「伝統ある名門エリート・巨人を叩くからにはこっちも人間の内容を叩き直し、まず格負けせんこっちゃ つまり大女優を抱いて寝る夢を果たす男にならにゃ名門・巨人と対等のケンカはでけへん!!」

FILE#69「金田正一物語・どあほう一念!!400勝」
(画:菅原 卓也)



漫画ゴラク/1970.11/17号〜1971.3/5号(全10回)画像協力:Kさん 資料協力:BOSSさん(感謝!)
●あらすじ:
貧しい境遇の中、好きな野球で身を立てたい金田正一は国鉄スワローズのスカウトを受けて入団。期待の大物ルーキーとしての待遇と不敵な態度は、先輩選手に反感を募らせた。チーム内での孤立無援状態。だが金田はどこ吹く風だ。昭和25年。ノーコンだがめっぽう速い速球投手としてデビュー1年目をまずまずの成績で終えた金田。その後もエースとして活躍を続けるが、徹底したマスコミの巨人びいきによって自身の扱いが低いことに怒りを募らせた。その怒りはマウンドの上で闘志となり、対巨人戦では特に敵意を燃やし投げ続けた。だが思うようには勝てなかった。その要因を自身の品格や意識の差にあると気付いた金田は、野球生活にも私生活にも心境著しい努力を重ねる。その後、盟友・力道山との縁で知り合った有名歌手と結婚、大投手として成長した金田はまさに順風満帆であった。一方、金田の脅威に対抗すべく巨人は立教大学から長島茂雄を獲得。昭和33年のペナント開幕戦において伝説となる長島との初対決が実現。4打席4三振を奪い圧勝に終わった金田は、しかし長島のバッティングにただならぬものを感じていた。そして翌年、巨人入りを果たした王貞治に対しても金田は力の差を見せつける。以降数年“天皇”と呼ばれ球界に君臨した金田にも翳りが見えはじめる。向えた年令的な下り坂に抗いつつも数々の記録を打ち立てた金田。昭和40年、15年選手の特権により宿敵・巨人に移籍した。挑戦者としての野球から王者の一員としての野球生活。その姿はいかな活躍をしても以前の金田とは別人であろう。その後、昭和45年に400勝を達成し現役を引退した。

●BONはこう読む!:
実在のスポーツ選手を題材にした作品『キックの鬼』『ジャイアント台風』)は過去にもあったが、いわゆる少年誌での掲載ということでヒーロー面・陽の部分が前面に出ていた。しかし成年誌での連載である本作はより人物の陰の部分もエピソードとして盛り込んでいる。逆境とコンプレックスをバネに、ひたすら勝負に燃える上昇志向の塊のような金田の境遇は原作者にとってシンクロするものがあるのか、後に取り上げられるどの人物よりも、その想いとうか念のようなものを感じられる。400勝達成・現役引退というタイムリーな時期での連載でありながら、国鉄時代のエピソードのみで構成されていることにも、原作者の本作に込めた意図が伝わって面白い。ノーコンだが豪速球で、大胆不敵な金田のキャラクターはその年に新連載された『侍ジャイアンツ』の番場蛮のモデルとなったように思うがどうだろう?

●単行本:
漫画ゴラク・コミックス(11)

●その他:
本作は、ど根性シリーズ第1弾として連載された。