2001年12月17日(月)

 東銀座の松竹試写室で『不実の愛、かくも燃え』。なんとも時代がかった邦題で、これだけではさっぱり興味を惹かれないが、『野いちご』『叫びとささやき』『処女の泉』など、映画史に残る傑作をいくつも撮ったスウェーデンが生んだ世界的巨匠、イングマル・ベルイマンが自らの自伝的な内容の脚本を書き下ろし、ベルイマン映画の常連でありかってベルイマンの恋人でもあった大女優リヴ・ウルマンが監督した作品ともなれば、元映画少年としては注目しないわけにはいかない。なんでもリヴ・ウルマンはこれが4本目の監督作だそうだが、これまで日本には輸入されていないようで、もちろんぼくはその監督作は初めて見た。

 内容はタイトルが示すように不倫もの。ベルイマン自身を投影したと思われる中年の映画監督と、親友の指揮者、その妻を巡る三角関係を描いたドラマだが、その愛憎相まみえながら傷つき傷つけられる物語の密度の濃さは、息詰まるほどの緊張感である。嫉妬と裏切りと孤独の中で次第に狂っていく男のエゴイズムと弱さをここまで辛辣に描ききった映画は数少ないだろう。人並みに恋して、人並みに傷つけあったことのある男なら、誰もがグサリグサリと思い当たることだらけの、実に痛い映画である。ラスト近く「一番彼女が弱っているときに、ぼくは彼女を突き放してしまった」と慟哭する場面は、あまりに痛切すぎる。

 人間の隠された本質や暗黒面を容赦なくシビアに抉りまくったベルイマンらしさは、ここでも全開。リヴ・ウルマンは、オリジナルの脚本に自分なりの解釈を加えることを条件に監督を引き受けたというが、確かに女性側からの視点が強すぎると感じる箇所もなくはない。そのあたりで好き嫌いが分かれるだろうが、やはりこれはヨーロッパ映画でしかありえない濃〜い作品である。10日に見た『夜風の匂い』なんかもそうだが、この種の奥深い人間ドラマを描かせると単純なハリウッド映画とは比較にならないね。暗いけど。採点は(8)。それにしても人間、いい年になっても色恋や性愛の煩悩から抜けきれんもんだね。ここ最近そんな映画ばかり見てる気がするな。来年2〜3月、日比谷シャンテ・シネにて公開。

 夜はリキッドルームでマーキュリー・レヴ。ある種の甘美な毒を忍ばせた楽曲はよく書けているし、それをきちんと伝えるだけの演奏力もある。いいライヴだったと思う。でもこの種の湿り気と陰りを帯びたイギリス風ギター・ロックというやつに縁遠くなっているぼくにとっては、どうにも距離感を感じたライヴだったことも確か。耽美的であることは嫌いじゃないけど、どことなくマーク・アーモンドやモリッシーなどを思わせるクネクネ動きとか細い声のヴォーカルは、ある種の神経症じみた緊張感があって、少なくとも和めるものではなかったなぁ。

 帰宅後久々に「スマスマ」。電気グルーヴ瀧がキムタクとコント共演、大爆笑必至とのマネージャー情報で期待していたが、あまりのくだらなさ加減に即死。笑えたのは瀧が出てきた瞬間(ラララむじんく〜んの宇宙人のカッコ)と、最後にキムタクがミニカーを壁に叩きつけたとこだけだった。つうか、瀧のやってること、電気とまったく同じだよ(苦笑)。好評ならシリーズ化されるだろうが、早々に打ちきりのヨカーン。