25日(土)

 日本武道館でチャー。元ヴァニラ・ファッジ→カクタス→ベック、ボガート&アピスのカーマイン・アピス、ティム・ボガートというかっての世界最強リズム隊との共演である。このふたりが武道館に出るのは74年のBBA以来だそうだ。当然ながら客席の年齢層高し。ヴァニラ・ファッジで来日したときの演奏があまりに良かったので楽しみだったが、やはりアピス=ボガートのリズム・セクションは凄い。音の太さ、腰、音圧、リズム感、どれも図抜けている。ぶっといグルーヴが演奏を貫き、ぐいぐいと引っ張っていく。モタリ気味とも思える重いあとノリはいまふうではないけど、とにかく基礎体力がまるでちがう感じ。前座に出たバンドと同じPAを使っているとは思えないほど音の押し出しがちがうのだ。とくにアピスさん。びっくりするぐらいエネルギッシュで元気。アピス、ジョン・ボーナム、キース・ムーンが3大ロック・ドラマーという自説にさらに確信が持てました。バリバリ叩きながらヴォーカルをとり、客を煽りまくる。ニク食ってるな〜〜という感じ。もちろんこの時代の人にしてはテクも十分だけど、ワザを聴かせるというよりか体力で圧倒した感じだ。

 アピス、ボガートともヴォーカルをとり、しかも歌唱力抜群、声量もあってハーモニーも鮮やか。ボガートのハイ・トーン・ヴォイスには驚いた。はっきり言って声量や声域ではチャーよりはるかに上。ボガートは55歳、アピスは52歳というんだからびっくりしちゃうね。ボガートはここのとこ表だった演奏活動をしてないけど、リタイア状態どころか現役バリバリもいいとこ。

 もちろん音楽のスタイル、あるいはやたら客席を煽り唱和させたり手拍子を求めるエンタテイメントのあり方は、一時代どころか二時代も三時代も古いことは確かだが、それだけにロックがもっとも力強い勢いに溢れていたころに超一流として現役第一線にいたミュージシャンだけが持つ貫禄があって、圧倒された。現役の日本人で彼らと渡り合えるのがチャーしかいないことは確かだろうけど、正直なとこ格がちがいすぎた感がある。ギターがジェフ・ベックからチャーに代わったBBAというスタイルだったが、実質的な主役はアピスとボガートだった。

 演奏曲はチャーの曲、ヴァニラ・ファッジ、カクタス、BBAのレパートリーから、アピスが共作したロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」(当時アピスはロッドのバンドのドラマーだった)まで。昔の曲をほぼそのままのスタイルで演奏し、新曲などは一切ないから、前向きな志なんてものは皆無だが、これだけフィジカルでオーガニックでパワフルな演奏ができる現役のミュージシャンなどほとんどいないことを考えれば、不満など言えるはずがない。客演で、かってアピスがアルバムをプロデュースしたことのあるカルメン・マキが出てきて3曲ほど歌ったが、これまたど迫力だった。やっぱ昔の人はすごいね。なお2月にポリドールからこの日のライヴ盤が出るそうなので、興味のある人はぜひ。