「荒涼たるあらあらしさ そしてかぎりない哀しみ孤独 それらをこらえて微笑するやさしさ 哀愁荒野 それは男の心である…」

FILE#127「哀愁荒野」(画:松久 由宇)



ヤングジャンプ連載/1979.6/21号(創刊2号)〜1981.1/1号(本号より週刊化)

●あらすじ:
下町の鉄火娘として育った花輪京子は、異母兄弟の兄・竜之介を愛していた。恋人を庇って傷害を起こし、刑務所から出所した竜之介は、義理の母や弟、妹・京子のために一人で生活してゆく。日々思慕の念を募らせる京子と内心京子を愛していながらも突き放す竜之介、しかし運命はやがて互いの想いを結ばせることになる、一度は。始めは兄を裏切った恋人への対抗心から、銀座のホステスとして働きだした京子。彼女の美貌はたちまちNo.1の存在として輝き、様々な男たちが群がってくる。京子の将来を思い、彼女の前から姿を消した竜之介は影ながら見守り支えていく。竜之介を失った悲しみに一度は自暴自棄になった京子だが、彼の真意を知り、立ち直るのだった。自らの店を持ち、夜の蝶として幾つかの恋を重ねる京子の前に現われた一人の男、丘田公次。悲しい過去を持ち、全霊で愛をぶつけるこの男に京子の心は揺らぐ。スキャンダルにより仕事を無くし、海外へ旅立とうとする丘田に付いていこうと店をたたむ決意をした京子に、密かに愛を募らせていたマネ−ジャ−の刃が襲う!竜之介の登場で事件は未然に防がれ、京子は無事に丘田と海外へと旅立っていった…。 

●BONはこう読む!:
どこか重苦しいウエットな絵柄ゆえか、地味な印象に持つ本作だが、どうして梶原イズムに溢れた佳作だと思う。さすが夜の銀座で遊び尽くした梶原氏だけあって、セリフの一つ一つが、妙にリアルっぽい。おそらく実体験やそこで知り得た知識も活かされているのだろう。梶原作品では珍しいハンピ−エンドだが、終盤で語られる『美を持つものがたどる悲劇の運命』というテ−マから考えると、その後の京子がたどる道は決して輝かしいものではないと思えてならない。

●単行本:
集英社刊/ヤングジャンプコミックス全4巻
e-books


●その他: