2002年1月1日(火)

 あけましておめでとうございます。東京地方は小春日和で、気持ちのいい新年を迎えることができました。本年もよろしくお願いいたします。

 ということで、新年早々映画三昧。配給会社から借りたビデオを見まくる。

 まずは『沈みゆく女』。カナダの女流監督リン・ストップケウィッチの作品。サラ・マクラクランのイベント「リリス・フェア」の記録映画を撮った人で、ネクロフィリアの女性を描いた『キスト』で知られる。『キスト』は見ていないが、これもまた女性のミステリアスなエロティシズムを描いた映画で、不幸へ不幸へと吸い寄せられるような主人公の孤独と不安感で、なんとも陰鬱な気分にさせる。主演を演じたモリー・パーカーのいまにも溶けてしまいそうな色気は印象的だった。ラストもなかなか。採点=6。正月第2弾、渋谷シネアミューズで公開。

 『ヒューマンネイチュア』。『マルコヴィッチの穴』の監督スパイク・ジョーンズが製作、同じく『マルコヴィッチの穴』のチャーリー・カウフマンが脚本を担当した、ビデオ・クリップ出身のミッシェル・ゴンドリーの初監督作である。これが抜群に面白い、そして愛すべき作品だった。人間社会の愚かしさを批判するテーマはやや紋切り型とも思えるが、発想と物語の展開の奇抜さが卓抜としている。これはやはり脚本の勝利だろう。ゴンドリーはビョークの一連のクリップで知られるフランス人で、彼女のキッチュでファンタジックでポエティックな側面を引き出すことに長けていた。そうした彼らしい映像感覚は、たとえば女主人公が森の中で歌うシーンの美しさなどに発揮されている。既存の監督で言えばティム・バートンに近いタイプで、そういえば『シザーハンズ』や『猿の惑星』などに見られた「異形なるものへの偏愛」という共通点もある。配給会社の宣伝文句「面白いものが見たい、という期待を絶対裏切らない」は、決しておおげさではない。採点=9。ラストにもうひとひねり、予測不可能なオチがあれば満点だった。春休みから恵比寿ガーデンシネマ、銀座テアトルシネマで公開。

 『マルホランド・ドライブ』。ご存知デヴィッド・リンチの新作。もとはTVシリーズとして企画されたものの内容の過激さに中止となり、フランス映画資本でようやく完成にこぎつけたという。前作『ストレイト・ストーリー』の、彼らしからぬまっとうでヒューマンな作りに失望した人は愁眉を開くにちがいない、リンチ節が大爆発でスバラシイ。内容は一種のハリウッド内幕ものだが、登場人物、設定、プロット、ストーリー展開、ラストと、すべてが不条理で謎めいていて暗喩的だ。それでいて濃密なテンションは終始持続し、何気ないシーンにも異様なまでの緊張感が漂う。あの『ツイン・ピークス』のように「ワケわからん」世界なのだが、その悪夢に迷い込んだような謎を、謎のまま楽しむことができる、いかにもリンチらしい希有な作品である。必見の傑作。採点=9。正月第2弾として全国公開。

 映画の合間にU2のライヴDVD『エレヴェイション2001:U2ライヴ・イン・ボストン』を見る。2チャンネルステレオで拾い見しただけだったものを5.1チャンネルで改めて見たのだが、これがあまりにすごくて驚愕。いままでDVDのライヴといえばアンダーワールドだったが、今後はこれがスタンダートとなるだろう。現在の優れたロック表現の大半が「非ロック的な要素」をその根拠としているのに対して、U2のロックはどこまでもストレートでピュアな「ロックそのもの」であり、その意味でU2こそが現代最大・最強のロック・バンドであることは、もはや疑う余地もない、と思える。この感動的なライヴを生で体験できなかったのはなんとしても悔やまれるが、このDVDで憂さを晴らそう。画質も音質も最高。これは絶対、5.1チャンネルで見たい。

 ほかにテレビドラマ『救命病棟24時』も見る。前半部は、松雪泰子はなんであんな船に乗ってるんだとか、突入した警官隊はなぜ真っ先に犯人を取り押さえないんだとか、押尾学が犯行に及んだ動機が弱すぎとか、突っ込みどころ満載。後半の展開はやや予想外だったけど、中途半端に小市民的な人情ドラマにしてしまったのが残念。江口洋介のゴッドハンドぶりで盛り上げるか、松雪主演のサイコミステリー風展開をもっと徹底してほしかった。それにCM多すぎ。ともさかりえの顔は相変わらずゆがんでるし。須藤理彩は萌え萌えですが。そういえば渡辺いっけいは昨日の猪木祭りでも大活躍でしたね。