「男を成長させるものは、なまじの味方との平和よりも、すぐれた敵との激闘の嵐である!!」
FILE#84「柔道讃歌」(画:貝塚 ひろし)

週刊少年サンデー連載/1972.21号〜1975.14号
●あらすじ:
千葉の九十九里で漁師を営む巴輝子とその子供の突進太。地元の人々から「母子シャチ」と呼ばれる気性の激しい2人親子だ。実は昔、柔道家だった輝子は講道館の女三四郎と言われる天才少女だった。しかし己の実力を立証するために男子柔道家に勝負を挑み、巴投げで勝利したが規律を乱した罪で追放される。高校生となった突進太は、その事実を知り母が果たせなかった柔の道を目指し柔道部に入部する。だが巴親子の因縁は続いていた!突進太が入部した柔道のコーチ・利鎌竜平こそ、母・輝子に敗れ悲惨な死を遂げた柔道家の弟だったのだ。しかし過去の私怨を捨て、突進太の才能に目を付けた竜平は彼を厳しく鍛え育てる。体はチビだが自前の根性と母親ゆずりの巴投げを武器に、また帯刀省吾や天童高志等のライバル達との死闘の中で大きく成長する突進太。やがて恩師・利鎌は彼の元を去り今後は敵となって立ちはだかる。鬼道塾という柔道団体を立ち上げ、かつてのライバルも門下生となった。一方突進太は講道館に入門、柔道史上最大の技・山嵐を会得する。パリで開かれた世界柔道選手権大会で利鎌と突進太は勝ち進む。そして準決勝、かつての師弟は再び対決した。試合は互いに譲らず、どちらが先に必殺技をかけられるのかが勝敗の別れ目となる。試合の大詰め、突進太は利鎌に「天地返し」をかけさせながら自らも「山嵐」を仕掛ける!必殺技同士の激突の結果は、僅かな差で突進太の勝利となった。しかし彼は力を使い果たし、気を失って倒れしまう。かつての弟子、今や立派な敵となり死力を尽して戦えた事を嬉しく思う利鎌は彼を抱きかかえ、試合場をあとにするのだった…。
●BONはこう読む!:
梶原作品には珍しく3度目の柔道作品。 過去の2作品(「ハリス無段」「柔道一直線」)よりも完成度は高いし、漫画としての面白さも際立っていると思う。それは貝塚氏の絵のタッチが作品にハマった結果だろう。本作といえば、主人公・突進太と母・輝子の母子関係(通称:母子シャチ)をまず思い浮かべる方も多いと思うが、それは作品の初期(叉はアニメ)のイメージが強いからであろう。しかし全編読破して印象に残るのは、突進太と利鎌の関係だった。出合いは母の因縁の男として、次に師となり、最後に敵となって突進太に立ちはだかる利鎌との「男」と「男」の波瀾に満ちた関係こそが本作を貫くテーマであろう。復刻が望まれる一作だ。
●単行本:
若木書房刊/コミックメイト 全16巻
ホーム社刊/ホーム社漫画文庫 全6巻(途中迄)
e-books
●その他:
※TV化(アニメ)
母子鯱の章/1972.21号〜
挑戦状の章/
傷だらけの章/
花と鬼の章/
吹けよ!嵐の章/〜1974.44号
風雲!講道館の章/1974.45号〜1975.14号