2000年5月18日(木)

 水天宮の旧倉庫で脇田さん、スズキさんらと劇団第七病棟公演『雨の塔』。作は唐十郎。劇団第七病棟は石橋連司と緑魔子の劇団で、5年ぶりの公演だそうだ。そもそも演劇を見るなんてほとんど十数年ぶりのことで、なかなか呼吸がつかめず。いかにも唐十郎らしい早口で畳みかけるような長セリフの応酬で、ちょっと油断してると話の流れがわかんなくなったりする。映画やテレビとはちが演劇独特の間の取り方も、久しぶりのせいか最初はちょっと違和感があったのだが、これは非日常の劇的空間へと飛躍する踏み台のようなもので、結果としては楽しんだ。あれだけの大量のセリフを一言一句覚える記憶力もすごいが、言語不明瞭なところがまったくない滑舌の良さなど、さすがプロ。緑魔子もいい歳だろうに、舞台に立った瞬間たちまち童女のように可愛らしくなってしまうあたり、ホンモノの舞台役者はちがう。石橋連司はいつだったか「ぼくなんかより緑魔子の方が俳優としてはるかに天才だ」というようなことを言っていたが、石橋の存在感もすごかった。
 劇が終了するとカーテン・コールで満場の拍手の中、役者一同がずらりと並んで挨拶するのだが、この瞬間がテレビや映画では絶対味わえない舞台役者の醍醐味だろう。コンサートにも通じるライヴ感覚。演劇に取り憑かれる人の気持ちが、少しはわかる気がした。