「しゃべったところで何になろう、もはやわたしは半分しか人間ではないのだ。なまじ話をして、意志が通じあえば おたがい悲しくもどかしいだけだ。」

FILE#101「ゴッド・アーム」(画:桑田 次郎)



週刊少年サンデー連載/1976.18号〜1977.29号

●あらすじ:
198×年、香港で行なわれた全世界カラテ選手権。その試合中、ゴッド・ア−ムとよばれる東郷日出人6段が何者かに狙撃され命を落とした。その天才的な科学力でノ−ベル賞候補の父・東郷直樹博士は彼を蘇生させようと試みる。しかし蘇った日出人は、人間の常識を遥かに超えた力を身につけていた。大岩を砕き、木々を倒す彼を遠くから見つめる怪しい集団。その中の一人、ゲバルト・ハインリッヒ博士は、作戦の成功を確信した。ヒットラ−の時代より生み出された細胞強化エネルギ−V100を日出人に打ち込み殺せば、父の東郷博士は必ずや彼を蘇生させることを計算していたのだ。彼が正義に目覚める前にを脳改造して組織の手先にと企む組織はフィアンセの矢代理奈の弟・純を人質に彼を捕らえる。脳改造されたゴッド・ア−ムは組織の手先となり暴れるが、理奈のバイオリンの音色に一時意識を取り戻し逆に組織の計画を粉砕する。やがて組織と同盟を結ぶ宇宙人が姿を現し、世界中をUFOで攻撃する。戦いの中でゴッド・ア−ムは一度は命を落とすが、父の治療により復活。そして世界中の科学者達の協力によってさらにパワ−アップした。組織の最終作戦、巨大戦艦による総攻撃を砕くためゴッド・ア−ムは単身戦いを挑む。一時は組織の策略にはまり、ミサイルに取り込まれるも彼のパワ−でピンチを脱出し、ついに組織を壊滅させる。全ての戦いを終えたゴッド・ア−ムは理奈に別れを告げると何処となく飛び去っていくのだった。

●BONはこう読む!:
梶原版「8マン」。彼のとても濃い原作も、桑田氏の絵で表現されると差ほどくどさが感じられず変に力まず読める。決して完全無欠なヒ−ロ−ではなく、敵に改造された為に正義と悪との間に揺れる描写がやはり梶原氏ならではの展開だ。人間ではなくなった悲しみゆえに、一切喋らなかった主人公が最後の戦いに挑む前に愛する人の前で初めて言葉を発する場面は名シ−ンだ。当時あまりヒットしなかったのか連載誌の少年サンデ−コミックスからは単行本化されず、別の出版社から発売された隠れた名作であろう。

●単行本:
双葉社刊/パワーコミックス 全5巻
マンガショップ刊/マンガショップシリーズ 上中下巻


●その他:※連載時の原作クレジットに(三協映画)の文字が…。映画化を狙っていたのか!?