8日(水)

 電気グルーヴの新作『VOXXX』(2000年2月2日発売)をBGMに、たまった郵便物や資料や見本盤や試聴用テープを整理して終わった1日。

 『A』から、もう3年近い歳月がたっている。その間にまりんの脱退という事態もあり、また、ふたりになった電気のライヴがカラ回り気味だったこともあって期待以上に不安もあったわけだが、いやはや、やはり彼らはしたたかである。シングル「ナッシングス・ゴナ・チェンジ」は佳作だったが、アルバム全体あんな調子かと思ったら大間違い。『ビタミン』以来ずっと続いていたシリアス路線はついに終止符が打たれました。これははっきり言ってバカです。初期電気の持ち味だったナンセンス路線の完全復活である。もちろんシリアスな曲もあるが、音響ノイズをバックに浪曲ふうな無意味な語りが入る「浪曲インベーダー」、阪神タイガース応援団のパロディ・テクノ「密林の猛虎打線」、瀧節全開のおバカ超大作「インベーダーのテーマ」、ナンセンスのきわみをいくニュー・ウエイヴ・エレクトロ「エジソン電」、なんと評していいのかわからないほどくだらない「フラッシュバックJ−POPカウントダウン」等々と、さすが元<人生>としか言いようのない大傑作、いや怪作である。こんな作品をわざわざベルリンまで行って作ってきた彼らって最高。サウンド的には全世界的なニュー・ウエイヴ/エレクトロ再評価の気運に呼応したもの。いや、オレが最初に好きになった電気ってこんな調子だったんだよな〜〜と思い出した。もはや彼らの眼が日本国内ではなくヨーロッパに向けられていることは明らかだし、今回もサウンド的には海外の動きに彼らなりの姿勢を打ち出したものであることは確かだが、にもかかわらず日本のファン向けにも楽しめる仕掛けをたっぷりと含ませるあたり、アーティストとしてのスケールは格段に大きくなった感がある。なお多くの曲でDJタサカが共作しており、石野と田中フミヤの共作曲もある。まぁ『ドラゴン』や『A』に代表されるシリアス・テクノ路線以降の電気しか知らないファンがどう受け取るかはわからないが、とにかくオレ的には大満足。はやくも来年のベスト10の有力候補の登場である。