2001年11月28日(水)

 六本木のギャガ試写室で、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(5)。オフ・ブロードウエイでロングラン・ヒットを記録し、マドンナやデヴィッド・ボウイも絶賛したというロック・ミュージカルの映画化。舞台と同じく、ジョン・キャメロン・ミッチェルという人が監督・脚本・主演を兼ねている。冷戦下の東ドイツ生まれの無名のロック・シンガー、ヘドウィグの数奇な生涯を描く。タイトルの「アングリー・インチ」とは、主人公の少年が西側に渡ってロック・シンガーになる夢を叶えるため性転換手術を受けたところ失敗して、股間に「怒りの1インチ」が残ったことを指す。つまり主人公は女でも男でもない中途半端で不完全な存在であり、彼は自分の「失われた片割れ」=愛を求め、「完全」を目指そうとするのである。
 ドラッグ・クイーン風な主人公の風体はウエイン・カウンティみたいで、音楽と全体の雰囲気はグラム+オールド・パンクという感じ。音楽はボウイ、イギー、ルー・リードなどのパロディやオマージュが連発され、『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』を思い起こす人も多いだろう。カルトっぽいムードが漂っているので、たとえば『ロッキー・ホラー・ショー』がそうであるように、熱狂的な支持者を得ることになるかもしれない。資料には「既成概念をぶち壊し、新しい価値観を提示したいという反社会性」などとあるが、ぼくにはそこまで過激なものとは思えず、むしろ主人公は社会に受け入れてもらうことを望んでいるように見えるし、なんだか妙に物分かりが良すぎて小市民的なラストが示すように、むしろお話やテーマ、そこに示された価値観や美意識自体は保守的で、伝統的なものであるようにも映った。音楽も古臭いし(それはある程度意識したものだろうが)、まぁお好きな方はどうぞ。『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』よりはナンボかいいです。

 渋谷東急3で、『赤い橋の下のぬるい水』(7)。今村昌平監督、役所広司・清水美砂主演……というとカンヌのグランプリをとった『うなぎ』だが、こっちの方が面白いです。セックスでエクスタシーを感じると水を吹く女、という設定はなかなかエロいが、実際は明るくて健康的で、サワヤカな趣さえある性愛賛歌。御年75歳の今村監督、こういう映画を撮れるとは、まだまだスケベの現役ですね。オレもいずれはそういうジジイになりたいものだ。とりあえず劇中で北村和夫翁がいみじくも役所広司に語る、「人生、チンポ固いうちが華やで」という言葉を座右の銘にして、今後も頑張ろうと思います。清水美砂が好演。観客はいいトシしたジイさま、バアさま多し。

 それにしても3日連続で2本ハシゴはなかなかキツイ。試写会場はだいたい銀座周辺にあることが多く、往復2時間近く。上映時間も入れれば、一本でも4時間。効率悪すぎだよ。映画専業のライターは大変だね。あしたはなんと3本ハシゴに挑戦……いつ仕事やるんだ?つうか、いつレコード聴くんだ?