2001年2月28日(水)

 渋谷オン・エア・イーストでスターリンの再結成ライヴ。さきごろのトリビュート・アルバムの発売にともなうもので、トリビュートに参加したバンドもいくつか出演。久々に見た宙也のルーパスは彼らしいダークでサイケデリックなヘヴィ・サウンドで、熱演。続く大槻ケンヂと電車(というバンド名)も彼らしいパフォーマンスで見せる(ルーシーさん、ぎんさんネタも)。なかでも素晴らしかったのが元ガスタンクのBAKIやミッシェル・ガン・エレファントのクハラが組んだBUKKで、スキンヘッドに異様な縁取りをしたBAKIがカリスマ的なオーラを放ちながら「ワルシャワの幻想」を叫ぶさまは圧巻だった。続くコブラはかなりオールド・スクールなOiパンクで、いったい今は何年だという感じ。でもメタルを通過してないパンクって久々に聴いた気がして、これはこれで潔い。

 という具合にサポートで出たバンドがどれも良い出来だったのでトリのスターリンにも否が応でも期待は高まったのだが、それをはるかに上回るテンションの高い演奏で驚いた。初期スターリンと同じメイクで登場した遠藤ミチロウは、アバラの浮き出た引き締まった体も当時のまま。いきなりハンドマイクでがなり立て、豚の臓物を客席に投げつけるお馴染み(といっても実際に見たことのある人は少ないだろうけど)のパフォーマンスで、のっけから客席のヴォルテージは最高潮に(豚の生首も登場)。ミチロウさんのパフォーマンス/ヴォーカルも往時を思わせる十分にパワフルなものだった。演奏曲も、出し惜しみなしのヒット曲のオンパレード。新曲一切なし、それも全部再結成前の初期「THE STALIN」時の曲ばかりというのも、潔い。ミチロウさんが実に楽しげなのは、今夜一晩限りの再結成と割り切っているからだろう。だがノスタルジックな懐古ショウという感じがまるでなく、生々しい衝撃力に溢れているのは、そこで演奏されている曲がいまだに時代の喉元にナイフを突きつけるようなアクチュアリティを失っていないからだ。つまりスターリンの楽曲が投げかけた問いかけは、まだなにも解決していないのである。客席の反応もすさまじく、スーツ姿のサラリーマンがダイブしてたのは微笑ましかった。

 アンコールでは上記の出演者全員のほか、パンタ、ケンヂ、仲野茂、千秋(タレントの)といった連中がステージに出てきて「仰げば尊し」を歌う。ここで、それまでのピリピリした緊張感が一気に薄れ、ただのお祭り騒ぎになってしまったのは、イベントの性格上仕方ないとは言うものの、いささか残念な気がしていたのだが、本当のクライマックスはそのあとだった。2度目のアンコールで生ギターとハーモニカだけ持って一人で登場したミチロウは、「これが今の俺の姿です。俺より先に死んでしまったシンタロウに捧げます」と言って「天国の扉」を歌う。ブルース・リーの怪鳥音のごときミチロウの深く鋭い叫びには、心底震えがきた。原曲を大幅に改変したミチロウ・オリジナルの日本語詞は、放埒の果て朽ち果て、死を意識した男の生々しい慟哭に溢れていて、もはや若いとは言えない俺の胸に深々と、深々と突き刺さってきたのである。ここ数年で見たベスト・ライヴだったと思う。ミチロウは死なず。

(THE STALIN演奏曲)

ワルシャワの幻想
365
バキューム
STOP GIRL
天プラ
溺愛
ロマンチスト
STOP JAP
先天性労働者
解剖室


下水道のペテン師
仰げば尊し

天国の扉