2001年2月11日(日)

 自転車で三軒茶屋へ。昨日読んで感動した『不自由な心』の白石一文の1年前に出た長編第一作『一瞬の光』(角川書店)を購入するため。あまり評判にもならなかった作品なので、もしかしたら三軒茶屋の本屋では見つからないかもと思っていたが、案外あっさりと最初に入ったBOOK−OFFで発見。定価1800円が900円。帯はなし。

 そのあと断続的に読み耽り、翌朝8時半ごろ読了。主人公は『不自由な心』同様、38歳の中年男だが、『不自由な心』の主人公たちのような冴えないおっさんではなく、IQ190の東大法卒、社長の懐刀と言われる一流商社の超エリート・サラリーマン、誰もが認めるモテモテの美男子でスポーツマン、ケンカも強く、おまけに28歳美人で優しくて床上手、料理もうまくて仕事もバリバリの社長の姪とつき合っているという、「なんだかなー」という設定。その主人公が、親兄弟から虐待を受け深いトラウマを受けた20歳の女子大生にのめり込み、すべてを捨てて彼女のために生きようという話。表面的には恵まれているようでも実は内面に深い空虚を抱え、生きる目的を探している中年男が、屈折の末それを見つけるという、『不自由な心』と通じるテーマを持った作品である。一見安手のテレビドラマみたいな内容で、話の筋もラストも早い段階で想像できてしまうのだが、飽きずに読ませるのは著者の力量だろう。でも主人公の行動にいまひとつ感情移入ができず、個人的には『不自由な心』の方がはるかに共感できたし、感動もした。主人公が交際する28歳女性は、本当に献身的に主人公を愛する。こんなに無償の愛を捧げてくれる美女がいたら、ほかには何もいらないのにねぇ、ふつう。