2002年1月8日(火)

 渋谷AXの楽屋で、スピリチュアライズドのジェイソン・ピアーズの取材。基本的な英語力に疑問がつくうえ、DRUM'N'BASSを「ドラムとベース」と訳したり、レディオヘッドもトータスもジム・オルークも知らないヘボ通訳のおかげで、まるでコミュニケーションがとれず四苦八苦。正直言ってここ数年間で最悪のインタビューだったかも。通訳の能力に依存するような質問の仕方はなるべく避けようとは思ってはいるのだが、それにしても限度がある。だがご本人はときどき呆れたような顔をしながらも、最後まで辛抱強くつき合ってくれた。感謝。声、小さかったけどね。

 京橋のTCC試写室に移動して『タイム・リセット』。12月21日付けの日記で書いた『レイン』のオキサイド・パン監督の処女作。前世の業(カルマ)で、死の運命がくだった恋人の命を救うべく奔走する青年の話で、未来と現在を行き来する構成は北村薫の小説にありそうなアイディアだが、ストーリーが明快だし、展開もスムーズで無駄がない。『レイン』のようなスタイリッシュな映像美というよりストーリーの骨格で見せる作品になっているので、ずいぶん印象は異なる。『レイン』は、共同監督した弟のダニーの力も大きいのかもしれない。だが『レイン』同様、クライマックスで雨のシーンを効果的に使って盛り上げている。こういうアイディア一発勝負の小品なら日本映画、というかちょっと気の利いたテレビドラマならできそうだけど、こういうまっすぐで純な作品は、なかなか作れないのかも。あまり大上段に振りかぶった讃辞は似合わないけども、後味爽やかな愛すべき佳作。採点=7。2月下旬からキネカ大森ほか全国順次公開。小品。

 再び渋谷AXに戻り、スピリチュアライズドのライヴ。AXにしては異様に音が悪い。バランス/分離が悪いうえ、音が濁っている。ホーン6台、ギター3台という偏った編成は彼ららしくパラノイアックで面白いけど、残念ながらそのメリットがいまひとつ実感できないのだ。ホーンを4台、ギターを2台に減らし、そのぶんをコーラスかなんかに振り分けたらとも思った(レコードでは分厚いコーラスで盛り上がるような曲が、ジェイソンのヴォーカルひとつだと結構つらい場面もあった)。とはいえ、ぼくがこのバンドに求める水準はきわめて高い。100点満点で最低でも80点ぐらいのライヴはいつでもできる連中だから、やはり95点ぐらいの演奏は期待してしまうのだ(ちなみに前回の来日公演は90点ぐらい)。だがこの日は音響も含め80点ギリギリの内容だったと思う。なお2時間半近い演奏時間は、長すぎるとの意見もあったが、ぼくは適当と思った。