2002年2月28日(木)

 五反田のイマジカ試写室で『千年女優』。『パーフェクトブルー』という、およそアニメ的ではない題材をアニメにした作品で知られる今敏監督の最新作。今回は、かって一世を風靡した大女優だったものの30年前に突如引退し、その後一度も公の場にあらわれることのなかった主人公の生涯を彼女自身の独白という形で描いていくファンタジックなラヴ・ストーリー。もっともこういうふうに説明してもこの映画の凄さを説明したことには全然ならないんだけど、とにかくアニメでしか描き得ない作品でありながら、従来のアニメにはない領域を開拓しており、そこらの実写映画をはるかに上回る類を見ない映画的興奮に満ちあふれているところが素晴らしい。虚実を超え時空を超えダイナミックに奔放に、息もつかせず展開する波瀾万丈のドラマツルギーと映像世界にはワクワクさせられる。完成したのは1年前で、これまで世界各地の映画祭に出品され好評を博していたらしいが、日本人でしか描き得ない世界でありながら、インターナショナルな普遍性もあるのだろう。『千と千尋の神隠し』と並び、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞したそうだ。年内公開が決まっているというだけで、具体的な日取りは出ていないみたいだが、試写会には宮台真司とか大林宣彦とか、ほかにも業界のオエラ方ふうな人々が多数参列していて、業界的な注目度の高さを示していた。傑作です。ただし最後の主人公の一言は完全に蛇足と思った。絶対あれは観客に最後の解釈を委ねるべき。そのぶんマイナス1で、採点=9。

 それにしても隣に座ったオヤジが上映中に大イビキをかき始めたのには殺意を覚えた。居眠りぐらいならともかく、イビキをかくほど熟睡すんなボケ!