5日(金)

 もうしわけありません! 55555ヒットを踏んでしまったのはワタシです。オカムラシノ奥様と深夜の長電話中、カチカチやってるうちについうっかり踏んでしまいました。55555ヒットをヒソカに狙っていたというオカムラ奥様はじめ、みなさまにご迷惑をかけたことを(どんな?)深くお詫びします。

 ということで、そのオカムラ奥様との話題の中心は、ワッツインエスの休刊をはじめとする洋楽誌の苦戦ぶりに関して。とくに彼女は洋楽を中心にワッツインエスでは頻繁に執筆していただけに、痛いはずだ。ぶっちゃけた話、われわれ音楽ライターにとって洋楽を書ける場(雑誌)が減っていることは、頭の痛い問題である。収入面も含め、いろいろな意味で痛い。いよいよとなればやはり自分で雑誌を立ち上げるしかない、という話でオカムラ奥様とは一致した。もちろんウエブ・サイトを立ち上げたのは、雑誌媒体では書ききれないことを書くという意味合いもあるわけだが、半年間やってみて、ウエブ・サイトでできることとできないことを痛感している。ウエブ・サイトもやりようによっては雑誌よりも影響力を持ちうるはずとぼくは何度も書いているが、現実にはまだまだ紙のメディアの方が購読者は多いし、目にも触れやすい。即時性とインタラクティヴ性はネットの大きなアドヴァンスだが、じっくりと読ませる長文のテキストなどは紙メディアの方が一日の長がある気がする。両者の長所を合体、いわばメディア・ミックスした形の新しい音楽誌が作れないものだろうか。実現の可能性は別としても、考えてみる価値はあるだろう。復刊THE DIGはかなり好調な売れ行きを示してるみたいだが、ああいう「振り返り+資料もの」しか洋楽誌の生きる道はないのか。既成の洋楽(も扱う)雑誌が軒並み不調であるという話を聞くにつけ、単にレコードが売れてないから仕方ないで済ませていいものかと思う。みなさんも、こんな洋楽(も扱う)雑誌があったら買いたい、というアイディアやご意見をメール、あるいは掲示板にぜひお願いします。

 さて、オカムラ奥様と出たもうひとつの話題は殿下の新譜に関して。ぼくはミュージックマガジンの次号でレヴューを執筆し、高い評価を与えたが、彼女はつまらないという。その気持ちもわかるのだ、特に同時期に出るベックの新譜と比較すると、もはや殿下が一時代も二時代も前の人であると実感せざるをえない。いまの殿下に、かってのようなめくるめく斬新さやあっと驚くような展開を期待してはいけない。彼はもはや目新しい音楽性や奇抜なアイディアで鬼面人を驚かすような存在ではなく、抜群の歌唱力と稀なるエンタテインメント精神、巧みなソング・クラフトとサウンド・プロダクツの質の高さでもって、きわめて正統なアメリカ黒人音楽の伝統を継承していくソウル/ファンク・アーティストなのだ。実際、新作で展開される殿下節は、最近のどんなUSソウル/ファンクより素晴らしいとぼくは思う。『パレード』や『サイン・オブ・ザ・タイムズ』のころのような、いまのベックのような革新性は、確かにもう求められない。だがぼくは殿下の「味」が好きだから、いまの調子でやってくれればノー文句なのだ。はやく来日して欲しいね。