2002年1月10日(木)

 松竹試写室で『ハッシュ!』。『二十歳の微熱』『渚のシンドバッド』などのゲイ・ムーヴィーで知られる橋口亮輔の5年ぶり監督作品。ゲイのカップルと、ひとりの女性を巡り、愛とは何か、孤独とは何か、結婚とは何か、家族とは何か……を問いかける。テーマは明快だし、軽妙で繊細な語り口もいい。ユーモアとウイットに富み、ディテールのさりげない描写も効いているし、とにかく楽しく見るうち、考えさせられる。古い伝統的日本の家族があっさり崩壊し、新しい形の家族が生まれるラストも、ややステレオタイプだが希望に満ちている。俳優たちの演技もいいが、とくに『鬼火』で素晴らしい存在感を見せた片岡礼子が絶品。いい女だなぁ。採点=9。3月から渋谷シネクイントなどで公開。

 ところでこの映画はさきごろ発表されたキネマ旬報の2001年ベスト10の2位に選出されている。02年3月公開の映画がなぜ01年のベスト2なのかというと、監督の地元である長崎で年内先行公開されたかららしい。東京在住者としてはなんとなく割り切れない思いもするが、地方の人からすれば、東京ばかりに極度に情報が集中している現在の映画の中央集権的状況に歯がゆいものを感じているにちがいない。たとえばキネ旬のベスト10に挙げられている作品なんて、大半が大都市のミニ・シアターでしか公開されなかったものばかりだ。地方の人たちはいくら評判になっていても、レンタルビデオになるまで待つしかない。ぼくなんかもこうやって単館系作品を嬉々として紹介するのはいいけど、自己満足に陥らないようにしなきゃね。