「強い者が天下を支配する。これ乱世の道徳也(道三語録)」
FILE#81「陽気蝮 乱世の梟雄 斎藤道三伝」(画:小山 春夫)
現代/1973.2月号〜9月号 資料協力者:BOSSさん(感謝!)
●あらすじ:
妙覚寺の学僧から油売り商人・松波庄九郎となったその男。戦乱の世に野心を抱き、その舞台を美濃の国に定め住居を構える。学僧の頃から才気に長けた庄九郎は、妻をも巻き込む非情な知略で家老の弱味を握り、士分に取り立てられ西村勘九郎と名を改める。軽輩ながら武士となった勘九郎の野望は止まらない。領主・土岐盛頼にも取り入るために家老を罠に陥れ殺害し、その地位を相続する。そしてついに蝮の牙は、美濃の国に狙いをつけた!都から逗留に訪れた公卿の連れ・美人白拍子の眉月をたらし込み、盛頼を息子の頼芸と争わせて失脚させる。新領主・頼芸の片腕となった勘九郎は、美濃の実権を握りはじめた。彼の謀反を恐れる頼芸は、政略結婚で血縁関係を結ばせる。長井新九郎と改めた彼は、己の才覚を発揮して城下町の繁栄に力を注ぐ。そして天文11年。斉藤家を継ぎ斉藤山城守道三と成り上がった彼は、頼芸に牙を向く!完全に美濃一国を掌握した道三は、恐怖政治を遂行していった。しかし、力によって栄える者は力によって滅びる。道三は息子・義龍の謀反によって生涯を閉じることになる。死の間際、彼の耳に聞こえたのは、かつてその毒牙によって滅びた人々の嘲笑なのだろうか?己の情熱を思うがままに燃焼した一人の男の命が終わった…。
●BONはこう読む!:
白土三平タッチの絵柄は、戦国を舞台にした本作の雰囲気を表現するのに適している。しかし、読後に物語のあらすじは頭に入っても、キャラクターの顔が浮かびにくく印象が弱いのが残念だ。当時大河ドラマに取り上げられてブームだった斉藤道三の“良い人”イメージに対して、梶原氏は彼の真の姿を描こうと冷淡で残忍な一面も盛り込んでいる。戦乱の世に名を残す人間の生きざまは、綺麗事では済まされぬものがあるのかもしれない。本作の道三像に触れて、正義とは何か?悪とは何か?力とは何か?色々と考えてみるのも面白いだろう。
●単行本:
講談社刊 全1巻
●その他: