2000年7月29日(土)

 トシヨリの悲しい性か、寝不足なのは明らかなのにはやく目が覚めてしまう。ホテルの食堂でまずい朝食をとり、会場へ。昨日とは打って変わっての晴天。すでに芝生は乾き、汗が滲み出てくる。日差しは強いが湿気がないので、意外に楽だ。やっぱ夏のイベントはこうじゃなきゃね。講座受講生のテントで涼んだあと、ホワイト・ステージでロリンズ・バンドを見る。いや、朝からカツ丼大盛りを平らげた気分。すごい気合いとテンションに圧倒される。これでヘタクソだったらギターウルフみたいになってるのかもしれんが、とにかくこのバンド、めちゃくちゃうまいわけで、おのずとそこにはユーモアではなく強迫じみた緊張感が生まれる。間近でみるとロリンズさんのカラダ、本当にすごいです。

 もうこれだけで一日のライヴを体験しつくした気分になるが、気を取り直してホワイト・ステージでブルー・ハーブ。単なるヒップホップというよりは、ポエトリー・リーディング/ラップ/アンビエント/ヒップホップという感じ。アメリカのヒップホップでもなく日本古来宇の語り物芸の系譜ともまたひと味ちがう個性を確立した感のあるその作風は、ライムの内容も含めかなりクサいのだが、ぼくはすんなり受け入れられた。ロマンポルシェあたりと説教合戦でもしてもらいたいところ。続いて同じホワイト・ステージでドライ&ヘヴィ。深いダブ・サウンドに気持ちよく沈む。

 そしてフィールド・オブ・ヘヴンに移動してROVO。詳しいことはほかでも書いたけど、とにかくすさまじいライヴで、山間の緑に囲まれた場所というシチュエーションも良かった。ロックを超えた現代ロックのきわめて優秀な一例だったと思う。天の彼方まで吹っ飛んでいきそうなすさまじいリフレインの応酬に、終始圧倒されっぱなしだった。

 これが今回のフジロックの個人的なクライマックスかな、と思っていたらそれを上回る猛烈な一発を、その直後に見てしまった。レッド・マーキーで見たモグワイ。去年の初来日は仕事があって見られなかったのだが、とにかく壮絶だった。単調なフレーズを奏でる耳をつんざくようなエレキの歪音が延々とリフレインするだけなのだが、これがもう、思わず射精しそうなほど気持ち良かった。結局俺たちが感じているロックのかっこよさって、これだけで十分なんじゃないか。これだけあればロックはほかになにもいらないんじゃないか、とさえ思ったのである。会場のレッド・マーキーは、ほかでは決して満足のいく音響ではなかったが、モグワイのライヴだけは飛び抜けていい音で鳴っていたのも、特筆すべきだろう。

 ROVO、モグワイと強烈な2連発に、今日はもういいやという気分になってしまい、あとはだらだらと酒を飲みながら、再びレッド・マーキーでデヴィッド・ホルムズ。外で聴いていたら石野卓球のDJかと思うぐらい、意外にハードでミニマルなテクノ寄りなスタイル。正直言ってこの人ならではの個性はあまり感じ取れず。続いて出てきた石野のDJはさすがにうまいし、乗らせる。ただ疑問に思ったのはブレイクの多用。2時間あまりの持ち時間で軽く7〜8回は無音が繰り返される。ちょっともったいつけすぎじゃないかという気がした。

 石野のDJを途中で抜け出し、オアシス広場で本格的に飲みだしてからが運のツキ。以後の記憶はまったく断片的(笑)。リチャ−ド・ジェイムズ、ルーク・スレイター、ワダ(コ・フュージョン)、カール・クレイグと続くテクノ攻勢だけは、しらふでみるつもりだったんだけどなぁ。オアシス広場でミッシェルガン・エレファントのチバのロックDJをサカナに、クハラやアベと馬鹿騒ぎしていたみたいだが、よく覚えてません(笑)。

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