2000年6月23日(金)

 大橋のユニバーサルで、FOEの取材。FOEはエル・マロのアイゴンこと會田茂一の新バンドで、アイゴンに取材するのはずいぶん久しぶりだ。ファースト・アルバム『ONE RIVER TWO STRINGS』は7月19日発売。ソニック・ユースあたりを思わせるニュー・ウエイヴ〜オルタナティヴなギター・ロックで、「ヒネくれた音やなぁ〜〜」というのが第一印象である。「自然にやっている」という本人の弁を信じるならこの人、相当にオカしな人ということになるが、実際に会った印象はすごく温厚な感じで、その風貌も相まって大きなクマみたい。
 ちなみにエル・マロは所属事務所とアイゴンがもめたりして、開店休業状態らしい。アイゴンとユノキはいまも連絡をとりあっているらしく、アイゴンもエル・マロを脱退したわけではないというが、昨年出たエル・マロの未発表曲集はユノキひとりの作業によるものらしいし、実質的にはユノキひとりのユニットとして存続していくのかもしれない。

 夜は原宿のロード&スカイで、スピッツの取材。スピッツというと売れ線J−POPのど真ん中を行くバンドというイメージがあるかもしれないが、ぼくは彼らに対してスミスの流れを汲む英国流ギター・ロックで、ニルヴァーナふうのグランジ風味も加えた、言ってみれば洋楽指向のバンドという印象を持っていたので、94年のアルバム『空の飛び方』で、まるでミスター・チルドレンみたいな売れ線ポップにガラリと変わってしまったことが、当時の状況を考えれば仕方なかったこととはいえ、少し残念な気がしていたのである。
 ところが新作『ハヤブサ』(7月26日発売)では、彼らの美点である美しいメロディや叙情的な雰囲気は残しつつも、ロック的なエッジ感や洋楽指向的なこだわりを感じさせる仕上がりとなっている。ずばり、かなりの傑作と思った。音が解放感に満ちているのだ。
 上記したような変化に関しては彼ら、とくに草野マサムネ自身も内心忸怩たるものがあったらしく、「売れないとバンドが続けられないような状況だったから、ポップなものにしようという意図はあったけど、あれほど売れるとは思わなかった」「歌謡曲っぽいのはいいんだけど、ニュー・ミュージックぽさはなんとしても排除したかった」「去年、スピッツの曲が教科書に採用されると聴いて、これはヤバイと思った。親に隠れて聴くような音楽しか聴いてなかった自分の音楽が教科書に載るなんてまずい」というような発言も出た。
 初対面の彼らは、あれほどの売れっ子にも関わらずエラそうなところやおごったようなところがまったくなく、きわめて温厚かつ控えめ、謙虚で、好感を持ってしまった。まぁそうは言ってもミリオン・セラーを連発するようなアーティストなんて滅多に取材することのないぼくなので、ほかの売れっ子がどうなのか、よく知らないけどね。

 ところで初対面のはずのベーシスト、田村明浩から、「20日の夜に渋谷を歩いていませんでしたか」と訊かれてしまった。なんでも彼らの担当のレコード会社の人の結婚パーティーかなんかの流れで渋谷にいたとき、たまたまぼくがCB美馬さんや佐藤英輔と歩いていたところを見て、あれが小野島だよと教えられたらしい。う〜〜〜む、どこで誰に見られているかわかりませんな。悪いことはできません(別にしてないけど)。