2001年10月4日(木)

 市ヶ谷のソニーで、マイケル・ジャクソン新作『インヴィンシブル』の試聴会。売れっ子ロドニー・ジャーキンスや『デインジャラス』以来の復帰となるテディ・ライリー、ベイビーフェイス、R・ケリーなどをプロデューサーに迎えたゴージャスかつリッチなアルバム。サウンド・プロダクツは完璧だし、もちろん音もいい。同時テロ事件を受けて数曲が直前になって差し替えられたみたいだが、正直な話そうした「良心派」マイケルの社会的メッセージとやらにはまるで関心がないので、たとえサウンドだけ立派で中身が空虚であろうが、ぼくの場合まったくマイナスにはならない。総制作費はなんと36億円かかったそうだが、それでいてCDの価格は他の低予算CDと同じ。コストパフォーマンス最高です。異様に丁寧なサンクス・リストを眺めていたら、ユリ・ゲラーの名前があったのには笑った。ユリ・ゲラーとマイケル君の親交! 怪しすぎるわ。ライリーのプロデュース曲になぜかメキシコっぽいムードのタンゴ曲があって、その曲にはカルロス・サンタナが参加、まさにサンタナなギターを弾いているのもおかしい。このあまりに素直、というかベタなセンスもマイケルらしい。
 それにしても、ひとりひとりにいちいちコメントまで付けているサンクス・リストや、サンタナ親父との親交を誇示するような会話を曲の終わりに差し込んだり、なんか孤独な人なんだなと思った。
 アルバムの試聴に先立ち、シングル曲のクリップを上映したのだが、これがなんとマーロン・ブランドやクリス・タッカーまで出演する短編映画。はっきり言って内容はつまらないが、マイケル君の最近の顔面の様子を知るには最適。マイケル君とクリス・タッカーが街で見かけた女の子をナンパする話だが、あの不気味な真っ白顔でナンパされたら、ふつうは怖くて逃げ出すと思う。

 試聴会の会場であるソニーの会議室のオーディオ・システムは、マッキントッシュのアンプにJBLの大型モニター・スピーカーというもの。むかしのジャズなどを聴くにはいいシステムだろうが、マイケルのような最新デジタル録音のものを聴くには向いていないようで、シンセの重低音などには明らかに追随できておらず、ぶざまに低域が膨らんでいて、やや聴き苦しかった。アンプにゴールムンドかFMアコースティックあたり、スピーカーはATCかPMC、あるいはB&Wあたりで聴いてみたかった。

 同時テロ事件は、すでにアメリカ軍のタリバーン総攻撃が秒読み段階まで来ているようだ。最近になってアメリカの悪辣な情報操作にみんなボチボチ気づき始めたみたいだが、わが日本国の総理大臣様は相変わらず対米追従、報復全面支持、自衛隊を戦闘に参加させかねない勢いだ。おのれの内政の失政を、テロ事件にかこつけて戦争することでごまかす。湾岸戦争のときのアメリカと同じ。いやになるね。さすがに証拠も明示せずビンラディンを犯人と決めつけ独断専行で無差別攻撃する愚に、国際世論も反発し始めているみたいで、アメリカはビンラディン犯人断定の根拠となる「証拠」をNATO各国や日本など主要国首脳に秘密裏に明示、タリバーン総攻撃のコンセンサスを得たらしい。その「証拠」を明らかにすると犯人側に有利に働く可能性があるので、秘匿されたままだが、巷間伝えられる「証拠」はすべて状況証拠ばかりで、犯人だと断定できるような決定的な物証ではないようだ。やはり証拠もないままアフガニスタン市民の「公開無差別虐殺」に踏み切るつもりか。