2001年9月11日(火)

 阪神快勝のゲームをのんびり観戦し、その後なんとなくニュースを眺めていたら、いきなりワールド・トレード・センターに飛行機が突っ込む瞬間を見てしまった。これはまさに史上最悪のテロ、いや戦争だろう。ひどすぎる。

 もちろんこんな無差別テロ行為は到底容認できるものではないけれども、今後、報復という名を借りたパレスティナへの軍事攻撃の正当化を図ろうとするアメリカ側のやり方には注意を払う必要がある。おそらくアメリカ/イスラエルはこの事件を口実にして中東問題に強引に介入を図り、アフガニスタン侵攻、さらにはパレスティナ、イラク、リビアまで巻き込んだ第5次中東戦争をシナリオに入れていることはまちがいないからだ。そしてその戦争で誰が得するかといえば、アメリカの軍需産業であり、テキサス石油メジャーであり、それらを支持基盤とするブッシュ政権である。そして失速しているアメリカ経済も、そうした軍需特需によって持ち直す可能性はきわめて高くなるし、世論の支持基盤が脆弱なブッシュ政権も、高揚したアメリカ市民のナショナリズムによって、高い支持率を獲得することができるわけである。湾岸戦争のときと同じですね。

 そういう事情から、今回の事件がアメリカの自作自演だという説もあるのだが、いくらなんでも人的損害がひどすぎるし、実質的に戒厳令下に入ってしまったというアメリカ社会の状況下では経済的損失もあまりに大きすぎるから、それはないだろう。一部報道にあるように事前にテロ行為の可能性は察知していたものの、静観していたというところではないか。うまくすれば最小限の被害をたてに報復という名のパレスティナ攻撃ができる。それが予想をはるかに上回る規模のテロだったので焦っているのではないか。政治経済の中枢機能が完全に麻痺するような損害なんだから、こりゃ多少の軍需特需じゃ追いつかないかも。

 だいたい今回の事件がパレスティナの組織やイスラム原理教グループの仕業と決まったわけではないし、オサマ・ビン・ラディンが首謀者という確たる根拠だってあるわけではない(たぶんそうだけど)。テレビでニューヨークの惨事を知って喜ぶパレスチナの人々、という映像が流れたけれども、あれはライヴ映像ではなく関係ない昔の映像であって、世論誘導を狙った米政府及びマスコミのでっちあげという説もある(湾岸戦争のときもそういう例はたくさんあった。例・油まみれの鳥)。そしてもし本当にライヴ映像だったとしても、なぜ市井の一般市民があそこまで強固な反米感情を持っているのか考えなければいけない。イスラエルがパレスティナの人々を不当に虐げ続けてきたことは歴史的事実だし、そのイスラエルの最大の支援者(武器弾薬の提供・金銭援助も含め)がアメリカなのである。それはアメリカ社会においてユダヤ人がきわめて大きな権力を持っているからだ。そしてその裏には西欧キリスト教社会のイスラム蔑視、自国の利益しか考えないアメリカの自己中心的な発想、シオニストたちの明確な選民思想・人種差別主義がある(このあたりの事情を、日本のマスコミはまったく伝えていない)。中東を始めとするイスラム社会ではアメリカは敵なのだ。そして敵と見なすまでには、それ相応の歴史と事情があるのである。

 今回のテロはたまたまニューヨークのど真ん中で、全世界の人々が見る中でああいう衝撃的な形でおこなわれたから極悪非道さが際だっているように見えるけど、イスラエルだってパレスティナ居住区に日常的に無差別攻撃を仕掛け、多数の死傷者を出しているのだ。繰り返すが、今回のテロ事件を擁護するつもりは絶対ない。だがアメリカの情報操作に惑わされ、くれぐれも問題の本質を見誤ってはいけないということだ。