2002年4月2日(火)

 睡眠3時間で起床、コーネリアスのツアーのゲネプロ(本番前の通しリハーサル)の取材に出かける。ゲネプロって初めて見たんだけど、演奏や音響はもちろんのこと、照明や映像、衣装なども本番さながらのスタイルでおこなわれる。いわば本番直前の最終チェック段階で、細かい瑕疵はあったんだけど、そんなことはまったく気にならない圧倒的なパフォーマンスに驚愕。ひねりにひねったアレンジと演奏、素晴らしい音響、演奏と完璧にシンクロした照明と映像、どれもが途方もない手間ヒマとアイディアが注ぎ込まれた凝りに凝った内容であるにもかかわらず、難解なところや頭でっかちなところはまったくない。まるで夢の世界に迷い込んだような極上のエンタテインメントが展開される。これはもはや単なるコンサートやショウというより、現代最高のポップ・アートの一種であり、エンタテインメントだろう。スタッフだけで閑散としたゲネプロ会場が、星くずきらめく別世界に思えた。たかがリハーサルなのに、本当に至福の1時間半だった。これでショウが完成してしかるべき会場で見たら……と思うとワクワクする。もし今度のツアーに行こうかどうか迷っている人がいたら、悪いことは言わない。万難を排して見に行くべきです。映像と音楽の完璧なシンクロという点では今年初頭のバッファロー・ドーターがあったけど、あれを超えそうな予感も。
 小山田の才能にはつくづく感服するしかないのだが、もし彼がいわゆるふつうの意味での歌のうまいヴォーカリストだったら、こんなすごい世界を作り上げることができたろうか。歌唱力に頼った、というか歌唱力を活かすような音作りになるのが自然だろうし、そうである限りこんな万華鏡のようなマルチメディア表現を達成することはできなかったかもしれない。逆に言えば、彼が歌のうまいヴォーカリストでなかったからこそ、こんなすごいトータル・アートが作れたのだろう。もちろん歌のうまい人の作る音楽もそれなりの素晴らしさがあるのだが、とりあえずこれだけの表現世界を達成(しつつある)小山田には、最大限の賛辞が送られるべきと思う。