23日(火) AEGIS

 ついに福井晴敏『亡国のイージス』読了。いやぁ、これは確かに素晴らしい。留保事項なしの大傑作。年末の各誌ベスト10では東野圭吾の『白夜行』と1位を争うことになるのではないか。ぼくとしては真保裕一の『ホワイトアウト』以来の興奮作というところ。内容は自衛隊ミサイル護衛艦<いそかぜ>を巡る海洋アクション、というところだが、とにかく2段組650ページという大作で、主要な登場人物だけでも20人はくだらないため、ぼくの能力ではあらすじを正確に伝えることも困難である。先日この欄でも紹介した前作『トゥエルブY.O.』の続編といっていい内容だが、これだけ読んでも大丈夫。前作に比べれば段違いの出来映えだ。前作でのリクツっぽさや書生っぽい生硬な演説をぶったりするところは少し残っているが、物語が重厚かつ細部まで目が行き届いており、しかも人間ドラマとしても格段の厚みを持った作品に仕上がっているので、むしろ物語のスケールを増すことに一役買っている。前半の3分の1ほどは物語の主役級の登場人物たちの紹介に費やされているが、それだけで中編のひとつも書けそうな密度なのだ。
 誰もが感じることだと思うが、随所に映画的な表現が使われているのも特徴。クライマックスの、艦長の幻想シーンなど、まさにそう。帯文句通り、ハリウッドの超大作映画でも見たようなお腹一杯の満足感を味わえる。しかし、小説ならではのきめ細かいディテールの表現も素晴らしいのだ。講談社刊、2300円。ロードショーどころか、CDが1枚買える。でも絶対損をしたとは思わないはずだ。絶対推薦。

 ということで、これはぜひ映画化してほしい作品でもある。映画化される際のスタッフとキャストを考えてみました。といってもものすごくスケールの大きな、お金も手間もかかりそうな作品で、日本の映画会社では絶対無理だろうけど。役者の細かい実年齢は無視して、イメージだけで観てください。

監督……日本の映画監督では無理でしょう。ずばり、『タイタニック』『アビス』で、海洋もの得意なうえに、もちろんお金を使ったスペクタクルはお手のもののジェイムス・キャメロン。しかしキャメロンは人物造型はあまり得手ではないし、登場人物のほとんどが日本人なので、スペクタキュラーなアクションや特撮シーンはキャメロン、人間ドラマの部分は『仁義なき戦い』で男同士の集団劇はお手のものの深作欣二の、共同監督で。
脚本……複雑に絡み合った人間関係や物語を簡潔に、わかりやすくまとめられるのは『仁義なき戦い』の笠原和夫しかない。
宮津<いそかぜ>艦長……渡哲也。高倉健は、ちょっと違う気がする。もう少しトシ食ってれば、役所広司でもいい。
仙石<いそかぜ>先任伍長……室田日出男。ちょっとトシ食ってるけど、イメージ的にはこの人。
如月行……安藤政信。ジャニーズ系じゃ絶対ダメです。
竹中副長……小林稔持。もう少しトシ食ってれば、中井貴一。
阿久津<うらかぜ>艦長……夏八木勲。
渥美<ダイス>内事本部長……北大路欣也。
野田<ダイス>局長……仲代達矢。
ホ・ヨンファ……白竜か大杉連。
チェ・ジョンヒ……遠山景織子。ちょっとちがうかな〜〜〜。
梶本総理大臣……佐藤慶。ワンパターンですが。
宮津艦長の妻……吉永小百合。

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