12日(水)

 東京は雪。犬の散歩が辛い季節である。せっかく治りかけていた風邪が、またぶり返してきた。咳は止まらないし鼻詰まり気味で頭はぼぅっとしている。思考力が低下している感じだ。

  オリコンのデイリー・ランキングのシングル部門(1月11日付)で大泉逸郎の『孫』という曲が第6位につけている。来週月曜発表のウイークリー・ランキングでも10位に入っているようだ。タイトル通りおじいちゃん(あるいはおばあちゃん)が、可愛い孫について歌うという設定のド演歌で、自作自演歌手である大泉は山形県在住のシロウトらしい。楽曲の好き嫌いは別としても、現在の音楽業界の状況を考えれば、これはものすごく意味のあることだと思う。なぜなら、演歌は外資系の大型チェーン店に置かれることはまずありえない。つまり演歌はそもそも店に置かれる機会が少ない。そして現在のレコード小売りシェアのかなりの部分をそれらの外資系の大型チェーン店が占めていること、そして山形県在住の大泉が満足にプロモーションもできない(大メディアでこれをきちんと取り上げたのは『ブロードキャスター』での特集ぐらいだろう)ことを考えれば、これは表面にあらわれたチャート状況以上に価値のある快挙であるはずだ。これをもって即「演歌復権」だなんて言えるはずがないが、表面だけ取り繕ったような若者向けポップスが氾濫する中を、泥臭いド演歌がじわじわと地鳴りのように売れていく、という状況はまるで昔の五木寛之の小説みたいでドラマティックだ。来週の「カウントダウンTV」が楽しみだなぁ。

 『オートルート』誌の対談用に広瀬陽一氏来訪。久々に我がオーディオ・システムの音を聞いてもらうが、「前と全然違いますねぇ」とおっしゃる。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』やネヴィル・ブラザーズなどを聴いたのだが、以前のような生硬さがなくなり音に柔らかさとしなやかさが出てきたという。毎日聴いているとなかなか気づかないものだが、素直に嬉しい評価である。


 毎月楽しんでやってきた『オートルート』の対談だが、なんとオートルート自体が休刊(というか、月刊から季刊に格下げ)のため、今月で終了。せっかく乗ってきたところなので残念。この仕事をやってると雑誌の終わりに立ち会うことはざらにあるが、単に仕事が減ったということ以上に、自分の関わった記事が何の助けにもならなかったことで、多少なりとも無力感はある。まぁ今回の場合クルマ雑誌だから、カルチャー記事なんかサシミのツマであることは確かなんだけど。

 ていうことで、どこかの雑誌でこの対談企画、拾ってくれるとこはないだろうか。音楽、映画、本、イベントなど、現代のカルチャー最前線を小野島大・広瀬陽一がメッタ斬りするオモシロ企画です。キトクな編集者の方のお申し出をお待ちしてます(本気)。