2000年6月1日(木)

 東銀座のヘラルド試写室で、『フォーエヴァー・フィーヴァー』。評判のシンガポール映画で、一言で言ってしまうと『サタデイ・ナイト・フィーヴァー』へのオマージュ的な青春映画。設定やストーリー、プロット、登場人物のキャラ設定など、なにもかも型どおりで新味はゼロ。にもかかわらず飽きないし、楽しい。きっちりと笑わせて泣かせてくれる。なにより、ボンクラそのものの主人公をはじめ、登場人物の誰ひとりとしてかっこいい人間がいないとこがいい。劇中にジョン・トラボルタのニセ者が出てくるんだけど、それがまた全然かっこよくないのが最高なのだ。そしてボンクラだった主人公が、最後はとても凛々しくかっこよく見えてしまうのは、制作者の意図通りの結果に作品が仕上がっている証拠。日本でこれぐらいの青春映画がごく当たり前に作られるようになればいいのにと思うが、でもこんなに素直でまっすぐな純情さに溢れた作品は、日本では作れないだろうな。7月8日から恵比寿ガーデンシネマで公開。全国のボンクラ君必見です。試写会場ではコレクターズ(バンドの)加藤ひさし氏に遭遇。『映画秘宝』でコラムを書くそうです。ほかに常盤貴子らしき女性も発見。メガネをかけていたし、あまりジロジロ見るのもはばかられたんで断言はできないけど。意外に地味な感じの人でした。

 それから京橋のメディボックス試写室で『チューブ・テイルズ』。これも評判の高いイギリス映画で、会場は満員だった。『タイム・アウト』で一般公募した地下鉄を題材としたショート・ストーリーから9つ(それぞれに関連性はない)を、ベテランから新進気鋭まで9人の監督が映像化したもので、なかには初メガホンとなるユアン・マクレガーやジュード・ロウなどの作品も。『アシッド・ハウス』のようなオムニバス映画だが、配給会社は「チェーン・ストーリー」と称している。
 なかにはつまんないエピソードもあるが、1話10分程度で終わってしまうので飽きないのがいい。全体としてはなかなか楽しめた。ただ上映前にもらった資料用パンフを読んでしまったのが失敗。各エピソードの筋が詳しく書いてあり、オチまで明かしてしまっているので、出会い頭の新鮮さが感じられなかったのだ。なんせ10分の短編だからワン・プロット、オチ一発で勝負するような話が多いだけに、これは致命的だった。ご覧になる方は、絶対に事前にパンフ等読まないことを勧めます。
 ただ気になったこともひとつ。各エピソードには、「ナイスバディーのセクシー美女」「たった一度写真を見ただけで妄想に登場するような美女」「人の目を引きつけずにはいられない魅力的な大人の女性」といった設定の女性が登場するんだけど、そのどれもが設定のようには全然魅力的には見えないのだ。「セクシー美女」は単なる下品な女だし、「妄想美女」も、ごくフツーの女性、「大人の女性」も、フツーのおばさん。だから各エピソードは作り物っぽく見えてしまうのだ。まぁこれはぼく一人が感じたことかもしれないが、なんかイギリス映画ってそういう例が多い気がする。イギリス人と日本人の感覚のちがいかも。7月下旬か8月初旬に渋谷シネ・クイントで公開。

 なおこの映画のプロデューサーはリチャード・ジョブソン。あのスキッズ→アーモリー・ショウのヴォーカルだった伊達男だ。BBCのニュース・キャスターに転身したと聞いていたが、作家やBBCのテレビ番組のプロデューサーとしても活躍していたらしい。スキッズに参加したときは16歳だったんだってさ。へぇ。