「なぜだって…!?だから あんな金に執着してのことじゃないという証拠をみせてやったんじゃねえか おれはなァ朝比奈、おまえのお手軽な責任の取り方が、がまんならなかったのさ」
FILE#103「花と十字架」(画:古城 武司)

中学三年コース連載/1976.4月号〜1977年3月号 情報提供者:蝉丸さん&アントンハイセルさん(感謝!)
●あらすじ:
高校空手界の天才児・鳴海史郎は、合宿先の北海道で地元の高校生とトラブルを起こし、居合わせた女生徒・刈谷小百合を失明させてしまった。数日後、高校選手権で優勝を収めた史郎は、小百合の通う高校に転校する為に北海道へ。事件発端の1人、アメフト部の主将・朝比奈は彼女に好意を寄せており、入部を希望する鳴海を憎みしごく。ある日、小百合の目が海外の医療技術を使わないと直らない事が判明。裕福な朝比奈は、500万円という多額な手術費用を父から借りて用意するが、費用は自分の手で稼ぐと宣言する鳴海の妨害にあってしまう。偶然知り合った暴力団・昇龍会で、アメフトの大会を利用した金儲けの計画を知った鳴海。優勝候補であり、チームの要である朝比奈に怪我させる役目を引き受けた鳴海。その代金を受け取ると、朝比奈を騙し彼のポジションの技術をマスターすると空手の技で負傷させてしまう。代金を自分の高校に賭け、自ら試合に出場し優勝を勝ち取る。裏切りに怒る組員に、河原に連れ去られるが一瞬の隙に彼の蹴りが炸裂。だが、同時に放たれた組員の銃弾に鳴海は命を落とす。死の真際、見上げた夜空に完治した小百合の笑顔を思い浮かべながら…。
●BONはこう読む!:
『愛と誠』とは逆に、傷を負わせた男が女の為に尽しぬく話。が、月刊誌のペースでは人物の掘り下げが足らず、鳴海・刈谷・朝比奈の主要人物が何を考え何故そんな行動をしたのかが理解しづらく作品世界にのめり込めなかった。あらすじからはオミットしたが、鳴海に付きまとう男・間垣の存在も含めて、もっと力を入れて作れば面白くなる可能性もあった作品だったが、連載当時(1976年)の梶原一騎は、劇画原作者としてはピークを過ぎており、同時期の新作も短命に終わっていた。(2006.4/12記)
●単行本:未刊行
●その他: