2002年3月4日(月)

 東銀座の松竹試写室で、『WXIII PATLABOR THE MOVIE 3』。『機動警察パトレイバー』映画版の第三弾である。これがすごい傑作で驚く。先日の『千年女優』といい、日本アニメの水準の高さを改めて思い知らされた恰好だ。
 前2作の押井守に代わって、テレビ版のマクロスなどで知られる高山文彦が総監督をつとめ、コミックス版の「廃棄物13号」を下敷きにとり・みきが脚本を書いている。ハードなロボットアニメの傑作だった前2作に対して、今回はいわば『パトレイバー外伝』的な趣を持つ。前2作との直接的な話の繋がりはなく、時系列的いうと1作目→今作→2作目という感じか。前作までの主人公である特殊車輌二課は脇に退き、今回の中心は、ある事件を負う刑事2人。レイバーはクライマックス・シーンまで登場しないので、映画はSF的な設定の刑事ドラマという趣が強い。と同時に怪獣映画でもありメロドラマでもあり、もちろんロボットSFでもあり、それらの要素が齟齬を起こすことなく、見事にかみ合い、有機的なストーリーとしてきわめて高い完成度で迫ってくる。脚本も演出も緻密とリアリティをきわめ、迫力のアクション・シーンもまじえながら観客を最後までハラハラさせながら引っ張っていく。押井守作品とはまたひと味ちがった傑作と断言したい。悲しみに満ちたラストも余韻がある。

 ぼくはパトレイバー・シリーズを劇場用作品2つぐらいしか見たことがなく、その世界観を完全に把握しているわけではもちろんないが、それでもじゅうぶん楽しめる作品である。ただ、作品の内容をみると必ずしもパトレイバー・シリーズでなくてもいいのでは、という気がした。もちろんパトレイバーの世界を知らないぼくだからそう思ってしまうのかもしれないが、むしろパトレイバーという枠組を外して独立した作品とした方がすっきりするような気もする。でもそれでは商業的要請に応えられないという判断があったのかもしれない。このへんの事情は部外者のまったく憶測でしかないけど、それが今作に対する唯一の疑問らしい疑問か。採点=10。3月30日より全国一斉公開。

 ちなみに同時上映で、押井守が脚本を書いたパトレイバーのセルフ・パロディ作『ミニパト』全3話も見た。ペープサート・アニメという手法を使った、全部で40分ほどの短編で、このシリーズに詳しい人なら楽しめるだろう。だがこの3本、劇場では日替わり、劇場替わりで本編と併映という上映形式をとるらしい。つまり3話全部見るには都合3回劇場に通わねばならないということだ(ちなみにその3話にストーリー的な繋がりはなく、それぞれが独立している)。いかにもマニアの足元を見た非道なやり口である。

 それから書き忘れていたけど、2月28日付の本欄で書いた『千年女優』は、平沢進が音楽とエンディング・テーマを担当している。いかにも平沢らしい作風だった。