15日(月)

 日比谷の東宝本社試写室で『ゴジラ2000ミレニアム』。公開前からこんなこと書くのは観る気になってる人に申しわけないけど、せっかく試写状を送ってくれた東宝の人にも申し訳ないけど、これがもう、全然ダメ。とにかく褒めるとこがまったくない。近来マレにみる駄作。以下ネタバレあり、悪口雑言の嵐なので、ここで読みたい人だけ読んでください

 気を取り直し、京橋のメディアボックス試写室で『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。最近各メディアでも猛烈に取り上げられているホラー映画だが、これは非常に面白かった。
 メリーランド州の小さな町に伝わる魔女伝説をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮ることにした大学生3人が、魔女伝説の舞台となった町や森近辺で取材・撮影中に、忽然と消息を絶ってしまう。1年後に彼らが撮影したフィルムやDATテープだけが発見されたが事件は未解決のまま迷宮入り。家族が残されたフィルムを『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』というタイトルで編集した……という設定。つまりこの映画は、普通の劇映画ではなく、映画の登場人物である学生たちが自分たちを撮影したドキュメンタリー・フィルムという体裁になっており、実際に俳優にカメラを持たせ、その映像を使っているのである。しかもスタッフは同行せず、脚本もなく、おおまかな展開だけを知らされ、あとは簡単な指示だけを与えられた俳優たちが、3人だけですべてアドリブで撮影していったというのだ。この映画が作られた背景を知らずにみると、ただのヘタクソなドキュメンタリーにしか見えないだろう。森で撮影中に奇怪な現象が次々と起こり、登場人物たちが次第に心理的に追いつめられていく過程が描かれるのだが、手持ちカメラなので画面はブレるわ、16ミリ・フィルムとビデオを編集した映像は荒れて見にくいわ、ガサゴソという雑音が入って聞き辛いわ、編集は粗っぽくて乱暴だわと、まさにシロウトの学生が作るヘタクソな自主映画そのものなのだが、そのシロウト臭いぎこちなさが、かえってリアルで恐怖を煽る。普通のホラー映画のようなこれみよがしな演出や効果音や音楽は一切使われず、特殊効果によるおおげさなスプラッタ・シーンやモンスター・シーンもなく、ただ登場人物たちが出口のない恐怖に追いつめられていく心理的過程が、まさにドキュメンタリーさながらのリアルさで描かれる。カメラを持った登場人物の心理に次第に同化してしまい、ショッキングなラスト・シーンでは得体の知れない後味の悪い恐怖に苛まれることはうけあいだ。
 この映画では、魔女伝説にまつわる背景の説明などはほとんど描かれない。それどころか、登場人物たちに何が起こったのかさえ、判然としない。観る者がいかようにも解釈できるように、さまざまな伏線や仕掛けが用意してあって、それらが実に巧妙に構成されている。そしてオフィシャル・サイトやサントラ盤、公式ガイドブック、コミック、テレビの特別番組など関連するさまざまなメディア・コンテンツでそうした謎解きのヒントや、画面の外に広がる物語=ブレア・ウィッチ伝説の世界観が提供され、いわばそれらすべてが、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の世界を形作っているのである。
 そもそもこの映画は映画学校に通っていたふたりの若者が、たまたま思いついたアイディアをわずか数百万円の低予算で自主制作したものが評判となり、結果的にアメリカだけで1億4千万ドルという大ヒットとなったらしい。彼らは映画を公開する前にまず、これが実際に起こった事件であるかのように構成されたウエブ・サイトを作り、これが話題となって評判が評判を呼んで、サンダンス映画祭やカンヌ映画祭で絶賛され、公開され大ヒットしたのである。まさにネット時代のアイディアの勝利だ。ホラ−という、ほとんしゃぶり尽くされたジャンルで、こんな新らしい実験が、それも驚くような低予算で実現したんだからすごい。
 こうやって延々と映画の概要を述べているのも、これは『シックス・センス』のように予備知識なしに観なければ興趣が半減する類のものではなく、むしろ事前にたっぷりと知識を蓄えていっても十分に楽しめるし、観れば観たでまた謎が深まり、関連資料を確認したうえでもう一度観たくなる、そういう作品だと思うからだ。公式本も角川書店からすでに発売済のようなので、ぼくもあした買ってこようかと思っている。万人むけの映画とは決して言い難いが、いや、久々にハマリの予感です。

 夜は自宅でCX『氷の世界』。う〜〜〜〜ん、これ、やっぱ失敗作じゃないかな。脚本はともかく俳優が全然ダメ。竹之内と松嶋菜々子って完全なミスキャストだと思う。今クールのドラマも出来不出来が見えてきたみたい。詳細は別の日に。、