「おれは やること なすこと すべてに勝つ!!」

FILE#59「格闘王V」 (画:みね 武)

 

まんが王〜冒険王連載/1969.11月号〜1971.6月号(まんが王休刊)1971.7〜11月号(冒険王)
資料協力:ミサール・小山さん、ビックKさん(感謝!)


●あらすじ:
己の空手の力を世に示し、富と名声を得るため沖縄からきた大東勝利はTV番組「東西モーレツ合戦」に出演し、その実力を見せつけた。その晩、キックボクシングのスカウト達が押しかける。当時人気の高かったキック界が新しい人材を欲しがっていたのを彼は利用したのだ。だが彼の目当ての目黒ジム(沢村忠を育てた)だけが来なかった。怒る勝利はジムに乗り込み野口会長に談判。結局弟子入りの形で入門するが、自分の実力に自惚れろくに練習をしない。会長はそんな彼にタイのボクサー、ブラックコブラとの試合をさせる。基本も知らず立ち向かった結果は、散々ダウンを食らってKO負け。落ち込む勝利に沢村忠が語った体験談が、彼にキックを真剣に学ぼうとさせた。沢村もまた空手出身で最初の試合での惨敗をバネに今日の栄光を掴んだのだ。数日後八ヶ岳で行われた合宿で、沢村直々の特訓を受けた勝利は、ブラックコブラとの再戦で見事KO勝ちで雪辱を晴らす。試合後、更なる強敵に打ち勝つためにも必殺技を持てと、沢村からアドバイスを受けた勝利はキック関連の書物を読みあさり、ヒントを掴もうとする。ある日、下宿先のお手伝いが偶然渡した「サッカー入門」を読んだ時、勝利の脳裏に何かが閃いた!
(秋田書店刊/サンデーコミックス第1巻収録分迄 ※1970.2月号途中迄)


●あらすじ-2:
翌日からジムでの練習をさぼり、草チームにまざってサッカー練習を続ける勝利だが、同門の先輩・山岡頑鉄の鉄拳制裁を受けても練習を止めようとはしなかった。そんな彼に破門を言い渡す沢村。言い訳もせずジムを去り、勝利はひたすらサッカーに打ち込む。●数カ月後、ジムに現われた勝利が頑鉄相手に放った技は、オーバーヘッドキックを応用した独自の必殺技であった!沢村から“大回転Vキック”と命名され、再度ジムに復帰した勝利は連勝街道を進む。●謎の覆面選手・サイレントX の挑戦を受けた勝利。強力な空手の技を持つXの攻撃に大苦戦するが、わずかなスキをついた逆転劇で勝利を掴む。Xの正体は空手を捨てた息子の成長を知りたかった故郷の父の姿であった。●勝利のタイ遠征が決定。日本式キックとタイ式キックの差に苦戦する彼 の前に“太陽王子”と呼ばれる強敵が出現する。敗色の濃い試合展開だったが、自らの強さを過信した敵の心理を利用し、辛くも引き分けに持ち込み帰国を果す。そんな彼の耳に“太陽王子”からの再挑戦状が飛び込んでくる。彼の必殺技“太陽の矢”を破る為、ジャイアント馬場 の元で特訓を重ねた勝利は“太陽王子”に勝利し、高らかなVサインをかかげるのであった。●明けて新年。更なる強さを求 め、プロレスへの転向を決意した勝利。突然の言葉に驚く野口と沢村だが、快く承諾する。体格の小柄な彼にとってプロレスラーとしての日々は過酷を極める。現実の重さに挫けそうな彼の気持ちを救ったのが、同じくプロレス転向を決めた山岡頑鉄の存在であった。2人の新人は馬場の指名でバトルロイヤルに参加。この試合の敗北をヒントに新必殺技“V式脳天さか落とし”をあみ出した勝利。プロレスラーとして大きく成長した彼と頑鉄に馬場は海外遠征を申し付けた。
(まんが王/1970.2月号〜1971.6月号)


●あらすじ-3:
山岡頑鉄とアメリカ本土へ海外遠征に旅立った大東勝利。最初に訪れたハワイでの不自然な好環境・好待遇に戸惑う2人。全ては日系人の多い土地柄を配慮したプロモーターの戦略に過ぎなかった。本当のプロレス地獄はアメリカから始まる。到着後休む暇もなく試合に出された2人、外人レスラーの桁外れのパワーに頑鉄は敗北し、勝利は大悪役ザ・スカルバットにを相手に“V式脳天さか落とし”で辛うじて勝利する。彼の試合ぶりを見た現地プロモーターは勝利に悪役レスラー転向を持ちかけた。即答で断る彼に、王者・ジャイアント馬場もアメリカ修行時代に悪役としていた事実を話す。尚も疑う勝利だが証拠の8ミリを見るや大ショック!●その後、悪役レスラーとして反則技で大暴れする勝利の前にクレイジーホースと名乗る謎の覆面レスラーが挑戦してきた。プロレス技も反則技も桁外れのクレイジーホースに、勝利は徹底的に叩きのめされる。試合中、覆面レスラーの正体に気付いた勝利は控え室に押し掛けて問いつめた!彼の想像通りクレイジーホースの正体はジャイアント馬場だったのだ。悪役となった友人を心配した頑鉄から連絡を受けた馬場は、勝利の誤解を解き真意を理解させる為に訪れたのだ。●アメリカ修行時代に悪役をしていたのは、反則技をマスターする事でオールラウンドレスラーとして成長する為だったのだ。自身の間違いに気付いた勝利は再び正当派レスラーに戻り、数年後には本格空手をプロレス界に持ち込んだ異色レスラーとして頭角を現わすようになっていったという…。
-完-
(冒険王1971.7〜11月号連載分)


●BONはこう読む!:
一つの道を極めんとする梶原スポーツ漫画のパターンではなく、途中で中核となるスポーツが換わるという展開は、自らが語るように新しい試みに挑戦した(結果唯一の)異色作である。キックボクシングとプロレス。いずれのストーリーも面白いのだが、主人公が“一つのことを達成”して新しい分野に挑むという展開に説得力がない事が作品のマイナスになったように思う。例えば世界チャンピオンというような、明確な目標がないから主人公の強さの成長が見えず、中途半端な目標変更にしか思えなかった。



●単行本:
秋田書店刊/サンデーコミックス全1巻(未完)

マンガショップ刊/マンガショップシリーズ 全4巻

●その他:
※単行本収録は、まんが王1970.2月号(途中)まで
※第1部:(タイトルなし) ◎1969.11月号〜1971.6月号
 第2部:プロレス地獄編  ◎1971.7月号〜11月号
※1971.8月号から11月号まで画に西村輝雄氏名前もクレジットされる。