日は、そういう温かい雰囲気は感じられず、せっかくの共演なのになんだかお互いに壁を作っているようで、ギスギスした感じさえあったのである。まぁそれが悪いとは一概に言えないけど、ぼくはこの日のライヴの方がはるかに楽しめた。

 終演後は数人で中華。一人が「ライヴの安定度(こっちの期待を裏切らないという意味)ではROVOとギターウルフが双璧」と言っていたけど、気持ちはわかる。ウルフは置くとしても、ROVOに関しては勝井祐二の生真面目な性格(礼儀正しいMCによくあらわれている)によるところが大きいと思う。ちなみにライジング・サン、武尊、この日のリキッドと全部見た友人によれば、この日が一番良かったそうだ。リキッド見た人、得したね。