「『敗者にはなにもやるな!!』しかし、わたし個人としては敗者、すなわち英雄失格した男たちにもやりたい…なにかを…」

FILE#111「英雄失格」(画:やまさき 拓未)



週刊少年サンデー連載/1977.37号〜1978.40号

●あらすじ:
オールスポーツ新聞社のスポーツ記者、宇井無策は運動神経はゼロだが、スポーツ全般の知識にかけては人間コンピュータと呼ばれ、全種目の担当記者として活躍する。そんな彼が出逢った男達。ボクサーとしての致命的な欠点を、変則スタイルでカバーするも真の強者の前に脆くも打ちのめされるシャーク・南波。父子2代に渡るプロレス復讐劇。その無敵の強さが招いたミスター・ネッシーの悲劇の結末。目の見えぬ妹のために、卑怯な手段を用いてまでもチームにしがみついた壁キャッチャー岩瀬勇三の最後。師を越えるべく自らの流派を起こすが、世間から邪道拳扱いされ、己のプライドを賭けてマーシャル・アーツのチャンピオンに挑み、刺し違えた芦川栄光。柔道の天才的な素質を持ちながらも、その優しすぎる心ゆえに裏切られ、自ら戦いの場を降りた大元辰麿。師を殺したタイのキックボクサーに復讐するため、空手界からキックの世界へ転向した本郷光昭。ある日、宇井は創刊20周年の記念記事としてドイツが生んだ偉大なボクサー、カールシュミットの一代記を書くことになる。あのヒットラーにも敬礼しなかった男は、世界の王座よりももっと巨大なもの、「何ものにも束縛されぬ本当の自由」に挑戦し死んだ。この偉大なる不滅の挑戦者の生涯を、無策は万感の想いを込めて執筆するのであった。

●BONはこう読む!:
勝者に似合うものが「栄光」ならば、敗者に似合うのが、「悲劇」ではなかろうか?そしてそれが劇的であればある程ドラマは盛り上がると私は思う。だから本作に収められた7つの結末の中で一番好きなのが「怒れるネッシー」だ。「英雄失格」の烙印を押されながらもミスターフランケンとしてブザマにあがき続ける主人公の姿には、心痛むものを感じながらも何故か感動せずにはいられない気持ちにさせられる。だがこれ以降、主人公の幕引き(ハッピーエンドの回もあって「どこが英雄失格やねん」と突っ込みを入れたくなった。)が妙にあっさりしすぎて「悲劇」の色が薄まるにつけてこの作品が平凡なものに変わってしまった事が悔やまれる。

●単行本:
小学館刊/少年サンデーコミックス全6巻

●その他: