「手刀だ!武蔵は両手の剣…わしも両手の手刀 どちらも二刀流だ!」

FILE#9「二刀流力道山」(画:水島 朗)



週刊少年マガジン連載/1964年1号〜10号 ※資料協力:big noseさん

●あらすじ:
時期横綱と言われながらも相撲界を引退した力道山。第2の人生を模索していた彼が、宮本武蔵の生きざまに共鳴しプロレスラ−の道を歩み始めた。まずはハワイを舞台に、武蔵の二刀流からヒントを得た必殺技“空手チョップ”で強敵を次々と倒していく。やがて本場のプロレスを体験すべくアメリカに乗り込んだ力道山は、反日感情が残る異国でも、その強さと人柄で次第に人々の心を捉えていった。そして鉄人ルー・テーズとの対戦で初めての知る敗北の苦さ。いつの日にかの復讐を胸に故郷・日本に帰った彼は、シャープ兄弟を招聘する。木村政彦とコンビを組んでこれを迎え撃ち、一躍プロレスブームを巻き起こすが、反旗を翻した木村に挑戦状を叩き付けられる。真剣の刃を物としない木村には、空手チョップは通用しない。これまでのように宮本武蔵の書物に秘策を求める力道山だったが、1人の不良少年に自分の力で戦う勇気を示すために無策のままリングに向かう。空手チョップを封じられ苦戦する力道山。だが、ふとした事をヒントに見事な逆襲に転じて勝利を収めた。その後、テーズを敗り世界の王座に立つが、昭和38年の冬に突然の事故でこの世を去った。彼のプロレスにかけた波瀾の生涯は、これからも人々に語り継がれる事だろう。

●BONはこう読む!:
実在の人物を素材に、史実と空想を交えて展開するストーリーや特訓アイテム(から手チョップ強化器!)の登場。加えて教訓話や困難突破に到るカタルシスと梶原原作黄金パターンの見本漫画のようだ。惜しむらくは、絵を担当した水島氏のタッチでは優しすぎて試合の迫力が感じられなかった。劇画系の漫画家と組めば本作の評価も違ったものになっていただろうと思う。この後、力道山亡き後の主役として豊登を取り上げた漫画(戦艦豊登)が作られるが、作品としてもキャラクターとしても力道山の比ではなく失敗に終わった。

●単行本:未刊行

●その他: