2002年7月28日(日)

 最終日。寝ても疲れがとれない。足が痛い。三日間晴天に恵まれたのは結構だが、炎天下の移動がこれほどきつかったのは初めて。トシを感じる。そのうえこの日はレッチリ効果もあって、フジロック史上最高の動員だったそうで、明らかに会場は飽和気味。ステージ間の移動にはとんでもなく時間がかかるし、午後はやい時間にホワイトとヘヴンの飲み物はほぼ品切れ状態、食べ物も1時間、1時間半待ちが珍しくない状況で、ほとんどサバイバル戦だった。自分もその一員だったということは棚に上げれば、やはり人が多すぎ。去年よりメンツは落ちると言われながら、フタを開けてみれば過去最高の動員だったというのは、ブランドとしての「フジ・ロック」がすっかり評価・定着したことを示しているが、この観客増加の弊害は、会場内のインフラを多少整備したぐらいでは追いつかないぐらいと思う。来年以降の課題だろう。

デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン
 ホテルをチェックアウト後、ヒマだったのでリハーサルから見る。そのときはほんとに数えるほどしかいなかった客が、終わるころにはぎっしり。渋さもそうだが、大手ロック誌に取り上げられることがなくても、この動員だ。既存の音楽誌は猛省すべき。演奏は気合い入りまくりで素晴らしかった。ちなみにこのライヴ・レポートが最高。どうやらデートコースを全然知らない人が書いたらしく、「よき家庭人のような温厚なギタリストの方。ソロパートになると人が変わったようにフィードバック効かせて怪しい動き!」ってとこには激しく笑った。
→ソニック・ユース・エクスペリメンタル・ノイズ・インプロヴァイゼイショナル(ボアのヨシミが加わる。茫洋としたノイズ大会。ヨシミちゃんは髪を切って女っぽくなって、すごくきれいになった。惚れ直しました)
→四人囃子(DCPRGがニュー・スクールなプログレなら、これはオールド・スクールなプログレの真髄。さすがの貫禄
→スーパーカー(まぁまぁ。こないだのブリッツ公演よりはずっと良かった。でも夜にやらせてあげたかった)
→ギャラクティック(素晴らしい。ジョージ・クリントンが飛び入りしたときの盛り上がりはすごかった)
→ゴメス(まぁまぁ)
→コーネリアス
 このころになると疲労もピークに達していて、動くのもおっくう。ジェーンズ・アディクションをちょっと見てから戻ってくるつもりだったが、結局ゴメス後もずっとホワイト・ステージのPA脇で休憩。コーネリは、ツアーでのあの圧倒的な音響と映像の融合美を、どれだけフェスのステージで再現できるのか、ということに個人的な興味は尽きた。そして驚くべきことに、多少時間が短くなったぐらいで、あの洒落たオープニングから、波瀾万丈な展開、美しく柔らかなエンディングまで、ほぼ完璧に「あの」世界が再現されていたのである。「ほぼ」と書いたのは、最後の最後にトラブルで、小山田ではないほうのギターのハーモニクス音が出なかったこと。あれさえちゃんとしていれば、ほんとに完璧だった。あの恐ろしく手の込んだショウを、ワンマン・ライヴではなく満足なリハもなかったはずのフェスティヴァルのステージで破綻なくやり遂げてしまったのは、どんなに言葉を尽くしても褒めすぎということはないと思う。アーティストはもちろんだが、スタッフの方々には最大限の敬意を表しておきたい。なんでも会場で偶然会った勝井祐二情報によれば、コーネリアスの使っているプロジェクターは特に光量の多いタイプの高価なもので、それは小山田個人の私物なんだそうだ。そういう熱意と意欲があってこそ、あの圧倒的なライヴとなるのだ。公式パンフの紹介文で「フジ三日目にして最大のクライマックス。絶対見逃すな」と書いたのだが、それが間違いではなかったことは、あの場にいた人はわかったはずだ。今回の形式のショウを見るのは、ゲネプロをあわせ3回目だが、見るたびあまりのすごさに圧倒されてしまう。ツアー時より格段にスクリーンがデカくなり、それが苗場の自然と融合して醸し出される雰囲気は、本当に最高だった。おそらくフジ・ロック史に残るパフォーマンスになったはずだ。
 それにしても受講生関係を始め知り合いがみんな、初めて知ったかのように口を揃えて絶賛してたのは複雑な気分。だって、この日記でさんざん、これ以上はないぐらい褒めちぎってたのを当然読んでるだろうに。なかには「バカにしてて見なかったけど、あとで受講生仲間の絶賛の言葉を聞いて、死ぬほど後悔した」って人もいたらしい。Mさん、少しはオレの言うことを信用しろよな!(笑) 
→レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
 コーネリ終了後にゆっくり帰ったのだが、余裕でオープニングに間に合う。さすがにものすごい人だったが、グリーンうしろの通路のあたりだと、ステージ前の熱気などまるでなく、いたってクールなもの。ステージ上の様子はスクリーンでしか確認できないので、いい演奏であり歌だったことは客観的に判断できても、それ以外に伝わってくるものがあまりに少なくて、正直、面白くない。そのせいもあってか、レコード同様、ずいぶん枯れてしまったという印象しか持てなかった。もっと前で見ていれば、全然印象は違ったろう。それが残念。でもジョージ・クリントンが出てきたときには大受け。ギャラクティックのとき、友人と「クリントンのことだから、レッチリを脅かして無理やり飛び入りするんじゃないの? "お前らダレのおかげでここまでなれたと思ってるんだコラ"とか言ってさ」とか、バカ笑してたんだけど、ほんとに出てくるんだもんなぁ。今年のフジロック大将はジョージ・クリントン翁に決定。

 ということで、これにてぼくのフジは終了。ダラダラとオアシス広場で飲み、ペリー・ファレルのDJを少し見て、再び佐藤さんのクルマで帰る。いやはや、お疲れさまでした。さて、来年は?