2001年11月19日(月)

 映画評の連載仕事が来たので、今日から当分、映画三昧の日々が続く。目標1日2本。ひぇぇぇぇぇ……。

 新橋の徳間ホールで、『穴』(6)の試写会。今年イギリスで公開され話題を呼んだという作品で、イギリスのパブリック・スクールの生徒4人が忽然と姿を消した事件をサスペンス・タッチで追うもの。結局4人は第二次世界大戦時の防空壕に閉じこめられていたのだが、密室の中で展開されるさまざまな出来事の真相が次第に明らかになるにつれ、若者の持つこころの闇があぶり出されていく。

 全体の設定などは『ブレアウィッチ・プロジェクト』に似ているし、風采の上がらない地味な少女のルサンチマン大爆発、という点では『キャリー』を思わせるが、心理描写などはこちらの方が深いし、一種の青春ものとしてもサイコ・ホラーものとしても、密室極限ドラマとしてもよくできている。衝撃的と銘打ったラストについては、実はかなり初期の段階で予想がついてしまうが、展開が早く演出にも無駄がなく緊張感は最後まで持続するのでダレずに見れる。『ブレアウィッチ・プロジェクト』なんかよりずっと面白い映画だけど、終わり方は後味悪すぎだなぁ。主演は『アメリカン・ビューティ』のソーラ・バーチで、彼女の演技は見物。ちなみに音楽担当はなんと元ポップ・ウィル・イート・イットセルフのクリント・マンセル。もう何本か映画音楽を手がけていて、英映画界ではそこそこ知られているみたい。もちろん音楽がポッピーズぽかったりすることはない。来年春休みに恵比寿ガーデンスネマでロードショー予定。

 そのあと新宿東映パラス3に移動して遅ればせながら『GO』(9)を見る。評判通り、いい映画だった。たぶん年末の各賞は総ナメだろう。とにかく後味が抜群に爽やかで、気持ちがいい。『穴』と順番が逆でなくて良かった。主演の若いふたり、とくに柴咲コウは新鮮で魅力的だし、山崎努、大竹しのぶを始め脇を固める俳優陣はみな達者で存在感抜群。とくに素晴らしいのが脚本で、原作の良さを過不足なく描き出し、しかも原作にないイキイキとした会話のリアリティまで引き出した手腕は見事だ。演出もリズム感があっていい。監督の行定勲はまだ33歳だそうで、こりゃ大物かも。次回作は池内博之主演で鈴木清剛の『ロックンロールミシン』を制作中だそうだ。
 劇中、一番笑ったのが物語の筋と関係なく平田満がいきなり登場し、大竹しのぶと『蒲田行進曲』をネタにした楽屋オチ・ギャクを交わすところ。もちろん平田満は「階段落ちのヤス」なんだからわかるけど、大竹しのぶってなんか関係してたっけ? 映画では松坂慶子だったし……舞台でもやってたのかな?
 映画館の入り口に入るとき、係の女性に「大変に狭い劇場ですが、よろしいですか」と訊かれて「ハァ?」となるが、入ってみてほんとに小さいので驚く。これなら、各ホームシアター雑誌に載っててるそこらのお金持ちの自宅のシアタールームの方が立派だよ。建物も汚いし。邦画はこういうとこからちゃんとしていかなきゃ、ダメなんじゃないか。ちなみに平日の夕方、ぼくのほかは大半がふだん邦画なんて絶対見ないであろう高校生だった。

 せっかくなのでこれから各作品の採点でもやってみようかと思います。10点満点です。各タイトルの後ろの数字がそれです。参考にしてみてください。