2000年6月10日(土)

 体調は依然思わしくないが、とりあえず出張に向け粛々と準備、箱崎でチェックイン、出国手続きまで済ませて成田へ。夜8時45分のカンタス航空022便に乗る。同行者は先乗りしているので、たったひとりの旅だ。いつものことながらエコノミーの座席は狭くて、ぼくにはきつい。石田昌隆さんによればアーティストによってビジネス・クラスの出張もしばしばということだが、自慢じゃないがぼくはそんな豪気な出張は1回もありません。なんでもマイケル・ジャクソン・クラスだと、航空機ばかりか日本の自宅までハイヤーで迎えにきてくれるそうだが、1回でいいからそんな大名旅行で「センセイ気分」を味わってみたいものだ。カンタスは機内食もますく、サービスもぞんざいな感じ。
 機中は池宮彰一郎『四十七人の刺客』(新潮文庫)を読み耽る。いわゆる赤穂浪士ものだが、お涙頂戴の忠臣蔵ではなく、テロリストとしての四十七士を描くという作品。当初は読み慣れない時代劇で言葉遣いなど違和感があったが、あっという間に引き込まれる。めちゃくちゃ面白かった。武士の誇り高き生き様を鋭い警句とともに活写して、ゾクゾクするほどかっこいい。文章も品位があり、無駄なく美しい。著者はうちの父の一歳年下の大正12年生まれ。そう考えるとすごいわ。