「世の中には、きみたちの人生には、あの剣法を無視した…騒音のごとく、さまざまな障害が横たわる…公害あり、道徳の低下あり、甘い毒をふくんだ誘惑あり…むろん、それに同調しては話にならんが、逃げるのもいかん!!(中略)より男らしい態度は 悪の根元を正すこと!!」
FILE#67「おとこ道」(画:矢口 高雄)

週刊少年サンデー連載/1970.35号〜1971.24号
●あらすじ:
相馬富士男。彼の出生は波瀾に満ちていた。戦後の混乱期、反骨と義侠の精神でヤクザの親分になった父・銀次郎と、不良外人の魔手に舌を噛み切って逃れようとした気高い魂を持つ母の間に生まれる。しかし、破門になった元子分のさしがねで殺し屋に命を奪われ、そのショックで母も死んでしまったのだ。死に際の母の願いにより組は解散。富士男は老子分・毘紗門源造と共に彼の故郷である山梨の寒村で育てられたのだった。源造の徹底したヤクザ教育により、手のつけられない悪童に育った富士男だが一人の新任教師・江波との出会いにより、人間として少しづつ成長してゆく。やがて中学生となった富士男は担任の女教師・津川桂子に恋をする。だが彼女こそ、富士男の父を殺した元子分の娘だったのだ!富士男に想いを寄せる少女・マユミの嫉妬からその事実が富士男の知る事となり、怒りに燃えた彼は復讐を決意、東京へ向かった!警官の拳銃を奪い桂子の父を殺そうとするが、追いかけてきた彼女と江波の必死の説得により復讐を諦め逮捕される。人間不信に陥った富士男を救ったのは、江波が連れてきた佐倉という牧師だった。彼の語る人間愛の素晴らしさに打たれた富士男は、釈放後に佐倉の私塾・あすなろう塾に入る。「和魂洋才」をモットーとする学園で、多くの先輩達に扱かれ学び、富士男は心身ともにたくましく成長していく…。
●BONはこう読む!:
連載当時(昭和45年)差別問題を起こしたり、読者の支持を得られずに打ち切り同然に終了した事は、ファンには周知の事実として知られている本作。平成13年の完全復刻で、念願の読破を果たした筆者にはそれらの事は特に気にせず楽しめた。読後「続きが読みたい」と素直に思える。一人の人間の成長を描く意欲作なだけに、主人公を教え導く存在として登場する江波・津川・佐倉の台詞には、いささか説教臭いところがあるが、現在でも通じる充分な説得力がある。ハデさはないが、じっくり読み返す毎に、違った印象が感じられる1作ではないだろうか。
●単行本:
秋田書店刊/サンデーコミックス全1巻(未完)
サンケイ出版刊/サンケイコミックス全2巻(未完〜1971.16号迄)
道出版刊/「梶原一騎原作漫画傑作選」全2巻(完結)
●その他:
鬼哭編(70.35〜39号)
悪童編(40〜47号)
思春編(48〜71. 6号)
怒号編(7〜13号)
翌檜編(14/15〜24号)