7日(金)
AVROOM

 サウンドクリエイト奥村さんが来訪。年末に配送してもらったもののサイズ違いだったAVラックを正しいものに交換してもらうためである。ついでにLINNのCDプレイヤーKARIKとIKEMIを持ってきていただき、我が家のパイオニアPD−T07HSと比較試聴させていただく。試聴ソフトはツェッペリンのリマスター・ベスト、ティアーズ・フォー・フィアーズのベスト、ケン・イシイ、ニルヴァーナ、ジェフ・ベックの新作、ニール・ヤングの『ハーヴェスト』など。

 ラックを組み立て、機材をセットし、スピーカーの位置を細かく調整していく。前にも書いたがほんの1センチばかり位置が違っただけで音が変わる。そしてソースによって最適のポジションが違うのである。ツェッペリンなら少しスピーカーを後ろにずらした方がいいし、新しいソースだと前に出した方が解像度があがるという具合に。主に聴くソフトによって決めればいいと奥村さんは言うが、こういう仕事をやっていると古いものから新しいものまでなんでも聴くし、第一パソコンに向かって作業をしながら聴いていることが多く、スピーカーの前、真ん中に陣取って「鑑賞」するなんてことはあまりない。だからあまり神経質になっても仕方ないのだが、それでもいい機会なので、できるだけ追い込んでいく。ティアーズ・フォー・フィアーズの「ソウイング・ザ・シーズ・オブ・ラヴ」がベストに聴こえる位置に調節してみた。しかしツェッペリンなどの古い録音(つまりCDで聴いた回数よりアナログで聴いた回数の方が多いようなソフト)では、生々しさとか熱っぽさみたいなものが足りないし、低域の量感も少し物足りない。その代わりケン・イシイやジェフ・ベックのような新しいデジタルっぽい録音はシャープでかっこいい。これはパイオニアの音の特徴とも言えるが、アナログっぽい量感や手触りを再現するのは、この価格帯(定価で23万円)ではそもそも無理なようである。

 そこでCDプレイヤーをKARIKにスイッチ。小さい! 軽い! パイオニアがいかにも重厚長大でマヌケに見える。この小ささは大きな長所だ。しかし肝心なのは音である。まずはティアーズ・フォー・フィアーズで聴き比べてみるが、あまりの変化に唖然とする。いままでなにを聴いていたのかと思うぐらい、ベールが10枚ぐらいはがれて中高域の鮮度と透明度が格段にあがった感じ。さらに低域も気持ちよく伸びている。マーリンVSMスピーカーの弱点とも思える低域は、これでかなり改善された。さんざん聴いたこの曲だが、新たな感動さえ湧いてくる。続いてソフトをツェッペリンに変える。これも素晴らしい。ロバート・プラントの声の伸びと厚み。リズム隊の熱気。切れ込んでくるギター。「胸一杯の愛を」を聴いて、おおこれこそが中坊のとき死ぬほど聴き倒したツェッペリンの音だと思う。おそらくCD時代になってから、これほど生々しく熱気あふれる音でツェッペリンを聴いたことはなかったはずだ。いや、これは最高だ。しかしパイオニアとの価格差は定価ベースで倍以上(56万円)。これほどの価格差があればこれぐらいの音のクオリティの差は当然とも思える。同価格帯の他製品を聴いてみたいところだ。

 ここでいよいよLINNの最新鋭機IKEMIにスイッチ。定価はKARIKとほぼ同じ60万円だが、KARIKの後継機種としてLINNが満を持して送り出しただけに、次元の違う音に仕上がっているという。期待感もりもりで聴く。
 がしかし。確かに全体に音のクオリティがあがり、音のつながりが自然に、なめらかになった印象はあるが、それほど劇的に変わったという印象はない。KARIKの中古は25万円だから、IKEMI新品との価格差はやはり倍以上。そこまでの音の差は感じられないのだ。それを言うと奥村さんは「でもヴォーカルの厚みとか解像度は全然ちがいますよ」という。ううむ、オレの耳が悪いのか。そこでソフトをニール・ヤングにスイッチして、再びKARIK→IKEMIと聴き比べる。なるほどこれなら違いがわかる。確かにヴォーカルの表現力はアップしているようだ。
 ただ音の傾向がKARIKとIKEMIでは微妙に違うようで、ハードにダイナミックに切り込んでくるKARIKに対して、IKEMIはまろやかで温かい。それを奥村さんは「アナログっぽい」と評していたが、『ハーヴェスト』のような素朴でゆったりしたソースならいいが、ツェッペリンのようなハードでラウドなものならKARIKの方がいいと思った。これはパワー・アンプを選ぶ段階でLK-240ではなくLK-140を選択したのと根は同じだろう。朝沼予史宏というオーディオ評論家はIKEMIを「人肌の心地よい温度感」と評していたが、まさにそんな感じ。だがぼくはもっとシャープでダイナミックな方が好みなのだ。
 もし価格が同じなら迷うところだが、KARIK中古25万円とIKEMI新品60万円なら、断然KARIKの方がいい。25万円というとIKEMIの弟機であるGENKIがあって、こっちは製品名通り元気な音がするらしい。つまりKARIKと同傾向の音質と推察できる。KARIKとの聴き比べもしてみたいところ。定価ベースで今のパイオニアと変わりないので、パイオニアとどの程度音が違うかも興味深いところだ。

 もちろんいますぐCDプレイヤーを買い換えるほどの財力はないので、しばらくは現有システムをできるだけ追い込んでいくつもりだが、もうすぐ確定申告なんだよなぁ。つまりフリーランスの人間にとって唯一のボーナス時期なわけで。ちょっと今悩んでるとこです。それにしてもパイオニアからKARIKに切り替えたときの劇的な変化と言ったら。このショックは当分尾を引きそうだ。もしCDプレイヤーを買い換えることになったら、次はアース工事だ。オーディオの道には果てしがない。