2001年12月6日(木)

 六本木のFOX試写室で『バンディッツ』(7)。『レインマン』『ナチュラル』『グッドモーニング・ベトナム』のベテラン、バリー・レヴィンスン監督、ブルース・ウィリス主演の犯罪もの。刑務所で知り合った二人が脱獄、銀行強盗として各地を荒らし回るが、そこに退屈を持て余した人妻が加わりひと騒動……という筋立てで、『俺たちに明日はない』『明日に向かって撃て!』『狼たちの午後』『スティング』『ゲッタウエイ』といった、60〜70年代のニューシネマの香りを漂わせているあたりが、凡百のハリウッド・クライムものとはちがう。なかなか洒落たラストのどんでん返しも含め、ウエル・メイドな娯楽作品に仕上がっている。12月29日全国公開。

 続いて東銀座のヘラルド試写室で『ダブルタップ』(10)。これが最高に面白い! レスリー・チャン主演のハードボイルドで、監督は『夢翔る人 色情男女』のロー・チーリョン。香港の射撃競技のチャンピオンが企画・監修したリアルなガン・アクションもすごい迫力だが、これが初単独監督作品とは思えないシャープでキレのいい演出を見せるチーリョンの技量が素晴らしいうえに、わりと甘い役が多かったレスリー・チャンが、殺人の快楽に目覚めた元射撃選手、という性格破綻者を演じ、狂気をはらんだキレまくった演技を見せて絶品なのだ。もしかしたらチーリョンの脳裏には『仁義なき戦い・広島死闘篇』や『仁義の墓場』といった深作欣二作品があったのかもしれない。主人公がサイコキラーとなってしまった自分に絶望するように慟哭するシーンは『広島死闘篇』の名ラスト・シーンを思わせたりするし、主人公の性格設定は『広島死闘篇』の山中正治と『仁義の墓場』の石川力夫を合わせたようでもあるからだ。とにかく全編に渡って徹底して辛口。一切の無駄を省いたストイックなタッチは素晴らしい。途中までは観客の共感を引っ張りながら、最後の最後になってスッパリと断ち切ってしまうドライな非情さも最高。ハードボイルドはかくあるべし、である。来年1月中旬からシネマカリテにて全国順次公開。

 さらに五反田のイマジカ第2試写室で『スパイ・ゲーム』(7)。ロバート・レッドフォードとブラッド・ピット主演、『クリムゾン・タイド』『エネミー・オブ・アメリカ』のトニー・スコットが監督したスパイ・アクション映画。無敵の主人公も現実離れした新兵器も登場しないリアルなスパイ映画といえばシドニー・ポラック監督の『コンドル』だが(これもレッドフォード主演だ!)、本作も娯楽作品としてなかなか面白く仕上がっている。ただ不満を言えば、2時間余の上映時間のうち半分以上が回想シーンであるところ。だからブラピの影が薄くなって映画のバランスが微妙に崩れているように思った。想シーンを半分にして、そのぶん現在進行形の緊迫したやりとりに焦点を絞れば、もっと面白くなった気がする。12月15日から全国公開。

 試写会を1日3本というのはなかなかにハードなスケジュールだが、今日はどれも面白い作品だったのでさほど疲れを感じなかった。ところでここのところの試写会通いで、インディーズ系映画とハリウッド大作の最大のちがいを発見。それは「音」である。おそらく低予算映画が最初にケチるのが録音ではないだろうか。今日見たハリウッド映画2本、とくに『スパイ・ゲーム』の音響の凄さは、映画の緊迫感やスケールや迫力を何倍にもしていると思った(イマジカ試写室の音の良さも特筆すべき)。まだ見てないけど今度公開する金子修介版『ゴジラ』はそこらに注目したところだ。

 さて、書かないわけにはいかないのは、阪神野村克也監督の辞任。ご存知の通り、もと南海ホークス・ファンのぼくは、元南海の野村が監督就任してから阪神を応援していたわけだが、これで応援する理由はなくなってしまった。次はどこを応援するかなぁ。もし一部の報道通り星野が後任なら、そのまま阪神を応援するのだが……。
 それにしてもノムさん、南海監督解任もサチヨが原因だったし、1度ならず2度までもヨメのおかげでどん底に叩き落とされたわけだ。まさに毒婦というしかない。ヨメは慎重に選ばないとね。これでノムさんは球界復帰への道を完全に絶たれてしまったのだろうか? なんか残念すぎる。

 あまりの忙しさに、「DISC REVIEWS」を一向に更新できないでいる。来週になれば少し余裕も出るので、なんとかしたいと思う。買っただけでまだ聴いてないCD、数十枚。ひぇ〜〜。