2002年8月10日(土)

 危惧した通り、見事に寝坊する(笑)。起きたらもう9時半。とるものもとりあえず、二日酔いのアタマを抱えながらクルマに飛び乗るが、お盆休みの帰省&観光客の大渋滞にはまり、予定はさらに遅れる。途中で友人ふたりを拾い、茨城県のひたち海浜公園へ。ロック・イン・ジャパン二日目を見るためである。言うまでもなくロッキング・オン主催のこのイベント、今年で3回目だが参加するのは初めて。ちなみに同乗したふたりのうちひとりは、広瀬陽一さん。やはりここはロッキング・オン出身の大物OBにご一緒させていただくのが筋というものでしょう、ということで無理やりお誘いしたわけである(笑)。

 寝坊した時点でトップバッターのポリシックスを見るのは諦めていたが、その後も常磐道の度重なる事故渋滞などもあり、着いたのは結局3時近く。だが楽しみにしていたUAの出番直前ということで、これはこれでタイミングが良かった。
 会場は公園、だがとにかく広い。総敷地面積がフジとどっちが広いのかわからないが、基本的に起伏のない平地がただ広がっているだけだから、感覚的にはやたら大きく感じる。フジの会場とちがい平地だから移動はラク。その代わり木陰などほとんどないから、陽の出ている間は炎天下の直射日光をひたすら浴び続けることになり、なかなかつらいものがあった。ふたつのステージがあり、大きな運動場のような巨大ステージの方にUAが出たのだが、あまりに暑くて集中力も削がれがち。UAの音楽も、どうみても炎天下の野外で聴く感じではない。いろいろ事情はあろうが、陽が落ちてからの出番の方が良かったのではないか。
 ということで、その後は適度に木陰があり、後ろのほうは半円コロシアム形式になっていてまったりできる小ステージで過ごす。5年ぶりの復活というピーズは、相変わらず「ダメ男のボヤキ節」が満開の、いかにも彼ららしい乱暴な演奏ぶり(技術的に荒っぽいという意味ではなく、そのメンタリティが)がうれしい。ハルがようやくやる気になってくれて、喜ばしい限りだ。
 続くブンブン・サテライツは、2年前にフジで見たときよりはるかにいい演奏と思った。周りの評判も良かったけど、彼らの音楽には笑いの要素がない。生真面目なのは結構だが、しなやかさがないのだ。自己のありさまを笑いとばせるような余裕が出てこないものだろうか。そうすればぐっと世界が広がると思うのだが。
 トリはナンバー・ガール。まぁ相変わらずといった感じで、彼ら流の刺激に慣れてしまったかな、という印象も。途中でダブ的な展開になるところは良かったが、あれもゲストで出たこだま和史の力という気がしないでもない。ちょっと繰り返しになってるのかな。彼らの音楽は基本的に洋楽などからの引用で、とくに新しいものがあるわけではない。といって開き直ってマンネリ、クリシェの美を追究しているつもりはないだろうし、徹底的にエキセントリックで過激、というわけでもない。中庸でバランスがとれているが、反面中途半端なのだ。向井秀徳のキャラクターや、4人のメンバーのルックスも含めたバランスが新鮮だったわけだけど、当初の刺激に慣れてしまったいま、新たな一手になにが用意されていくのか、要注目だ。もうすでに熱心なファン層をつかんでいる彼らだが、このままではこれ以上の広がりを得るのはむずかしいと思う。

 なんでもこの日の入場者(完全ソールド・アウト)は4万人だそうで、史上最高の動員だったという今年のフジ・ロック三日目より多いことになる。入場者の年齢層も、フジに比べはるかに若い(このクソ暑いのに、ビールを飲んでる客の少なかったこと)。しかしその割に会場ではさほどの混乱もなく、トイレや売店もスムーズだった。フジのような音楽以外のアトラクションは皆無に近く、そのぶんの予算や労力を会場内のインフラ整備に注ぎ込んだということか。そのためイベントとしての快適性はフジよりはるかに上だったと思うが、「快楽性」は感じられなかった。フジにはロック・イン・ジャパンほどの「快適性」はなくても、無上の「快楽性」はある。ロック・イン・ジャパンの主催者は「フェスティヴァルの非日常性」みたいなことを強調していたけど、これはフェスティヴァルというより従来からある野外コンサートの一種ととらえたほうがいいんじゃないか。そのコンサバできっちり隅々まで整備された感じが、前日のリップ・スライムとか、この日のバンプ・オブ・チキンとかユキとか桑田佳祐とかを見に来るような客層と合致しているということなんだろう。日本で大きなイベントを成功させるためにはそういう層にアピールしなくてはダメだと割り切って実行し、見事成功させた主催者の力は大したものだと思う。残念ながら、ぼくの価値観とは永遠に交わりそうにないけどね。ロック・イン・ジャパンには渋さ知らズも、デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンも、ヴォアダムズも、ROVOも、オーディオアクティヴも、シンゴ02も、似合わない。ま、それぞれの展開があっていいんじゃないでしょうか。ふだんとちがうお客さんの層に接して、ぼくもいい経験になりました。

 ナンバーガール終了後は速攻で帰路につく。駐車場を出るのに長時間かかるのを覚悟していたが、意外にすんなりと進み、首都高でお決まりの渋滞に巻き込まれたほかはスムーズだった。都内のソバ屋で腹ごしらえしたあと、石野卓球7HOURS@リキッドルーム。会場は足の踏み場もないほどの盛況。結構なことだけど、ダンス・ミュージックのイヴェントなのに、通路のど真ん中に堂々と座り込んでダベっているだけの若僧にはうんざり。瀧じゃないが、蹴飛ばして、フロアに放り投げてやろうかと思ったぜ、なんて。イモを洗うようなダンス・フロアでしばらく踊るが、さすがに疲れてきて、7HOURSならぬ4HOURSぐらいで退散。すまん。