「金はなるほど あり余ってるが 人間 生活に何等かのハリを持たにゃ 生きて行けんのとちがうか? 殺しの前科持ちには つまりヤクザなトップ屋稼業あたりが打ってつけの退屈しのぎってわけよ」

FILE#92「破魔矢豪シリーズウルフの調書」(画:南波 健二)



コミックサンデー(隔週刊)/1974.9/5号〜12/12号
漫画キック(※コミックサンデー改題・隔週刊)1975.1/9号〜1/23号 資料提供者:Kさん・梶バカさん(感謝!)

●基本設定:
破魔矢豪。昭和30年代半ば、週刊誌創世記の時代に故・大宅壮一氏の《マスコミ学校》の出身でトップ屋三羽烏の一人として世にもてはやされた男である。15年前。卑劣な取材妨害をしたトップ屋2名を殴り殺し刑務所に服役していた。旧破魔矢財閥の御曹子でもあるこの男、服役中に亡くなった父親の莫大な財産を相続しながらも半年前の出所後、再びトップ屋稼業に戻ってきたのだ!
●第1話「謀略選挙」/東京近郊T市で起った市長選候補者・各務氏の狙撃事件。狙撃犯を調査した結果、暴力団・式場会とのつながりを掴むも組長は何者かに殺されてしまう。事件の目撃者の話から対立候補の大曽根氏の疑いが出てくるが、犯人の遺留品から真犯人のカギを掴んだ!
●第2話「腐肉獣(ハイエナ)の罠」/大手芸能プロで起きた新人歌手投身自殺と2大スターの婚約発表。この背後に事件の匂いを嗅ぎ付けた破魔矢調査を開始。婚約が芸能プロの女社長・綾小路と男優との関係をカモフラージュするための偽装と知る。破魔矢の揺さぶりにも動じず尻尾を出さない綾小路。彼女を陥れる為、破魔矢は助手の桜庭と共にある一芝居を打つのだった…。
●第3話「吠える男」/不法買占め容疑で逮捕された男・田熊が護送中に脱走。会社社長宅に人質を捕って籠城する事件が起きた。社長と愛人関係にあった女・高見沢に、そうとは知らず手玉に取られて身替わりで罪を被ったことを知ってしまったのだ。人質の一人に助手の桜庭の幼馴染みがいたことで、図らずも事件解決に乗り出した破魔矢は行方不明の高見沢を探し、籠城の場に出向く。
●第4話「プロ野球SOS」/ 5年連続日本一の実績を持つプロ野球チーム太陽軍。しかし今シーズンは原因不明の低迷を続けていた。4番のスラッガー・黒羽の同行を調査した破魔矢は、彼を始めとする主力選手が秘密の売春組織で女達の妙技な手管に骨抜きにされていることを知る。やがてそれを手引きした人物として球団の副社長が浮かんだ。自分のチームの破壊工作を目論んだ狙いは何なのか?
●第5話「裂けた絆」/かつて空手を学んだ同門の先輩・塙。服役中だった彼に頼まれて刑務所から逃がした破魔矢だったが、待ち合わせのホテルに塙の姿はなかった。 自分が騙されたことを知った破魔矢は情婦を脅し居場所を聞き出した。仲間としての絆を断ち切られた怒りに燃えた破魔矢の蹴りが塙に炸裂する!
●BONはこう読む!:
事件の真相を暴く為、クールに女を犯し、いたぶる男・破魔矢豪。(それが成人誌の必然とはいえ)性的な事にはストイックな主人公が多い梶原漫画にあって、彼のキャラクターは異色な部類だろう。物語の結末は、探り当てた犯人に対して制裁を加えて(唐突に)終わるというパターンなのだが、これではトップ屋というより現代版・仕事人のようだ。初回で見せる世界観の大風呂敷や次回への引きのテクニックといった梶原漫画の“らしさ”が見られない奇妙な作品である。(2006.4/12記)
※余談:本作が梶原原作でなく真樹先生によるものという説が数年前から一部ファンの間で言われています。当サイトとしては、確たる証言がない内は梶原原作の一作として扱います。

●単行本:未刊行

●その他:
連載データ
第1話「謀略選挙」1974.9/5・19号
第2話「腐肉獣の罠」10/3・17号
第3話「吠える男」10/31・11/14号
第4話「プロ野球SOS」11/28・12/12号
第5話「裂けた絆」1975.1/9号・23号