2001年12月3日(月)

 ふと気づくともう12月なんですね。はやいもんです。今年もまた、あたふたするばかりで無為に過ごしてしまった気が……ま、人生なるようにしかなりません。
 で、なんかここのところ平日午後は試写会などで家を空けることが多く、せっかく連絡いただいてもご返事が遅くなったりして不義理している。あした(火曜日)は丸一日、あさっては夕方まで原稿執筆のため自宅にいる予定ですので、なにかご用向きがあれば、連絡を>関係者の方々。


 京橋の映画美学校試写室で、『殺し屋 1』(7)。「ヤングサンデー」連載の山本英夫作の劇画の映画化で、監督は三池崇史、主演は浅野忠信。原作は連載中に細切れでときたましか読んでいないが、そのすさまじい暴力描写は話題になった。映画でもその基本線はもちろん守られているが、主人公を始めとする主要な登場人物の行動の動機や背景が全然明らかにされないまま、ただひたすら凄惨な殺戮シーンが数珠繋ぎになって続く。テーマもメッセージもありゃしない。痛みに弱いぼくなど、最初のころはそのつどカラダを固くしたりしていたのだが、だんだんその刺激に慣れてくると、むしろコッケイな冗談のように思えてくる。三池は決して「暴力こそが生の実存の確認だ」なんて陳腐な文学性を振りかざしたりはしない。手や足や首がそれこそマンガ的に血しぶきをあげながらすっ飛ぶシーンの馬鹿馬鹿しい面白さをただ堪能すればよいという作品になっているのだ。この徹底した意味のなさは最高。ちなみに音楽は山本精一。ちっとも映画音楽らしくない音楽が、作品の異常さを加速する。12月22日より渋谷シアターイメージフォーラムほかで公開。

 銀座のヤマハホールで、『インティマシー・親密』(6)。今年のベルリン映画祭でグランプリ、主演女優賞など3部門を受賞したフランス映画。監督は舞台演出家で映画監督のパトリス・シェロー。離婚してバー勤めしている冴えない中年男のアパートに、毎週水曜日にやってくる謎の女。なにも語らず、ただセックスだけをして帰っていく女のあとをつけると、女は人妻で、一児の母だった……という、一種の不倫もの。この日の試写会は雑誌『コスモポリタン』読者向けのものだったらしく、会場はOLばかり。宣伝パンフなどを見ても配給会社は完全に女性向けを意識してるし、セックスだけだったはずの関係が、実は真実の愛だった……というテーマも女性好みっぽい。だが実際の作品の印象は少しちがう。この映画の主人公はどう見ても中年男のほうだし。製作者の視点も男の側にあるように思う。実際、ぼくのような中年男からすると、女に振り回され自分を見失ってしまう主人公の男や、妻を寝取られた夫の、情けなくもモノ悲しい姿に感情移入してしまったりして。それとも女性からするとまたちがう見方があるんだろうか? いかにもフランス映画らしい奥深い心理描写が見物だが、好みからすれば少し重苦しすぎるか。かなり激しいセックス・シーンがあったりするが、こういうテーマなら(何度もしつこいけど)昔の日活ロマンポルノで、いくらでも傑作があったような気がする。ちなみに女主人公の友人役でマリアンヌ・フェイスフルが出演(すっかり老女な感じになっていて、少し寂しい)、舞台がロンドンだからか、デヴィッド・ボウイやニック・ケイヴ、クラッシュ、アイレス・イン・ギャザ(!)、ストゥージズ、ケミカル・ブラザーズなどが全編に渡って鳴り響くが、とくに映画の内容や雰囲気がロックっぽかったりすることはない。で、今日の結論:女ってよくわかりません。来年1月12日から恵比寿ガーデンシネマで公開。